ELGAMA #28 アリゴ編 #7
長い廊下を歩き切ると、見覚えのある入り口付近に来た。
この前ミアと二人で来た場所だ。
「エリント、二人の様子はどうだ?」
「無事だ。レイスは完治した。」
「そうか、それは良かった。」
フェルグが嬉しそうに言った。
「でも、そもそもエリントが怒らなかったら怪我をしなくて済んだんだよ?」
「ハッ、ごもっともだな。」
エリントはそう答えて椅子に座った。
「フェルグ、コーヒーでも出してくれないか。」
「分かってる。今淹れてるところだ。」
奥からフェルグの声が聞こえた。
「そういえば、エリント、ここの番人はどんなやつなの?」
「ん?アリゴか?そうだなー。ええとな、なんか、亡霊みたいなやつだな。」
「亡霊って具体的にどんなの?」
「えっと……あれ、あの、こんなデーンとした剣を持ってて、話し方は変。そんで顔はドラゴンみたいで、二つ。」
エリントの口から、まったく想像することができない特徴を言われた。
「……? そうか。」
すると、フェルグがコーヒーを入れたカップを持って歩いてきた。
「サンキュー、フェルグ。」
エリントはコーヒーが届くなり飲み始めた。
「ぷはー、うんめえ。」
「フェルグさん、ミアの完治っていつになるんですか?」
「大丈夫だ、翌朝には治る。」
「そうですか。」
翌朝にはまた戦わなければいけない。
ろくに敵を倒した事もないため、不安が募る。
「フェルグ、今日泊めてくれないか?」
「勿論そのつもりだ。戦いの前に野宿はごめんだろう?」
「ナイス!じゃレイス、あんまり意味はないと思うが、寝る場所でも決めておくか。」
エリントの言う通りだ、寝る部屋は決まっている為、あくまでも決めれるのは3つのベッドのどこで寝るかのみだ。
寝る部屋はミアがいる部屋だ。
フェルグになぜここなのか聞いたところ、単純な理由だった。(え?仲間3人で寝る方が楽しいだろう?)
部屋の入り口から見て、一番左にミアが、エリントは一番右、そして真ん中にレイスが寝ることになった。
「俺、ミアにわりいから一番右で寝ることにする。」
場所を決める際にエリントは真っ先に言った。
「え?あのことならもう気にしてなくていいのに。」
ミアが不思議そうに聞くと、エリントは恥ずかしそうに顔を赤くし、言った。
「お、俺、イビキがうるせえからさ…」
実にエリントらしくない理由であった。
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