【小説総選挙】その海の堤防で。(1)
最近、楽しいことも多いけれど疲れることも多いな。
帰ってから散歩でもしようか。
「はるーっ」
邪魔な人が私の名前を呼んだ。
私の名前を呼んだその人は隣の席の男子、ゆうきだった。
なぜ名前を呼んだかはすぐに察した。
私の好きな人─かいとくん─がすぐ近くに居たからだろう。ゆうきは笑みを浮かべてこっちを見ている。それは、私の幸せを願う笑みではなく、不幸せを願う笑みだと思った。
「うるさいよ。」
私はそう笑って答えた。
正直私は笑って過ごしてるけどゆうきのいじりのせいで私はクラスで【いじられキャラ】となっている。
ゆうきのせいで落ち込むこともあるが、救われることもあった。こんな日々でも幸せだな。
そんな感じでぼーっとしたまま家に帰った。
「ただいまー、って誰もいないか。」
私の帰宅の合図に答えたように波の音が聞こえた。
気づいたら海へ向かっていた。
堤防に座って日が沈みかける海をただ、見つめた。
「きれい...」
声にならないくらいの大きさで、呟いた。
そのつもりだった。
「そうだな。」
後ろから聞こえた声にビクッと体を揺らした。
聞きなれた声、というよりかは私がずっと脳内で再生している声だった。
「驚かせてごめんな。ちょっと散歩に来たらはるを見つけてさ。」
かいとくん?私なんかに話しかけてくれた。
嬉しくなって自然と笑顔になる。
「かいとくんか、びっくりした笑」
「日が沈むまで一緒に海見てようよ。」
心臓の音が聞こえるのではないか、とさらにドキドキしてしまう。
「うん。」
ぎこちなく答えてしまった。不自然じゃないかな。とか、この空間は夢ではないかとか思考をめぐらせていたらまた、話しかけられた。
「はるって、意外と優しいよね。」
「え。」
確かに、私は人に優しくするようには心がけている。
でも【いじられキャラ】である私の気遣いに気づいてくれる人なんていないと思っていた。
「ほんとだよ。」
私が嘘ではないかと思ったのを見透かしたかのように私から目を逸らして呟いた。
「ありがとう?」
曖昧に答えて、私もすぐに目をそらす。
私の顔はきっと赤く染まっていただろう。それは夕日でか、恥ずかしくてか。
しばらく静かな時間が流れる。
溶けるような夕日が、全て溶け切ろうとしていた。
「日が沈んじゃう。」
心の中で呟いたつもりが、声に出ていた。
「そうだね。俺は塾があるからまたな。」
「そっか。途中まで一緒に行ってもいいかな。」
帰りかけたかいとくんに少し勇気を出して声をかける。するとかいとくんは振り向いて輝くような笑顔を向けた。
「暗いから、はるの家まで、な?」
「いいの?」
「どうせはるの家の前通るし。」
「ありがと。」
かいとくんの不器用な優しさが今までにないくらい嬉しかった。
2人で並んで歩く道。何も言わずに車道側を歩いてくれているかいとくん。
周りにどんだけ何かを言われようともこんな幸せな時間がすごせるならもう何でもいいかな。家が遠ければいいのに。と、何度思ったか。
「またね。」
家についたらかいとくんから言ってくれた。
「またね。塾頑張って。」
「頑張るわ。次のテスト負けないから。」
寂しく思いながら、私は家に入った。
「ただいまー。」
「おかえり。なんか嬉しそうね。」
買い物から帰ってきていた母には私の気持ちはお見通しのようだった。父さんももう少しで仕事から帰ってくるだろう。
明日、かいとくんになんて話しかけよう。そう悩みながらその日は眠りについた。
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夜に謎のテンションで作った話なので暖かい目で読んでくれたらありがたいです🙇🏻♀️
いいねがついたら2も作ろうかと。
ぜひ投票よろしくお願いします✨
編集しました!!少し文のおかしな所や、!、?、を減らしました🙇🏻♀️⸒⸒おおまかな内容は変えてないのでだいぶよく分からないストーリーですが...