ELGAMA #16 ルミアナ編 #4

6 2021/12/26 06:50

「折角だし、今日はルミアナをぶらりとでもするか?」

宿のベッドでぐっすり寝た翌日、エリントが言った。

 

「いいね。僕、ルミアナに行ったことないんだ。」

レイスが賛成し、二人はルミアナを観光することにした。

「賑わってるが、店があり過ぎてどこに行けばいいのやら…おっと、失礼。人も多いし。」

エリントが人と数回ぶつかりながら言う。

「ちょいと、そこの兄ちゃん達、ちょっと寄っていかんかね。」

突然、通りすがりの店から男性が話しかけて来た。

「わしはオーナーのレリファンだ。ここには強い武器がたくさんあるぞい。」

 

その言葉にエリントが反応した。

「おい、どうする?武器、欲しいか?」

「そうだね。」

「よし、オッサン、寄ってくことにするぜ。」

「いらっしゃいませぇ。」

レリファンが萎びれた口をフゴフゴ言わせた。

「わ…」

店に入るなり、二人の希望は深い闇の中に消え去った。

 中は、強い武器などなにもなく、あるのは木の棒にドクロのような石がくっついた謎の物体だけだ。

しかも今にも崩れそうだ。

「どうだ?ウチの品揃えは。」

「「と、とてもいい、と思います…その、独特で…」」

「そうかそうか!わしは長いこと店をやってるんだが、ずっと買ってもらえたことがないんじゃ。」

レイスは、エリントが「売れるもんか、こんなガラクタ。」と小声で言ったように聞こえたが、無視した。

「よかったら買っていかんか?褒めてくれたのは君達が初めてだ。」

「「え?」」

レイスとエリントは思わず顔を合わせた。

 しかもこんな容姿をしていながら(※1)324ルテルもするのである。

「ど、どうかな、お金持ってきてないかもな…」

エリントが顔全体に冷や汗をかきながら言い訳した。

「なに?お金を持っていないのに、ルミアナに来て、しかも店に入っただと?そんなことありえん。」

レリファンは、年寄りにしてはおかしい推理能力で追求してきた。

「ま…じ…か……」

エリントが口をぽかーんと開けて言った。

「分かりました、なら、そのドクロのやつ買います。」

レイスが痺れを切らして言った。

「おい嘘だろ!?買うのか?」

エリントが文句を言ったが、レリファンに睨まれると、素直に口を塞いだ。

「ありがとうございましたー!」

レリファンはニコニコしながら見送ってくれた。

 だがエリントはずっと不機嫌だった。

「あんなガラクタに324ルテルも払うヤツがどこに居るんだ?せめてもっと安いのにしろよ。」

「もういいじゃん、しょうがないよ。」

「だってあれは、俺が宿でマッサージでもしてもらおうと持ってた金だぜ?」

そして二人はルミアナを観光した。

(※1)324ルテル…1ルテルは約10円。324ルテルは約3240円ということになる。

16話↓

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