ハイエナに恋をした 半 × 一 アダルト
半間:「だりぃな」
俺は今でもアイツが忘れられ無い。
アイツと俺は人生で最初で最後の親友同士だった。
アイツは俺を庇って死んだ。
俺はその時も笑っていた。
半間:「暇だな~糞だりぃ」
余りにも退屈だったので、丁度通り掛かった動物園に立ち寄った。
動物園は嫌いだ、喧しいから。
───……でも、
ハイエナには少し興味が有った。
半間:「ハイエナ此処かぁ」
やることが無かった俺は、ハイエナを見て行く事にした。
半間:「此処かぁ。お、居た居た」
ハイエナだ。
でも、何故か大人しい。
その上、ハイエナには群で行動する習性が有るのに、何故か其奴だけ一人ぼっちだった。
半間:「此奴の名前は……、か・ず・と・ら?」
ネームプレートに“一虎”と刻まれていた。
半間:「一虎一虎一虎一虎一虎」
グッ……、
半間:「一虎ァ!!!!」
思いっ切り柵から身を乗り出し、檻に入ろうとした。
半間:「あ……」
此奴は一虎じゃ無い。ハイエナだ。
喰われる。もう良いや。だりぃ。
半間:「はは……」
飼育員:「お客様!」
半間:「アッ……」
我に返った。何してるんだ俺は。
飼育員:「何してるんですか!?」
半間:「嫌、俺の事庇って死んだ奴と、名前一緒
だったから」
飼育員:「危ないですよ!」
─今、想い返せばそうだった。
俺らは檻に入れられてるみたいで、二人の間には柵が有って、中々一緒に過ごせ無かった。
半間:「一虎ぁ。今度一緒n」
場地:「一虎ー!家でゲームしようぜぇ」
稀咲:「半間ぁ。次の作戦の事何だが」
一虎:「半間君。もし良かったr」
モブ:「半間さん半間さん、次の抗争の事で」
モブ:「一虎さん一虎さん、此奴等の事何です
けど」
半間:「あ」
又だ。又会え無かった。
次は一虎は、ハイエナに生まれ変わって会いに来てくれたのに。
それを、場地でも稀咲でも芭流覇羅の奴等でも無い、飼育員に。
一虎:「愛しちゃダメ何ですか」
半間:「は」
有る日一虎は、俺にこう言って来た。
半間:「か、ず、と、ら?」
一虎:「半間君、もし良かったら、今度俺と─、」
『セックスして下さい』
半間:「え」
俺はその日の夜、一虎を抱いた。
一虎はとても苦しがっていて、痛がっていて、血まで流していて、流石にもう抱かれたく無いと想っていると想っていた。
でも、一虎は、淋しく成った時には又半間君に抱いて貰いたいと泣きながら言い、何故か、何時か結婚しよう、だなんて浅はかな約束までした。
でも、俺達は本気で、相手に秘密で指輪を買って良いタイミングで渡そうと持ち歩く日々が続いていた、そんなある日の事だった。
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一虎:「愛してくれて有り難う」
半間:「は」
又ある日一虎は、俺にこう言って来た。
一虎:「半間君、絶対に俺が死んでも─、」
『泣か無いで下さい』
半間:「え」
背中が一虎の体温で包まれて行く。
グサッ
一虎は、俺を背後から刺そうとした通り魔から俺を守って、急に何処かへ消えてっちまった。
一虎には泣く無って言われたんだ。笑えば良い。
俺は、涙を忘れて精一杯笑った。周りから不謹慎だと、白い目で見られても構わ無い。だってそれが、一虎の最後の願いだったから。
一虎が死ぬ直前に俺に託してくれた指輪が、今も俺の親指の周りで光っている。
あの日渡そうとしていた指輪を、一虎に向かってハイエナの檻の中に思いっ切り投げ入れた。
半間:「少しは檻、壊せたか?」
……嗚呼、駄目だったか。
来世でも檻は、そのままだった。
「『ハイエナに恋をした』 完」