死亡後日記
目覚めは突然だった。
気づけば短い手と足をばたつかせていた。
知っているような、知らないような、不思議な景色を見ていた。
そして、しばらくして気づいた。
これが、僕だったんだ。
僕は自分が生きていた頃の記憶を見続け、だんだんと生きていた頃のことを思い出しかけていた。
といっても、赤ちゃんの頃の記憶。つまり、10年ほど前の記憶はあまり、鮮明ではなかった。
なので、10年も見続けたのではなく、7年ほどで終わった気がする。だが、こっちの世界に「時間」という概念はなく、時計もなかった。
なので、もっと長いかもしれないし、もっと短かったかもしれない。
今までの記憶は、僕がトラックにひかれたところで終わった。不思議と、悲しいとは思わなかった。ただ、友達や家族と話せない寂しさと、親を残して死んでしまった申し訳なさ。そして、あまりにもあっけなく死んでしまった悔しさが入り混じって、僕の身体の内に、染み込んでいった。
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