小説 私には6人の記憶だけがない。【騎士A】 day3

2 2022/08/26 12:18

入院生活3日目、さすがに少し慣れてきた。今日は後輩が来るとそうま先輩は言っていた。

「(名前)先輩、おはようございます!」

「おはよう…てるとくん、だよね?」

「はい!桃里てるとです!」

「今日は私のためにありがとう。」

「僕も会いたかったから大丈夫です!あ、先輩!暇つぶしに最高なもの持ってきたんですよ。」

暇つぶしに最高…?なんだろう。

「デレデレデレデレ…じゃーん!ニンテ〇ドースイッチです!」

「お、いいねニン〇ンドースイッチ。何のゲームする?」

「マ〇カしましょ、マ〇カ!」

「よし、じゃあマリ〇しよっか。」

「やったー!僕ドンキーコ〇グで!」

なんだこの生物は。可愛いな。てかド〇キーコングは草。

「え、待っててるとくん強くない?」

「僕は6人の中でも一番うまいほうですよ?」

「マジか…本気出さないと。」

「ちょっと待って赤甲羅投げないでくださいー!!!」

「…勝った。」

「うう…負けた…もう一回!」

てるとくん、まだまだね!

「くそぉ…」

それからずっと二人で遊んだ。結果は引き分け。ゲームをしているてるとくんは表情豊かで、ゲームが好きだというのが伝わってきた。

「あ、もう帰らないといけない時間だ…」

そっか、今日は楽しかったよ。ありがとう。

「僕も楽しかったです。…(名前)先輩。」

ん?なに?

「…いや、やっぱりなんでもないです。明日はしゆん先輩が来るって言ってました!それじゃ!」

…あ、帰っちゃった。何を言おうとしてたんだろう。

(やっぱり後輩ってかわいいよね。また遊びたいな。)

「…はあ、やっぱり子供だって思われてるよね…」

『先輩は、僕の事男として見てますか?』

僕が言いかけたのはこれ。僕はいつもこうだ。声や性格のせいかもしれないけど、いつも、特に好きな人には子ども扱いされてしまう。

「僕だって男なのに…」

そう。僕だって男だ。バカみたいなことだってするし、ゲームだってする。…恋だって、例外じゃない。

でも、僕の気持ちを言っても(名前)先輩は困るだけだ。だって僕は眼中にも入ってないんだから。

ゲーム画面を開いた。『リセットしますか?』の問いに『はい』のカーソルを合わせる。

「先輩と同い年だったら、また違ったのかなあ…」

絶対にかなわない願い。伝えてはいけない思い。ゲームのデータと一緒にリセットした。

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タグ: 小説私 6人 記憶 騎士A

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その他2022/08/26 12:18:04 [通報] [非表示] フォローする
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てるとくん、、、、!!やっぱ可愛い!


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