第19話ステップバイステップ⑤
突然クエスト承諾のウィンドウが出てきて驚いたのだが、NPCや中央都にあるクエストボードで受けられるクエストとは違いある条件を満たすと突然視界の中に出てくる系のクエストは大体クリア後にもらえる経験値とお金(単位はギル)、アイテムがウマウマなのであまり深く考えずOKボタンを押しクエストを開始させる。
本格的にクエストを開始させてくれるNPCが居るおおまかな場所をマップに示してくれる。
「あっ赤色・・・」
「赤色の何がいけないの?」
「赤色が今いる所とはフロアが違くて、なおかつ見つけにくいという色だよ・・・」
見つけにくい順番は赤→黒→黄→緑→青の左から右にいくにつれて見つけやすくなってくるという難しさが目で見えるシステムになっている。別タイトルのゲームでは特別な条件で発生するタイプのクエストが無いものや、そもそも場所をマップで教えてくれないものもあるのでイニティウム・フィーニスはまあまあ良心的なゲームだ。
それ以前にゲームの中が現実(リアル)にしているGM軍のせいで良心的もクソも無いのだが。
「多分、今いるフロアが俺達プレイヤーが行ける限界の所、迷宮塔4階だろ?上にはまだ何階あるのかわからないが、まだまだ低層で赤色が出るということはかなりのウマウマクエストが期待できますなぁ!」
少々俺のネトゲをやっている時の喋り方が出てしまったが気にすることなく今までにマッピングしていたマップデータをイスズにも共有する。
イスズは急に共有許可をするかしないかのウィンドウが出て来てまるで学校の中のカースト上位の人達が良くやるのかわからないがア●ルトサイトを開きウイルスにかかって嘘のページが出て来たような感じにあたふたしている。
経験者は語るってか?知らんな(すっとぼけ)
「これは迷宮塔1〜4階を全てマッピングしたものだ。一応受けっておいてくれ」
「いきなりはやめてよね!以後気をつけるように」
「は、はい」
また怒られた。この階に来てからもう2〜3階怒られたような気がする。
村に着くまでの道のり、村の中のクエスト出現+a俺だけおんぶというかなり色々あったため気づけば空は夕方でもう夜になるところだった。
「もう夜が近いじゃらさっきチラッと見えた村の中にある宿屋に入るか?」
「嫌だ」
イスズから帰ってきた言葉は3文字の単純な俺の言葉に対してのNOという言葉だった。
なぜイスズが宿屋に入るのを嫌がるのかさっぱりわからない。もしかしたら俺と同じ宿屋に泊まるのが嫌なのか、それとも夜の方がプレイヤーが少なくモンスターポップ率が高くなりレベリングの効率が数段上がりやすいのでそれをやりたいかの二択のどちらかだ。
「ただ星を見たいだけ」
俺は何を言っているのかすぐにはわからなかった。
「あのね・・・」
イスズは俺になぜ星を見たいのかを理解力のない俺にもわかるように教えてくれた。
イスズはこのゲームにログインする前、つまり現実世界で生活していた時はお父さんは朝から夜までパチンコをしており、お母さんは膨大なパチンコ代とイスズとイスズの兄の生活費を稼ぐために仕事に行き帰ってくるとしても深夜だったらしい。学校でほぼ全員がスマホを持っておらず家に帰宅してもすぐに課題を終わらせ、部活で遅い兄を待つ時に、唯一見ていたものが星だったらしい。
「そういうことか、でもここは人の目があるから少し場所を変えるか」
少し周りを歩くと安全地帯ギリギリの所に夜空が見やすい丘を見つけた。
「ここならあまりプレイヤーに見つからないかな?」
イスズが自分のフード付きコートを草原の上に敷こうとする。
「いいよ俺が出すから」
アイテムウィンドウから迷宮塔第3階で戦った最初のボス『ザ・ファースト・アングゥィシュ』のドロップ品の敷物「リカバーマット」
2人のプレイヤーしか座れない比較的小さいが中央都で売っている一番安い回復ポーションと同じスピードで回復できる回復Lv1が付与される。
「中々便利だろこれ」
「今はフル回復してるから意味ないけどね」
いつもストレージに入れている好物ってわけでもないがライム水を実体化させ口の中に少しずつ流し込む。
ゲーム開始の初日からこのライム水を飲んでいるが、やっぱり向こうの世界のものより匂いがキツい気がする。
デジタルで匂いを作る技術はあるが、その濃さをより濃くしたり薄くするまでは進歩していないのだろう、だがこれがものによるがもっと美味しくなったり不味くなったり色々だ
「中々太陽沈まないな」
「もう19時半よ?いくら七月の序盤だとしても遅すぎない?」
そう、この世界は向こうの世界と同じ季節、日にち、時間で動いている。
「たまたまじゃないか?なんせここは仮想空間だぜ」
今まで完璧なプログラムで数秒のラグすらなかったため、あまりに信憑性にかけている言葉だ。
「今マップ見て確認したけど私達が見てる方向って北よね・・・」
「あ、そうなのか・・・北ぁ!?」
慌てて後ろの南の方に振り返る。
南の空はすっかり暗くなっていて小学生の時、興味本位で調べた日本一美しい星空がある長野県の阿智村(あちむら)にも引けを取らない綺麗な星空がある。
「じゃあ私達が今見てるのって・・・」
「そういうことか・・・イスズここで空見ながら待っててくれ」
最後まで言う前に太陽ではない何かに向かって自分の敏捷力を限界まで使い走り続ける。自分の予想が当たっていればあれは本来、この迷宮塔4階のボスの広範囲火属性魔法のどれかの一つだ。
あの距離で夕焼けのように見えるほどの光が出るのはそれしかない。
それと迷宮塔3階クリア後にシャルロットとフレンド登録をしていて登録し合っていると同じ階に居る時は大まかな位置がマップせわかる。
マップにあるシャルロットの位置と光の発生源の場所と近い気がするので何かシャルロットにあったのではないかと不安になった。
何かが100%起きているという確証はない。
俺の学生生活の一週間分ぐらいの距離を走り目指していた場所にやっとついた。
俺とイスズが見つけた村とは別の村だった。しかしそこはもう村という原型をとどめてはいなかった、家はほぼ全て燃えていて完全に火の海と化している。
「なんだ、お前も人間か?」
相手も人間にしか見えないのだが、人間かどうか聞いてくる。
「あぁ」
「なら戦うしかないなぁ!!」
言葉と一緒に斧を振りかぶってくる。相手が攻撃してくるなら仕方ない、こちらも武器を取るしかない。
真っ直ぐ振りかぶってくるので
片手剣重単発ソードスキル『ダルデ・グラウィス』
相手の武器を火の中に飛ばし相手の戦意をなくし、前に進む。
「シャルロット!居るのか、居たら返事してくれ!」
返事は聞こえない、だがマップにはシャルロットは表示されているのでHPがゼロにはなっていない証拠だ。
一回も使ったことはないが集中すると周りの音が聞こえるようになるスキル「聞き耳」
初めて使うのであまり期待できないが、今回は期待に応えてくれた。金属と金属がぶつかり合う音が微かに聞こえる。
「・・・右か」
ここを進めと言わんばかりに道と呼べるものかわからないが、この道だけ火が進出していない。
数mの短い距離だった、ただそれだけの距離だった。しかし、その道の先で見えた光景は思わず呼吸を忘れてしまうほどのものだった。
黒い鎧と日本刀を持った顔が見えないプレイヤーとシャルロットだけが立っていた。
第3階ボス戦の時に見た上位プレイヤーが土の上に数人転がっている。
「シャルロット!どういう状況だ!」
「お・・・やっと来てくれたか」
「もしかして、これ全部アイツが・・・?」
思わず口が閉じなくなってしまう。1対1で一人ずつやった訳ではなく一斉の攻めた場合アイツは・・・そんな無双状態想像したくない。
「シャルロット、下がってポーション飲め。回復できるぐらいは時間を稼ぐ」
もう一人の俺の相方『ラファスタルソード』、使い込んだ柄についている皮が手に馴染む。
(続く)
〈後書き〉
今回も読んでいただきありがとうございました。
前回の第18話から約1ヶ月もの期間が空いてしまいすみませんでした、今週は時間が作れそうなので貯め書き時たりボイチャして逃げれないように投票トーク使うなどして投稿していこうと思います!
ここまで謝罪ばかりになってしまっているのですが、またまた謝罪です・・・
次回もビャク編STEP by STEPになりそうです。まだ確定事項ではないのですがほぼほぼ確定だと思います
いつも読んでくれている人、今回から読んでくれた人へLAボーナスを!!
誰が言っとんねんって感じだけど、改行を増やした方が見やすいかも、、?
僕のを参考にしてもらえば幸いです、、
>>11
いえいえ、素人なのであまりあてにしない方がいいと思いますが…