【小説】星の花が降る頃に 後日談最終話
数年後
『話したいことがあるから、銀木犀の公園に来て欲しい』
という一通のメールがあった。
「懐かしいな、ここ」
夏実とは同じ女子校に行き、なんとか仲良くやっていけてる。だが、高校生になってから忙しくなり、戸部くんとは疎遠になってしまっていた。
あたりを見渡してみると、銀木犀の木があった。
月日は経ったが、あの銀木犀の香りも、見た目も、全て変わっていない。
強いて言うなら、銀木犀との距離が少し近くなったくらいだろうか。
「――よお」
びっくりした。昔のことをぼんやり思い出していたら、いきなり戸部くんが声をかけてきた。
照れくさそうに戸部くんは言う。
「前にもこんな事あったよな。あのときはごめんよ」
銀木犀とは真反対で、身長も、声も、顔つきも、全て変わっている。
だが、あの銀木犀のように、私を安心させてくれる存在なことだけは変わりない。
私は、あのときとは違うとびっきりの笑顔で戸部くんに言った。
「なんか用?」
このあと私達がどうなったのかは、薔薇の下で。
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