ヒーローと巫女さん第十二話:幻想な女子会
もう暑い春だが、冷房のついたバスの中ではなく、外で、11人が八百万がだしたのか、サッカーをしていた。残りの9人はトイレで合わなかったし、近くの自販機にもいないことを見ると、消去法的にバスの中で、ボードゲームといったところだろう。スマホの類は急すぎて持ってこれなかったのだから
と霊夢は推測する。
「こっちはなんでこんなに暑いんだろ」
そう言いながら、バスに乗り込むと、女子陣+障子、常闇、口田の3人と隅っこで寝ている先生がいた。
男子陣は3人でカタン─これもまた、八百万が作ったボードゲームだろう─
女子陣は6人全員でおしゃべりしていた。そこに霊夢はわってはいる。
「あと80分くらい休憩ってあるの?」
なんとも下手な割り込み方だろうか。でも、八百万が親身に答えてくれる。
「未定ですけど、それくらい長くなってもおかしくはないですわね。先ほど、相澤先生が、バス移動での渋滞を避けるため、解消されてから出発すると仰ったので」
「なるほど」
流石に霊夢は会話を中断させてしまったことに引け目を感じつつも、適当な返事をしておく。
「教えてもらったお礼と、会話中断のお詫びになるかはわからないけど、一人一つどんな質問でも正直に答えるわ。なんなら、アドバイスしてあげても良いわよ。基本は5W1Hとかのね。
さぁ、私の故郷についてでも、まぁ田舎だけど、美容関係でも、恋バナでもなんでも、どんと──────
色恋沙汰はどんな女児でも好きなものだから、まぁ、相応なもの以上だろうと思いながら、6人全員が獲物を狩る目つきに変わったのを瞬時に見抜き、これはまずいと条件を追加する。
「質問の内容は31文字・・・・・・いや、17文字以内、文字の数え方は俳句方式で」
虎穴に入らずんば虎子をえず、関係構築のためにも、多少のリスクは許容範囲だ。と自分自身に霊夢は言い聞かせた。
「質問は、私から時計回りで言ってかない?」
八百万の左に座っている麗日がそう言う。霊夢が一気に質問を受けて一つ一つ回答するよりも、段取って受けた方がより多くの情報を引き出し、後続の質問の内容を吟味する時間を与えるためであろう。しかも一番頭がキレそうな八百万を最後に回す作戦だ。そのことをさっきの試験よりも素早い頭の回転で理解したその他女子陣5人と霊夢はどちらも賞賛を麗日に与えていた。
「「賛成」」
その声が響き、霊夢への質問攻めが開始される。
「中学校時代に、彼氏とかは?」
「そう言う人はよくわからないけど、男、男ねぇ。よく服作ってもらう雑貨店みたいなのを経営してる人だとかが一番仲良いかしら。意識したことはないけど」
弾幕を避けるように飄々と言い放った霊夢とは対照的に、女子陣からは歓声と呼ぶべき歓声が上がった気がする。そして追撃はまもなく、さっきまでチームメイトだった耳郎によって行われた。
「その年上とのエピソードとかある?」
「特に無い、その人の作った服を大抵毎日着たり、兄のような幼馴染な関係が私の親友とあったり、蒐集家だったり、それくらい」
黄色い声ってこんなんなんだなぁと霊夢は思った、黄色の黄色い声しか聞いたことなかったので、再確認程度だが。そして次は芦戸だ。
「じゃあ、話題をかえて〜
初恋は?どう?!ある?!だれ?!」
「・・・・・・・・・・・・多分、 いない...」
この瞬間、少し霊夢が声を小さく言ったのを、霊夢以外の6人の女子が同時に聞き取り、理解し、同じ推論を立てた。
((こいつ!!いる!!))
かくして、6人は超人的な速度、理解度を持って緊急会議を始める。まずは、次の質問者である葉隠を見つめる。
その一瞬で葉隠は、他5人の期待を背負っており、要であることを理解。協力を乞うように目を配るが、透明でそれがわからないことに気づき瞬時に、細かいハンドサインで協力を求め、他5人が小さく頷く。一番最初に提案してきたのは耳郎。個性のイヤホンで、形を作り、アルファベットのOを作る。おそらく、whoの意、つまり、誰かを聞くという意味だろう。無難だが、それが安牌であり、霊夢のこれまでの会話から、人となりも判りそうだ。やはり無難な結末かと、その全員の頭によぎる。それならエピソードで良いのではと、蛙吹が下で工の形をつくると。確かに、田舎と言っていたし、現在もなのかは定かでは無いが遠距離恋愛。であることは確定している。その二人が近距離だった時代の話。これもまた無難、安牌だが、良い。できればもっと聞きたいが、まだ3人残っている十分だ。
会議はここまで3秒もたっていないが、これで良いかと葉隠が見えない口を開こうとした時、その6人がそれぞれ知恵の輪のパーツであったように、全員が初恋の人が誰なのか快刀乱麻を断った。
((絶対、親友だ!!))
田舎であり閉鎖的なコミュニティ、少子高齢化問題。友達でなく親友、そして親友の兄のような存在である年上、霖之助。つまり、田舎のような子供の少なく、全員が顔見知りに、友達になるようなところでは、親友はやはり、かなり特別であり、さらに、その親友にら兄のような存在である霖之助がいる。つまりは、その親友は年上である霖之助より、年齢が低いと考えられる。ここから同年代だったと、仮定してみると、あら不思議、学校で一緒に遊んだり、お泊まり会をする様子が目に浮かぶではありませんか。もうこれは恋でしょう。初恋でしょうと。その5人はそんなように思った。ならばやることは一つ。葉隠は喋り出す。
「いないならしょうがないッ。じゃあさっき言ってた
親友について教えて?」
「・・・・魔理沙、霧雨魔理沙のことね。私の看病とかもしてくれるし面倒見がいいところもある、同年代くらいの子なんだけど、物を死ぬまで借りるだけとか言って、盗んだりするヤンチャで、でも、私よりも頭がいい天才で、だけど、人知れず努力してて、まぁ、いつも、いろんなとこからインスピレーションをもらって考えて反省してることくらい。私にとってはバレバレだけどね」
霊夢は少し早口に言う。さらに、かなりな文字数喋ったこと、最初、少し驚いたのか間があったことから、親友の初恋路線がほぼ確実となり、次の質問者は蛙吹へと移る。あとは、八百万に委ねれば良いので、ここは気楽でもある。
「じゃあ、そうね。どんくらいから知り合ったの?」
「はっきりとは覚えてはないけど、学校に行く前ではある。境遇も近かったし、すぐに仲良くなったわ」
幼馴染かと、全員が納得する。恋において最強の属性の一つだ。そして最後に、八百万の番になった。
「最後の質問は─────────────
とっておきましょう」
「「ええ?!」」
八百万がそう言ったことに対して、4人が不満そうな顔つきをしながら、疑問を持ちながら驚く。そこに霊夢は八百万の意図なのかはわからないが、自分の意見で補足してみる。
「それが賢明でしょうね。私は時間指定だってしてないし、なにせ、もし私に色恋沙汰があった時に使えるしね。それに、十二分に、私の友情については聞き出せたでしょう? 不満かも知れないけど、残念ながら、私は結構意地悪なのよ」
不満の声も漏れたが、すぐそのあとに起こったことで、流れた。渋滞が解消されたのだ。いつのまにか起きていた相澤が、八百万に向かって
「全員をバス内に戻るよう言っておいてくれ。俺はさっきトイレに行ったバスの運転手さんに報告してくる」
「スマホで連絡は?」
「残念なことに、カバンごとバスの座席において行っている。さっきメールをしたが通知の振動音がカバンの方から聞こえたからそうだろう」
もちろん、八百万は快く受理した。ヒーローとは、大抵は、皆の上に立つ物なのだから、まとめる力も必要だ。相澤と一緒にバスから降りて、相澤はトイレへ、八百万は、試験会場で、サッカーをしている男子陣へと赴いた。
相澤が運転手と共に戻ってきて十数分後に、八百万は、帰ってきた。バス内にも聞こえるように、大きな声で言う。
「相澤先生! 申し訳ありません、おそくなってしまって!」
「気にしなくていい、兎に角、早く皆を乗せ──────────
突如として、バスの周り、いや、バスを停めている駐車場全体に、影がさした。異変を感じて、外にいる八百万が焦るように上へ向く。
「ビルが落ちているんでの・・・・・・?!!」
どこからともなく現れたビルによって押しつぶされようとしていた。

