【小説】腐向け(スト太中)
綺麗な中也には棘がある〜推し字書き様に捧げます〜
シトシトと雨が降り注ぐ中、一台の黒塗りの車が高速道路を飛ばしている。その車は魔法のように車の間を抜けて走る。
「今日は誰かが暴れたせいで、雨の中殲滅任務だ。面倒な奴等だ」
気怠げに呟くのはポートマフィアの構成員、中原中也。齢は十五と若いが、宝石の密輸の監視を行なっている。圧倒的暴力の持ち主だ。車は巨大な暴力をある建物の前に停めた。中也はノックもせずに扉を蹴り飛ばす。
「よお、手前等がうちの島を荒らした馬鹿達か?」
高圧的な態度。だがそれに見合っているのは蹴り飛ばされた扉と目つきの悪い顔くらいだ。先程も言った通り彼は若い。その上、身長が低い。だから何時もこう言われる。
「なんだ此の餓鬼。追い出すぞ」
「此処はおチビちゃんが来る所じゃ無いですよー」
喧嘩を売られた中也。元より血の気の多い中也が殲滅予定の組織の構成員に喧嘩を売られて買わないはずが無い。
「五月蝿え。俺はこれから伸びんだよ!」
それが敵の聞く最後のまともな言葉となる。後に響くのは呻き声。見えるのは血飛沫。一瞬で終わる。後始末はその専門の人達に任せ、中也は報告に戻る。だがチビと言われたことに腹を立てているものだから部下はビクビクしながら素早く丁寧に運転した。余計な事は聞かない。それが此の世界で生き残るコツだ。
だが死にたがりは生きるコツを無視する。
「あれ?中也じゃないかい。随分ご機嫌斜めだけどどうしたんだい?どうせチビと言われたとかそんなことだろうけど」
死にたがりの太宰は報告を終えた中也に出会うなり煽り口調で話しかける。
「だから、俺はこれから伸びるんだよ!今日はちょっと喧嘩売られただけだ」
中也は苛つきながら答える。
「ふうん。それにしても、君よく喧嘩売られるよね」
「確かにそうだな。どうしたらいいんだ?」
「……女装」
太宰がぼそっと呟いたが中也には聞こえた。
「天才」
何を思ったか中原中也は女装することになった。怒りのあまり可笑しくなったのだろうか。見てご覧。中也の鉄拳が飛んでくると思った太宰がポカンとしている。そのポカンとして太宰を置いて中也は紅葉の元へ走っていった。中也が見えなくなってから漸く彼の賢い頭が動き出した。
「中也が女装。いい笑いものになる。今週の負け惜しみ中也のネタにしよ」
そう太宰は彼、いや彼女の破壊力を油断していた。
一方中也は太宰に言われたあと、そのままの勢いで紅葉の所に来た。
「姐さん。ちょっとお時間良いですか?」
姐さんこと尾崎紅葉は書類を捌く手を止め中也の方をみる。
「おや、中也かえ。どうしたんじゃ?」
「姐さん、女装手伝ってください」
いきなり何を言い出すかと思えば、女装したい。驚いた様子の紅葉だが、中也を観察し気づく。絶対可愛くなる、と。その間一秒。
「よいぞ。今すぐ用意する」
微笑みながら答える紅葉。部下に連絡して準備させる。奥から着物を出してきて、
「此れはどうじゃ?」
中也に見せる。
深紅の生地に白い彼岸花が描かれた着物はとても美しく、とても高そうだった。
「綺麗ですけど、俺に似合いますか?」
自信無さげな中也に紅葉は
「私の目を疑うで無い。必ず似合う」
と答える。そして中也の服を剥ぎ、着物を着せた。目の回るような素早い動きに中也はついていけなかった。しかもその後流れるように紅葉の部下に渡され、化粧をされ、髪飾りをつけられた。髪飾りは白と紅のつまみ細工でできた花だった。元の生意気な餓鬼のイメージと打って変わってお淑やかなお姉さんに見える。
「可愛い!」「美人だ!」
と紅葉の部下達も大絶賛だ。これなら自信を持って太宰に見せられる。そう思い、中也は紅葉とその部下達に礼を言い、立ち去った。
太宰の元へ急ぐ中也。廊下をパタパタ走っていると一人の構成員につかまれた。
「何のようですか?」
先程少し練習した女声で問う。
「可愛いね、君。叔父さんと楽しいことしよう?」
典型的な誘い文句だった。中也はさっさと振り払おうとしたが力が強い。振り払えない事は無いが、着物で動きにくいし、汚したく無い。だからこうした。
「きゃー!助けて!」
廊下一杯に響く声で叫ぶ。騒ぎを大きくしたら逃げるだろう。そんな思いから叫ぶ。すると太宰が出てきた。
「誰だい?僕の犬に手を出そうとしたのは……って誰?」
流石紅葉。化粧と着物で全くの別人にしてみせた。構成員は太宰に気付き逃げようとしたが、暫く離れたところで中也の重力で地面に磔になっている。
「俺だよ」
「え、中也?」
戸惑う太宰。ほんの少しだけ残った理性で変態を始末した。
「そうだよ。俺の女装、どうだ?」
笑顔をみせる中也に太宰の捻くれた性格は消えていった。矢張り基本、人は笑顔が一番可愛い。
「可愛い。世界一綺麗」
太宰の口から思わず本心が漏れる。言ってしまってから、しまった。という顔をしている。中也は驚きつつも、本心だと気づく。そして、狙いが当たったことを確信する。中也が女装したのは太宰を堕とす為である。太宰が言い出したならいける、そんな単純な理由だったが効果的面だった。
「太宰、俺のことどう思う?」
「好き。何時も可愛いよ。怒った顔も、不機嫌な顔も、時折見せる笑った顔も、全部可愛くて大好き」
そこで一度言葉を切り、深呼吸する。そして、
「中也、僕と付き合ってください」
「勿論だ。大好きだ、太宰」
抱きしめて、答える中也。中也の顔は着物と同じくらい赤い。
それをみて太宰が
「中也、顔真っ赤」
と煽ると
「手前も真っ赤だ、太宰」
と返す。
真っ赤な血が流れる廊下で、二人は付き合った。末永く幸せにして欲しい。
>>1
あねさんのせりふ、「中也かい」より「中也かえ」の方がいいのかな〜と思いました
なんとなく、「〜かい」って言うのは与謝野女医なイメージがあるので
また、「いいぞ」ではなく、「よいぞ」の方がそれっぽいのではないかと思いました
まあ、あくまで個人の意見ですので、そのままでも結構です笑
いくつか質問があるので書かせていただきます
・「私」と書いて「わっち」と読む、という認識でよろしいでしょうか?
・「中原中也女装することに」の部分、「中原中也」と「女装することに」の間に何か助詞が要るような気がしたのですが、敢えてでしょうか?(中原中也は女装することに、のような)
それと、文ストは実際の文豪をモデルにしているので、何かしらの棲み分けをされた方が良いと思いました。が、このサイトではできるのかは知りません(酷)
それと検索避けってできるんですかね?少々面倒ですが、スペース空けたりスラッシュ入れたり…そこそこセンシティブなジャンルですがnmmnなんですかね、なんとも言えないですね😢このジャンルは一体何に含まれるんでしょうか。。
二次創作はいいと思います!が、本家様に迷惑がかからないようにしましょう^_^
とはいえ私も好きなコミック、アニメではありますので、DMでお迎えさせていただきますね
それと、この小説の内容めちゃくちゃ好みです笑
長文失礼しました
追記 : それとPixiv拝見させていただきました!中学生の方とは思えない語彙力で感動しました!
>>2
コメントありがとうございます!!
脱字と口調、修正しました!
ご指摘ありがとうございます。
検索避けについてはタイトルに名前が入っていなければ出てこないので大丈夫だと考えています。
半nmmnというのが多数派な気がします
「私→わっち」であっています。ルビ機能が見つからないので私のままにしています。
長文コメント&pixivの閲覧ありがとうございます!!
>>3
ご採用ありがとうございます!
このサイト、たまにひっかかるんですよね…ただ、かなりマニアックな検索の仕方しないとでてこないと思うので、このままでいいかもしれませんね笑
これからも投稿されるようでしたら拝見させて頂きますね
DM返信してくださると嬉しいです〜