【小説】星の花が降る頃に 後日談最終話

3 2023/12/07 21:47

数年後

 『話したいことがあるから、銀木犀の公園に来て欲しい』

 という一通のメールがあった。

「懐かしいな、ここ」

 夏実とは同じ女子校に行き、なんとか仲良くやっていけてる。だが、高校生になってから忙しくなり、戸部くんとは疎遠になってしまっていた。

あたりを見渡してみると、銀木犀の木があった。

月日は経ったが、あの銀木犀の香りも、見た目も、全て変わっていない。

強いて言うなら、銀木犀との距離が少し近くなったくらいだろうか。

「――よお」

 びっくりした。昔のことをぼんやり思い出していたら、いきなり戸部くんが声をかけてきた。

 照れくさそうに戸部くんは言う。

「前にもこんな事あったよな。あのときはごめんよ」

 銀木犀とは真反対で、身長も、声も、顔つきも、全て変わっている。

だが、あの銀木犀のように、私を安心させてくれる存在なことだけは変わりない。

私は、あのときとは違うとびっきりの笑顔で戸部くんに言った。

「なんか用?」

このあと私達がどうなったのかは、薔薇の下で。

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