ELGAMA #16 ルミアナ編 #4
「折角だし、今日はルミアナをぶらりとでもするか?」
宿のベッドでぐっすり寝た翌日、エリントが言った。
「いいね。僕、ルミアナに行ったことないんだ。」
レイスが賛成し、二人はルミアナを観光することにした。
「賑わってるが、店があり過ぎてどこに行けばいいのやら…おっと、失礼。人も多いし。」
エリントが人と数回ぶつかりながら言う。
「ちょいと、そこの兄ちゃん達、ちょっと寄っていかんかね。」
突然、通りすがりの店から男性が話しかけて来た。
「わしはオーナーのレリファンだ。ここには強い武器がたくさんあるぞい。」
その言葉にエリントが反応した。
「おい、どうする?武器、欲しいか?」
「そうだね。」
「よし、オッサン、寄ってくことにするぜ。」
「いらっしゃいませぇ。」
レリファンが萎びれた口をフゴフゴ言わせた。
「わ…」
店に入るなり、二人の希望は深い闇の中に消え去った。
中は、強い武器などなにもなく、あるのは木の棒にドクロのような石がくっついた謎の物体だけだ。
しかも今にも崩れそうだ。
「どうだ?ウチの品揃えは。」
「「と、とてもいい、と思います…その、独特で…」」
「そうかそうか!わしは長いこと店をやってるんだが、ずっと買ってもらえたことがないんじゃ。」
レイスは、エリントが「売れるもんか、こんなガラクタ。」と小声で言ったように聞こえたが、無視した。
「よかったら買っていかんか?褒めてくれたのは君達が初めてだ。」
「「え?」」
レイスとエリントは思わず顔を合わせた。
しかもこんな容姿をしていながら(※1)324ルテルもするのである。
「ど、どうかな、お金持ってきてないかもな…」
エリントが顔全体に冷や汗をかきながら言い訳した。
「なに?お金を持っていないのに、ルミアナに来て、しかも店に入っただと?そんなことありえん。」
レリファンは、年寄りにしてはおかしい推理能力で追求してきた。
「ま…じ…か……」
エリントが口をぽかーんと開けて言った。
「分かりました、なら、そのドクロのやつ買います。」
レイスが痺れを切らして言った。
「おい嘘だろ!?買うのか?」
エリントが文句を言ったが、レリファンに睨まれると、素直に口を塞いだ。
「ありがとうございましたー!」
レリファンはニコニコしながら見送ってくれた。
だがエリントはずっと不機嫌だった。
「あんなガラクタに324ルテルも払うヤツがどこに居るんだ?せめてもっと安いのにしろよ。」
「もういいじゃん、しょうがないよ。」
「だってあれは、俺が宿でマッサージでもしてもらおうと持ってた金だぜ?」
そして二人はルミアナを観光した。
(※1)324ルテル…1ルテルは約10円。324ルテルは約3240円ということになる。
16話↓