二人の妹。
「ハァー、憂鬱じゃのー。」
コン様が床に寝転がり、溜め息をついておられる。
「どうされたのですか?」
「うるさいが起きてくるのじゃ、もう千年眠っておればよいものを。」
「うるさいの?」
「悪霊じゃ、好き好んで人間に憑き、力を貸しておる。」
「悪量がなぜそのような…」
「知らん、そんなことは些末なことじゃ、問題は…」
「問題は?」
「あやつが妾の稲荷寿司を食いにくる事!」
「なんと!」
「大量に作っておけ、妾の分がなくなる。」
「は!」
コン様の耳がピクピクと動いた。
「来たか!忌々しい。」
社務所を飛び出して行かれた。
「久しいのう、山狗。」
コンは己と良く似た耳のついた少女を睨んだ。
「久しぶりじゃな、化け狐。」
悪量の身で神たる己を嘲笑うような口調、やはり不快だ。
「貴様、輪廻の輪へ送ってやろうか?」
「ほう?マグマの魔王様に向かってずいぶんと…」
「なにが魔王じゃ、ただの寂しがり屋じゃろう。」
「溶かしてやろうか貴様!?」
「やめんか!時期に器が生まれるのじゃろう?」
「ぐぬぬ!」
「うまくやれよ?神職の娘じゃ。」
「ボクを子供扱いするなー!」
「ええい、早ういけ!稲荷寿司やるから。」
~数年後~
「かっこいいな~殲滅部隊。」
妹がテレビに釘付けになっている、無理もない、国防殲滅部隊の隊長が映っているのだ。
「お前好きだよなその人。」
「お兄は好きじゃないの?」
「俺苦手なんだよ、いつもふさふさした服着て、陽キャオーラすげえじゃん。」
「え~。」
お菓子を買ってもらえなかった子供のような声を出す。
「あんなふうになりたいな〜。」
「俺らには無理、あの人たちが特別なの。」
「そんな言い方しなくていいじゃん!」
「泣くなよ、悪かったて、けどなあぶねえだろ?兄ちゃんはお前が心配なんだよ。」
「なーんだ!よかった。」
にっこりと笑っている、忙しい奴だ。」
「大丈夫、ボクはどこにも行かないから。」
抱きついてきた。
「お兄と一緒がいいんもん。」
「ミヤちゃんは変わんねえな。」
「もー、その呼び方やめてってば!」
国防殲滅部隊、人の脳みそを食う知的生命体と戦うために政府が作った組織。
俺たち一般人の生活は彼らが守ってくれている…という事だが実感が湧かない。
あまりに非現実的だ、そう俺たちには関係ない、そのはずだった。
「転校生?」
「うん、殲滅部隊の人だって!」
ミヤがすごく嬉しそうにしている。
「あのなあ、はしゃぐのもわかるけど、その人任務で来たんじゃないか?
そしたら地元にあの…シャドーだっけ?化け物がいることになるんだぞ?」
「大丈夫だよ、黒神隊長の娘さんがきてくれるんだから。」
「あのフサフサした人の娘!?」
,,いやそんなことより大事な事がある,,
「ミヤ、失礼なことするんじゃないぞ、国家公務員の娘さんなんだからな?」
「はーい。」
少し悲しそうな声だが、兄としてビシッと言っておく必要がある、大事なことだ。」
「えー、今日から転校生が…来ます! 入って、ください。」
いつもは声の大きい教師が、今日は言葉を詰まらせている。
入ってきたのは、綺麗な青髪の女の子だった。
「うわっかわいい!」
「スッゲー、美人じゃん。」
「こら、ざわざわするんじゃない、静かに…」
やはり、教師が弱々しい。
「黒神マキです、お願いします。」
女の子は小さな声で挨拶した。
「えー、というわけで転校生の黒神さんだ、昨日連絡したが、黒神隊長の娘さんで、殲滅部隊に所属している、
忙しい事もあるだろうから、みんな邪魔はしないように。」
「はーい。」
ミヤにはマキが悲しそうな目をしているように見えた。
このトピックは、名前 @IDを設定してる人のみコメントできます → 設定する(かんたんです)