空想小説「青鬼」 まとめ4 「たった1人の宿主」

1 2023/05/03 17:44

午後2時、5人は学校の門の前に集まった。

卓郎「よし!全員揃ったな!」

美香「それじゃあ、青美山へ行きましょ!」

たけし「お、おぉ…!」

ひろし「えぇ。」

皆が意気込んでいる中、氷河は黙って下を向いて暗い表情をしていた。

卓郎「ん、たけしは置いといて氷、どうした?そんな暗い表情して…」

氷河「いや…ちょっと…嫌な予感がずっとしていて…」

そう氷河が言うと、美香が明るく元気づけた。

美香「もう、氷ちゃんったら!もっと明るい表情しなきゃ!ほら、笑って笑って!」

氷河「み、美香さん…」

ひろし「ではそろそろ、出発と行きましょうか。」

卓郎「そうだな!じゃあ、行くか!」

そう言い終わると、卓郎は走り出した。

氷河「えぇ〜!?また走るんですか!?」

美香「ほら、皆早く行くわよー!」

美香もそう言った後、卓郎の後を追った。

ひろし「急かさないで下さい、美香。」

たけし「ま、待ってくれよ〜!」

氷河「やれやれ…」

そして、また持久走のような距離を走ったのであった。

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青美山前に着いた時には、氷河はすっかりバテていた。

卓郎「よし、青美山に着いたな!」

氷河「はぁ…はぁ…速すぎますよ、皆さん…」

美香「大丈夫、氷ちゃん?」

氷河「は、はい…」

卓郎「このまま進むが…行けるか?」

たけし「お、俺はいけるぜ…」

ひろし「問題ありません。」

氷河「い、一応大丈夫です…」

卓郎「じゃあ、行くぜ。」

氷河「は、はい!」

5人は青美山に入っていった。

_______________________

たけし「うぅ…怖いよぉ…」

ひろし「たけし、もう少しです。頑張りましょう。」

森に入って数分、たけしはもうすでに怖くて音を上げていた。そんなたけしをひろしは鼓舞していた。

氷河「毒とか持ってる虫とか蛇とかに気をつけてな。」

皆に注意喚起をしている氷河に美香は口を開いた。

美香「氷ちゃん、そのあたりの知識あるの?」

氷河「はい、キャンプとか家族と何度もやったことがあるので、ある程度の知識はありますよ。知らないことの方が多いですけど…」

ひろし「氷河が分からなかったら私がいいますよ。」

氷河「おぉ、それは心強いですね!」

卓郎「さて、この辺りのはずなんだが…お、あったあった!」

色々と会話をしていると、卓郎が足を止めた。

ひろし「確かにトンネルがありましたね…」

卓郎が「か、かなり深そうだな…」

卓郎「よーし、突撃だぁーっ!!」

皆が進んでいく中、氷河は止まって苦笑いをしていた。

氷河「やっぱりか…ま、まぁ大丈夫だよな…だって…」

卓郎「氷ー!置いてくぞー!」

氷河「あぁすみません!すぐ行きます!」

卓郎に呼ばれ、氷河はハッと我に返り、皆の後を追っていった。

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卓郎「長…」

氷河「長い…」

美香「長いわ…」

たけし「長いなぁ…」

ひろし「長いですね…」

5人はかれこれトンネル内を四、五分程歩いていた。

たけし「これ、出口あるのか…?」

ひろし「出口のないトンネルはありませんよ、たけし…」

泣き言を言うたけしをひろしが励ましていると、美香が声を上げた。

美香「あ!光よ!!」

前を見ると、遠くの方に光が見えていた。

卓郎「よし来たぁ!皆行くぞおぉ!!!」

5人はその光目掛けて走っていった。

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トンネルを抜けると、そこには村があった。人はいなかったが、民家や建物はしっかりしていた。

氷河「へぇ〜…廃村って聞いてたけど、結構ちゃんとしたとこだね。」

そんな5人の元に、たった1人、村人であろう女性が近寄って来た。

村人「わぁ、来客なんて珍しい!ようこそ青美村へ!」

卓郎「あの、実は俺達、斯々然々で…」

卓郎は、事の経緯を説明した。

卓郎「…って事で来たんです。」

村人「なるほど、そうだったの。今は少しはまともだけど、一時はそうなったわ。青い化け物がここを襲ってきて、沢山の民家や建物を壊されて、それに大勢の民も喰われてしまって…そのせいで二年ほど廃村になってたの。今もこの村には私以外はいないわ。」

ひろし「なるほど…そうだったのですか…」

たけし「そ、それより、俺はヘトヘトだよ…」

バテたたけしが疲れた声で言うと、村人は、

村人「なら、私が経営兼暮らしている宿があるのよ。案内するわ!」

そう言うと、5人を連れて、宿に案内してくれた。

村人「ここが宿よ。」

美香 卓郎「おぉ〜!」

氷河「すげ〜…!」

たけし「で、でもさ、俺達あんまりお金持ってきてねぇだろ…?」

卓郎「あぁ、言われてみりゃ…」

その話を聞いた村人は笑って、

村人「あぁ、お金はいいわよ。ここには人なんて滅多に来ないもの。ゆっくりしてって。」

卓郎「やりっ!サンキュー、村人さん!」

水刃「そうそう、名前を言ってなかったわね。私は三上水刃よ。よろしくね。さて、それじゃあ部屋に案内するわね。」

ここの唯一の村人、三上水刃につられて2階に上がると、部屋に案内してくれた。

水刃「ここが部屋よ。」

たけし 美香 卓郎「おぉ〜!」

部屋を目の当たりにしたたけし、美香、卓郎は歓喜の声を上げた。

ひろし「洋と和が混ざった感じですね。」

氷河「これがいわゆる和洋折衷ってやつですね…!」

ひろしと氷河は、部屋の内装に目が行っていた。

水刃「じゃあ、ゆっくりしていってね。」

水刃さんはそう言うと、部屋から出て行った。卓郎はすっかり興奮していた。

卓郎「すげぇよここ!ここ動画で撮って有名にしようぜ!」

たけし「宣伝か…いいね!」

美香「じゃあ早速始めましょ!」

氷河「いやいやいや待て待て待て、流石に許可取ってからにしよう?」

ひろし「それに、皆さん走り続けて疲労困憊でしょう。明日にしませんか?」

卓郎「んー…じゃ、そうするか。」

卓郎はうなずいて引き下がった。

美香「それならゆっくり休みましょ!」

氷河「…そうですね!」

たけし「ひろし、トランプしようぜ〜!」

たけしは持ってきたトランプを持って誘ってきた。

ひろし「構いませんよ。」

美香「あー、私もやるー!」

卓郎「俺もやるぜ!」

氷河「私もやります!」

卓郎「じゃあ、ババ抜きな!」

氷河「私がカードキりますよ!」

氷河が慣れた手捌きでカードをキると、皆にカードを配っていった。

氷河『よかった、私のとこにはないな…』

たけし『げっ、俺かよっ…!』

ひろし「では、順番はたけしから時計回りですね。」

五分後、卓郎、氷河、美香が上がり、残るはひろしとたけしの一騎打ちとなった。

氷河「どっちが勝つんですかね…?」

卓郎「たけしってこういうのめちゃくちゃ弱ぇからな…」

そんな事を話していたら、ひろしの「上がり。」という声が聞こえた。

たけし「負けたぁ〜…最早ポーカーフェイスじゃねぇか…」

ひろし「元々私はあまり表情を表に出しませんからね。」

美香「逆にたけしは表情に出過ぎるのよ!」

たけし「何も言えねぇ…」

卓郎「じゃあ、次はUNOやるか?」

卓郎がカードを入れている箱を持って言った。

氷河「カードゲームばっかですね…まいっか。やりましょうやりましょう!」

ひろし「では、今度は私がキりましょう。」

そう言うと、即座にカードをキり、カードを七枚配った。

たけし「今回は勝ちてぇなぁ…」

四分後、ひろし、たけし、美香が上がり、今度は卓郎と氷河の一騎打ちになった。

氷河「うわ〜…これ不安だなぁ…」

卓郎「よし、氷のターンだぜ。UNO。」

氷河「あぁ、はい。って、卓郎さん後一枚!?私まだ2枚あるから負け確じゃないですか…まぁじゃあ、青の2で、UNO…」

卓郎「よし、終わりだな。」

そう言い、卓郎は最後のカードを出した。そのカードは…

氷河「…卓郎さん。」

卓郎「ん?何だ、氷。」

氷河「数字カード以外を最後に残しちゃ駄目ですよね…?」

氷河にそう言われ、改めてカードを見ると、出したカードは、青のSKIPだった。

氷河「チェックメイト、ですね。」

そう言い、氷河は青の7を出した。

卓郎「うわー、しくじった!!」

美香「まさかのどんでん返しだったわね〜!」

卓郎「悔しいからもう一戦やろうぜ!!」

そうして、宿の部屋で、UNO大会が行われていったのだった。

卓郎は「もう暗くなっちまったなー…」

氷河「じゃあ、そろそろ帰らないt」

卓郎「いやここに泊まるけど?」

氷河「はい!?え、そうなの!?」

美香「え、そうよ?」

たけし「そうだぜ…?」

ひろし「そうですが?」

氷河「えぇ…」

平然と言う4人に困惑を隠せない氷河だが、

氷河「ま、まぁ、私のとこは泊まってようが大丈夫ですけど…で、でも、ただで居させてもらっているとはいえ、泊まれるんですかね…?」

と持ち直し、卓郎に聞いた。

卓郎「あ〜、そうだな…」

卓郎が考え込んでいると、部屋の戸が開き、水刃さんが入ってきた。

水刃「あら、まだいたの?帰らなくて大丈夫なの?」

卓郎「あぁ、それなんですけど、斯々然々で、いいですか?」

水刃「うーん…まぁ、貴方達の所が大丈夫なら別にいいけれど…あまり、長くここには居ない方がいいんじゃないかしら。お昼にも言った通り、ここは、一度化け物に壊滅させられているのよ。もしまたそんな奴が出てきたりなんかしたら…」

と、水刃さんが躊躇っていると、卓郎が明るい声で、

卓郎「きっと大丈夫っすよ!一回は壊滅させられたけど今はもう音沙汰なしなんでしょう?だったらきっと大丈夫ですよ!」

氷河「……………」

水刃「だいぶ楽観的ね…わかったわ。それに今から帰っても外は真っ暗闇で危ないものね。寝るのなら、襖(ふすま)に布団があるわ。向こうの洋室にもベットが2つあるから、話し合いとか多数決とかで決めてね。」

氷河「布団かベット、どちらがいいですか?自分はどっちでもいいんで、選ばなかった。あまりでいいですけど…」

氷河が4人に聞くと、たけしが引き気味に、

たけし「お、俺、ベットがいいぜ…」

と呟いた。すると、美香と卓郎が続けて、

卓郎「俺もベットがいいな。」

美香「私も私もっ!」

氷河「あー、被っちゃいましたね…でも、これは必然的に自分は布団になりそうですね。」

ひろし「では、私も布団にしましょうか。」

卓郎「ひろしと氷は確定として、俺らはどうする?」

たけしがふと、美香に視線を向けると、ニッコニコでたけしの事を見ていた。そして結局、美香の圧に負け、

たけし「あ、じゃあ俺、布団にするぜ…」

美香「うん、決まりね!」

卓郎「じゃ皆、おやすみー!」

そう言うや否や2人はベットのある部屋に入っていった。

氷河「行動力のあるお二方だこと…」

氷河が呆れながらそう呟くと、たけしは苦笑いをして、氷河に言った。

たけし「ま、まぁ、2人はそんな感じだから、気にしなくてもいいぜ…」

氷河「あ、はい…」

ひろし「そんな事より、私達も早く寝ましょう。きっと明日は2人に振り回されると思いますし…」

ちょっぴり困惑する氷河にひろしは、少し苦笑いの表情をしながら氷河に早く寝る事を促した。

氷河「そうですね。おやすみです、ひろしさん、たけしさん。」

そう言い、氷河も布団の中に潜っていった。

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アニメとゲーム2023/05/03 17:44:40 [通報] [非表示] フォローする
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1: 雪原氷河 @overwrite 2023/05/03 17:47:14 通報 非表示

氷河「まとめ4です!このまとめは10話から13話の途中まで入ってます!」


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