【年末年始総選挙】心に翼を生やして
年末の街はクリスマスの喧騒が過ぎ去り、静かな期待感に包まれていた。
水無月 舞は心躍る正月を待ち望んでいたが、その心の奥にはどこか寂しさが潜んでいた。
舞は友達の星乃莉亜と一緒に特別な思い出を作りたいと考えている。
けれど、莉亜の抱える秘密を知ることはなかったのだ。
新年が明けると、舞は莉亜と共に初詣に出かけた。
神社は賑わい、参拝客たちの笑顔で溢れている。
舞は、神社の境内で御神籤を引くことにした。
「大吉」が出た瞬間。
舞の心は嬉しさで満たされたが、その喜びの裏には莉亜の表情がどこか曇っていることに気づいていた。
「見て、私大吉だったんだよ!」
舞はすぐさま莉亜に見せると、莉亜は一瞬微笑む。
だが、その目にはどこか影があった。
「私は中吉。まあまあかな。」
と言いながらも、舞は莉亜の心の奥にある不安を感じ取った。
2人は新年の抱負を語り合ったが、舞の心には莉亜のことが引っ掛かっていたのである。
その後、舞は家族と一緒に御節料理を楽しむことにした。
色とりどりの御節やお雑煮が並び、家族に温かさを感じる。
舞は、家族との絆や伝統に大切さを再確認した。
心が満たされていくが、やはり莉亜のことが頭から離れなかった。
「お母さん、これは何の料理?」
「それは黒豆と言って、「まめに暮らせるように」と言う願いを込めて作ったんだよ。あと、健康にためにもね。」
舞は家族の愛情が込めらた料理を味わいながらも、莉亜の笑顔がどこか遠くに感じられた。
お正月の楽しみの一環として、舞と莉亜は街に出かけ初売りを楽しむことに。
お洒落な服や雑貨を見ながら2人は笑い合ったが、舞はやはり違和感を感じずにはいられない。
「これ、似合うかな?」
舞は鏡の前でポーズをとる。
莉亜は食いつくように
「すごく可愛い!絶対買うべき!」
と言ってくれた。
けれど、その声には力がなかった。
さらに、舞は莉亜と一緒にお正月の特別なスイーツを楽しむことにした。
和菓子屋で美しい正月の和菓子を買い、カフェでお茶をしながら夢や将来の話をする。
莉亜の明るい性格に触発され、舞は自分の夢についても前向きに考えるようになったが、莉亜の笑顔がどこか儚げに見えた。
「舞は将来、何をしたいの?」
「私は絵を描くことが好きだから、アーティストかな。」
「絶対できる!頑張れ!私も応援してる!」
莉亜はそう励ましてくれた。
けれど、その言葉にはどこか虚しさが漂っている。
年末開始の出来事を通じて、舞は友達との絆や家族の大切さを再確認し、自分の心に翼を生やして新たな一歩を踏み出す準備が整った。
しかし、莉亜の心には舞が知るはずもない深い闇が広がっていたのだ。
数日後、舞は莉亜からの突然の連絡を受けた。
「ごめんね、舞。今は会えない。」
短いメッセージ。
舞は心配になり、何度も電話をかけたが莉亜は出なかった。
そのまた数日後、舞は莉亜の家を訪れる。
莉亜の家の前は、静かな空気が漂っていた。
不安な気持ちを抱えながら、舞は莉亜の家のドアをノックする。
すると、莉亜ではなく莉亜の母が出てきた。
莉亜の母は私を見ると、驚いたような顔をして口を開いた。
「あの、舞ちゃん…。莉亜は、いま少しお休みをしているの。」
その表情には心配の色が浮かんでいた。
そのことに気づいた舞は、胸が締め付けられる思いだった。
「な、何かあったんですか?」
私が尋ねると、莉亜の母はオドオドしながら
「莉亜は最近、心のことで悩んでいて、少し休む必要があるの。」
舞は愕然とする。
莉亜が抱えていた苦しみを知らずに、楽しい時間を過ごしていた自分がものすごく情けないと感じる舞。
舞は莉亜の回復を願いながら、莉亜宛ての手紙を書くことにした。
『私はいつでも待ってるから。元気になったらまた一緒に遊ぼう。そして、莉亜の気持ちに気づいてあげられなくてごめんなさい。」
心を込めて書いた字は、舞らしい字だった。
手紙をポストの中にそっと入れると、舞の気持ちは軽くなった。
春が訪れ、桜が咲く頃。
舞は莉亜に会えることを願っていた。
「舞、会いたい。」
莉亜から返事が来た。
舞は嬉しさと同時に、少しの不安を抱えながら待ち合わせ場所に向かった。
莉亜は少し痩せていたが、笑顔を見せてくれた。
「ごめんね、心配かけて。もう大丈夫だよ、私は。」
莉亜は舞の手を優しく握る。
舞はその瞬間、涙腺がぶわっと熱くなった。
涙が目に浮かんできたので、袖で涙を拭う。
2人は桜の下で再会を喜び合い、過去の出来事を少しずつ話し始めた。
莉亜は自分の心の闇を語り、舞はその話を聞きながらそれを受け止めた。
舞は、これからの人生において夢を追いかける勇気と、愛する人々との絆を大切にしながら、時には切なさを抱えながら生きていくことを誓った。
舞の心には、夢を追いかける翼と友達との絆が、しっかりと根付いていた。
そして………。
人を受け止めることの大切さを学んだのである。
【あとがき】
読んでいただきありがとうございます!
この小説は、私が2024年11月23日から書き始めたものです。
魂を削り、寝る間も惜しんで書きました。
て言うか、本当にすごく頑張ったんです。
ご飯もろくに食べられなかったし、、、
ちなみに表紙絵の翼は拾い画です。
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