『クリスマス総選挙・小説部門』オーナメントは爆ぜる物。
大きなクリスマスツリーに
沢山の電飾を巻く。
偏らないように
豪華なオーナメントを沢山。
さながら深緑のドレスに
輝く模様が入った様。
私がバイトしている
このショッピングモールも、
このドレスの模様入れが
終わってしまえば
忙しいセールが始まる。
クリスマスが始まる。
ツリーの頂点には光り輝く
星型の飾り、じゃない。
私が仕込んだ
爆弾だ。
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私には、好きな先輩が居る。
けど私は先輩に好かれたいとか、
そんな事は思ってない。
恋を追いかけてるのが好きだから。
けど、結ばれた後のリア充達は
大っ嫌い。
カップルの象徴みたいなクリスマス…
消えてしまえば、いいのに。
ウチのショッピングモールは
庭、みたいな場所があって、
ここらで一番人気のデートスポット。
クリスマス期間は
9mの大きなツリーとイルミネーションが
用意されて、そこで告白するのが定番だ。
だから、そこのツリーに飾る
星の飾りに爆弾を仕込む。
材料は科学部の親友に
薬品庫から盗んでもらった。
25日の午後、10人以上人間が居る時。
それが爆弾のセンサーが反応する時。
そして今日は25日の午前。
もうちょっとだ。
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午後。
早く、その時が来る事を望んでいる。
どーせ沢山のリア充が
集まるんだろうな。
大っ嫌いなあいつらが
爆ぜて消えてしまえばいい。
今日はバイトも無いし、
家でテレビを付けて、
速報が来るのを今か今かと待ちわびる。
『〜♪』
電話が鳴った。先輩からだった。
「…もしもし」
『もしもし?
えっと、良かったら
ショッピングモールの
庭に来てくれない?』
「私で良ければ…!」
電話を切る。胸が高鳴っている。
行かないと。
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先輩が居た。
周りには4組位のカップルがいる。
けど、そんなことはどうでもいい。
今は、先輩。
私が来たのを確認すると、
こちらを見た。
「俺と付き合ってください!」
こく、はく…?
「よろk──」
言おうとした。
無理だった。
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綺麗だと思ったあのドレス。
深緑が美しかった。
でももう、緑じゃないな。
真紅のドレスに変わったから。
嫌いな存在、居なくなった。