空想小説「青鬼」 外伝 第1日 故郷帰り(強引)
氷河「だああああああああああっ!!?」
自分は妹の闇氷に休暇という名目で別の世界へ飛ばされ、どこかの川へ落とされた。
氷河「ゲホゲホッ…闇氷の奴…幾ら何でも高さ数㍍から落とすなんてそりゃねぇって…」
自分は辺りを見渡すと、見覚えのある景色に気づいた。
氷河「うん…?この景色…公園…?…って、やべっ!!」
自分は一瞬でここは自分の故郷…鱗葉町という事を察した。察した瞬間、自分は大慌てで水中に潜り、髪色を昔の…雪谷 霞の時の髪色に戻した。
氷河「はぁ…で、こっから自分はどうすりゃいいのさ…家には帰れねぇし、実質ホームレスじゃん…取り敢えず、水から上がろうか…」
自分は川から上がり、人目の付かない所に行き、技で服を乾かした後、少し考え込んだ。
氷河「さて、どうしたもんか…ん?何だこの紙…こんなの入れてたっけ…?」
自分は小さく折りたたまれた紙を開いた。
『この紙を開いてるって事は、故郷に着いたんだな?
ま、たまには休暇も必要だろ?お前は休まなさ過ぎなんだよ!
1週間経ったら迎えに行ってやるから、楽しめよ!
お前の妹より』
氷河「こいつ…自分が最近異界移動の精度がよくないから使ってないってのをいい事に…俺ホームレスだぞ…?どうすんだよ…」
苛ついたりした時、自分が俺っ娘になるようになったのはつい最近の事だ。まぁ、性格も男子っぽいし、女子っぽい事何してる?って聞かれても、なーんも答えられん自分だから、あまり抵抗なく口に出る。でも、あんまり言うのもあれだから、男女共通で使える[自分]をよく使っている。…私って言う時は言うけどね。
氷河「でも、この状態の姿で出歩いたら…騒ぎになるよな…俺、青美村で30年暮らして…こっちでは約1ヶ月いなくなってるんだ、確実に行方不明者扱いになってる…今更実家の家族の所に戻っても、1週間経てば青美村に帰らないといけないし、能力がバレたら洒落にならんし、まずそもそも家族とまったりする時間すらない。流石にフードだけじゃ、確実に隠しきれないよな…?」
数分考えた俺は、1つ思い浮かんだ事があった。
氷河「あっ、そうだ。この前作った派生カートリッジの中に、殲滅軍から素性を隠すために作った、見た目を男子っぽくするカートリッジがあったっけ…[っぽく]だから鋭い人にはバレるかもだけど…もはや男装だな…まぁ、今はとやかく言ってられんか…」
俺は空間属性を用いて作った道具入れからカートリッジをまとめている箱を取り出し、目当てのカートリッジを探し始めた。…え?さっきから一人称が自分から俺になってる…って?そろそろ男子になりきらねぇとだから、いいだろ?
氷河「えぇと…あった、これだ。」
早速俺はカートリッジを付けた。すると、髪は心做しか短くなり、男子っぽくなった。
氷河「…うん、ちょっと心許ないけど…ないよりかはマシかな?それと、右目どうしよう…昔の姿に戻っても右目だけは戻らないからな…」
そう、俺の右目は、師匠から能力を継いだ際に、弱視で見えなかった右目が見えるようになり、そして師匠と同じように、右目が蒼くなった。そして、これは師匠の能力を持つ[証]でもあるから、元の姿に戻っても右目の色はこのままだ。
氷河「そうだなぁ…このままで行ったら厨二病って思われそうだよな…ガーゼの眼帯でも多分そうなる…そうだ!」
俺はさっきの道具入れに手を入れた。
氷河「変装と言えばサングラスよな!」
俺はサングラスを掛け、フードを被った後、こう思った。
氷河「…これじゃ、どっちかってっと、不審者じゃね…?まぁ、どうせ1週間しかいないし…どうでもいいか。ってか、フードが服と上着、二重で被ってるから動きづらいや…フードは上着だけでいいかな。」
ある程度そこで姿形を整えた俺は、やっと外へ出た。懐かしく見慣れた景色。子供連れの親子。広場で遊ぶ子供達の笑い声。俺は辺りを見渡しながらため息をつく。
氷河「はぁ…これからどうしたもんか…この辺の事はある程度知ってるし、食べ物もまぁ少しはなんとかなるが、問題は寝る所だよ…公園のベンチとかで寝んのかな…?」
歩きながら考えていると、不意に1つのポスターが目に入った。
氷河「…!これは…」
ー妹娘を探していますー
名前:雪谷 霞
年齢:14歳
特徴:黒い髪で右目側の前髪が長く、腰に青いウィンドブレーカーを巻いています。
見つけたらこちらまでご連絡下さい。
TEL:XXXーXXXX
そこには説明文と共に、俺の写真があった。
氷河「…複雑な気分だな…1度…様子を見に行ってもいいか…」
俺は1度、家の様子を見に行く事にした。俺の家は、ここから歩きで十数分あれば行ける。
氷河「この町並みもなついな…なにせ30年も見てねぇんだからな…ここにもよく友人と遊びに来たなぁ…」
辺りを見渡せばそれはどこもかしこも見慣れた街。俺はそんな風景を見ながら、とうとう愚痴をこぼした。
氷河「…なんでこんな余計な事したんだよ、闇氷…俺は忘れたかったのに…」
そんなのを考えながら歩いていると、やがて家に着いた。
氷河「ピヨズは元気にしてるかねぇ…」
ピヨズとは、実家にて、ペットとして飼っている鶏の事だ。1期生と2期生、総じてピヨズと家族で呼んでいる。俺は庭を見渡すと、5羽の鶏が見えた。
氷河「お、いたいた。元気そうだな。」
丁度門前近くにいたから、道中で捕まえてきたイナゴを数匹あげた。
氷河「よく父さんとイナゴ取りにも行ったなぁ…」
俺はしばらくピヨズを見ていたが、誰かが家からこっちに来る気配を感じたから、急いで逃げ出した。俺は家から少し離れたため池へ来た。ここには、秘密基地っぽいいい感じのスペースがある。
氷河「もう暗いし寝ようか。ここなら滅多に人も来ないし、虫は結界で入ってこないようにすればいい。明日はどうするか…」
そんな事をぼんやりと考えるうちに、段々と眠りに落ちていった。
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