怖い話続編(閲覧注意)

8 2021/06/19 16:29

オレとAは極力触らないようにし、構わず触るBにも、乱暴にはしないよう注意させながら箱を調べてみた。

どうやら地面に底を直接固定してあるらしく、大して重さは感じないのに持ち上がらなかった。

中身をどうやって見るのかと隅々までチェックすると、後ろの面だけ外れるようになってるのに気付いた。

B「おっ、ここだけ外れるぞ!中見れるぜ!」

Bが箱の一面を取り外し、オレとAもBの後ろから中を覗き込んだ。

箱の中には、四隅にペットボトルのような形の壺?が置かれてて、その中には何か液体が入ってた。

箱の中央に、先端が赤く塗られた五センチぐらいの楊枝みたいなのが、変な形で置かれてた。

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こんな形で六本。接する四ヶ所だけ赤く塗られてる。

オレ「なんだこれ?爪楊枝か?」

A「おい、ペットボトルみてえなの中に何か入ってるぜ。気持ちわりいな」

B「ここまで来てペットボトルと爪楊枝かよ。意味わかんねえ」

オレとAは、ぺットボトルみたいな壺を少し触ってみたぐらいだったが、Bは手に取って匂いを嗅いだりした。元に戻すと、今度は/\/\>を触ろうと手を伸ばす。

ところが、汗をかいていたのか指先に一瞬くっつき、そのせいで離すときに形がずれてしまった。

その一瞬

チリンチリリン!!チリンチリン!!

オレ達が来た方とは反対、六角形地点のさらに奧にうっすらと見えている柵の方から、物凄い勢いで鈴の音が鳴った。

さすがに三人とも「うわっ」と声を上げてビビり、一斉に顔を見合わせた。

B「誰だちくしょう!ふざけんなよ!」

Bはその方向へ走りだした。

オレ「バカ、そっち行くな!」

A「おいB!やばいって!」

慌てて後を追おうと身構えると、Bは突然立ち止まり、前方に懐中電灯を向けたまま動かなくなった。

「何だよ、フリかよ?」と、オレとAがホッとして急いで近付いてくと、Bの体が小刻みに震えだした。

「お、おい、どうした…?」

言いながら、無意識に照らされた先を見た。

Bの懐中電灯は、立ち並ぶ木々の中の一本、その根元のあたりを照らしていた。

その陰から、女の顔がこちらを覗いていた。

ひょこっと顔半分だけ出して、眩しがる様子もなくオレ達を眺めていた。

上下の歯をむき出しにするように、い~っと口を開け、目は据わっていた。

「うわぁぁぁぁぁ!!」

誰のものかわからない悲鳴と同時に、オレ達は一斉に振り返り走った。

頭は真っ白で、体が勝手に最善の行動をとったような感じだった。

互いを見合わす余裕もなく、それぞれが必死で柵へ向かった。柵が見えると一気に飛び掛かり、急いでよじのぼる。上まで来たらまた一気に飛び降り、すぐに入り口へ戻ろうとした。

だが、混乱しているのか、Aが上手く柵を上れずなかなかこっちに来ない。

オレ「A!早く!!」

B「おい!早くしろ!!」

Aを待ちながら、オレとBはどうすりゃいいかわからなかった。

オレ「何だよあれ!?何なんだよ!?」

B「知らねえよ黙れ!!」

完全にパニック状態だった。

その時

チリリン!!チリンチリン!!

凄まじい大音量で鈴の音が鳴り響き、柵が揺れだした。

何だ…!?どこからだ…!?

オレとBはパニック状態になりながらも、周囲を確認した。

入り口とは逆、山へ向かう方角から鳴り響き、近づいているのか音と柵の揺れがどんどん激しくなってくる。

オレ「やばいやばい!」

B「まだかよ!早くしろ!!」

オレ達の言葉が余計にAを混乱させていたのはわかってたが、急かさないわけにはいかなかった。Aは無我夢中に必死で柵をよじのぼった。

Aがようやく上りきろうかというその時、オレとBの視線はそこになかった。

がたがたと震え、体中から汗が噴き出し、声を出せなくなった。

それに気付いたAも、柵の上からオレ達が見ている方向を見た。

山への方角にずらっと続く柵を伝った先、しかもこっち側にあいつが張りついていた。

顔だけかと思ったそれは、裸で上半身のみ、右腕左腕が三本ずつあった。

それらで器用に綱と有刺鉄線を掴んで、い~っと口を開けたまま、巣を渡る蜘蛛のようにこちらへ向かってきていた。

とてつもない恐怖。

「うわぁぁぁぁ!!」

Aがとっさに上から飛び降り、オレとBに倒れこんできた。

それではっとしたオレ達は、すぐにAを起こし、一気に入り口へ走った。

後ろは見れない。前だけを見据え、ひたすら必死で走った。

全力で走れば三十分もかからないだろうに、何時間も走ったような気分だった。

入り口が見えてくると、何やら人影も見えた。

おい、まさか…三人とも急停止し、息を呑んで人影を確認した。

誰だかわからないが、何人かが集まってる。あいつじゃない。

そう確認できた途端に再び走りだし、その人達の中に飛び込んだ。

「おい!出てきたぞ!」

「まさか…本当にあの柵の先に行ってたのか!?」

「おーい!急いで奥さんに知らせろ!」

集まっていた人達はざわざわとした様子で、オレ達に駆け寄ってきた。

何て話しかけられたかすぐにはわからないぐらい、三人とも頭が真っ白で放心状態だった。

そのままオレ達は車に乗せられ、すでに三時をまわっていたにも関わらず、行事の時とかに使われる集会所に連れてかれた。

中に入ると、うちは母親と姉貴が、Aは親父、Bはお母さんが来ていた。

Bのお母さんはともかく、ろくに会話した事すらなかったうちの母親まで泣いてて、Aもこの時の親父の表情は、普段見た事ないようなもんだったらしい。

B母「みんな無事だったんだね…!よかった…!」

Bのお母さんとは違い、オレは母親に殴られAも親父に殴られた。だが、今まで聞いた事ない暖かい言葉をかけられた。

しばらくそれぞれが家族と接したところで、Bのお母さんが話した。

B母「ごめんなさい。今回の事はうちの主人、ひいては私の責任です。本当に申し訳ありませんでした…!本当に…」

と、何度も頭を下げた。

よその家とはいえ、子供の前で親がそんな姿をさらしているのは、やっぱり嫌な気分だった。

A父「もういいだろう奥さん。こうしてみんな無事だったんだから」

オレ母「そうよ。あなたのせいじゃない」

この後、ほとんど親同士で話が進められ、オレ達はぽかんとしてた。

時間が遅かったのもあって、無事を確認しあって終わり…って感じだった。この時は何の説明もないまま解散したわ。

一夜明けた次の日の昼頃、オレは姉貴に叩き起こされた。

目を覚ますと、昨夜の続きかというぐらい姉貴の表情が強ばっていた。

オレ「なんだよ?」

姉貴「Bのお母さんから電話。やばい事になってるよ」

受話器を受け取り電話に出ると、凄い剣幕で叫んできた。

B母『Bが…Bがおかしいのよ!昨夜あそこで何したの!?柵の先へ行っただけじゃなかったの!?』

とても会話になるような雰囲気じゃなく、いったん電話を切ってオレはBの家へ向かった。

同じ電話を受けたらしくAも来ていて、二人でBのお母さんに話を聞いた。

話によると、Bは昨夜家に帰ってから、急に両手両足が痛いと叫びだした。

痛くて動かせないという事なのか、両手両足をぴんと伸ばした状態で倒れ、その体勢で痛い痛いとのたうちまわったらしい。

お母さんが何とか対応しようとするも、「いてぇよぉ」と叫ぶばかりで意味がわからない。

必死で部屋までは運べたが、ずっとそれが続いてるので、オレ達はどうなのかと思い電話してきたという事だった。

話を聞いてすぐBの部屋へ向かうと、階段からでも叫んでいるのが聞こえた。

「いてぇいてぇよぉ!」と繰り返している。

部屋に入ると、やはり手足はぴんと伸びたまま、のたうちまわっていた。

オレ「おい!どうした!」

A「しっかりしろ!どうしたんだよ!」

オレ達が呼び掛けても、「いてぇよぉ」と叫ぶだけで目線すら合わせない。

どうなってんだ…

オレとAは何が何だかさっぱりわからなかった。

一度お母さんのとこに戻ると、さっきとはうってかわって静かな口調で聞かれた。

B母「あそこで何をしたのか話してちょうだい。それで全部わかるの。昨夜あそこで何をしたの?」

何を聞きたがっているのかは、もちろんわかってたが、答えるためにあれをまた思い出さなきゃいけないのが苦痛となり、うまく伝えられなかった。

というか、あれを見たっていうのが大部分を占めてしまってたせいで、何が原因かってのが、すっかり置いてきぼりになってしまっていた。

「何を見たかでなく何をしたか」と尋ねるBのお母さんは、それを指摘しているようだった。

Bのお母さんに言われ、オレ達は何とか昨夜の事を思い出し、原因を探った。

何を見たか?なら、オレ達も今のBと同じ目にあってるはず。

だが何をしたか?でも、あれに対してほとんど同じ行動だったはずだ。

箱だってオレ達も触ったし、ペットボトルみたいなのも一応オレ達も触わってる。

後は…楊枝…

二人とも気付いた。楊枝だ。あれにはBしか触ってないし、形もずらしちゃってる。しかも元に戻してない。

オレ達はそれをBのお母さんに伝えた。

すると、みるみる表情が変わり震えだした。

そしてすぐさま棚の引き出しから何かの紙を取出し、それを見ながらどこかに電話をかけた。オレとAは様子を見守るしかなかった。

しばらくどこかと電話で話した後、戻ってきたBのお母さんは震える声でオレ達に言った。

B母「あちらに伺う形ならすぐにお会いしてくださるそうだから、今すぐ帰って用意しておいてちょうだい。あなた達のご両親には私から話しておくわ。何も言わなくても準備してくれると思うから。明後日またうちに来てちょうだい」

意味不明だった。誰に会いにどこへ行くって?説明を求めてもはぐらかされ、すぐに帰らされた。

一応二人とも真っすぐ家に帰ってみると、何を聞かれるでもなく、「必ず行ってきなさい」とだけ言われた。

意味がまったくわからんまま、二日後にオレとAは、Bのお母さんと三人である場所へ向かった。

Bは、前日にすでに連れていかれたらしい。

ちょっと遠いのかな…ぐらいだと思ってたが、町どころか県さえ違う。

新幹線で数時間かけて、さらに駅から車で数時間。絵に書いたような深い山奥の村まで連れてかれた。

その村のまたさらに外れの方、ある屋敷にオレ達は案内された。でかくて古いお屋敷で、離れや蔵なんかもあるすごい立派なもんだった。

Bのお母さんが呼び鈴を鳴らすと、おっさんと女の子がオレ達を出迎えた。

おっさんの方は、その筋みたいなガラ悪い感じでスーツ姿。女の子は、オレ達より少し年上ぐらいで、白装束に赤い袴。いわゆる巫女さんの姿だった。

挨拶では、どうやら巫女さんの伯父らしいおっさんは、普通によくある名字を名乗ったんだが、巫女さんは『あおいかんじょ?(オレはこう聞こえた)』とかいう、よくわからない名を名乗ってた。

名乗ると言っても、一般的な認識とは全く違うものらしい。

よくわからんがようするに、彼女の家の素性は一切知る事が出来ないって事みたい。

実際オレ達は、その家や彼女達について何も知らないけど、とりあえずここでは見やすいように『葵』って書くわ。

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タグ: 話続編 閲覧注意

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その他2021/06/19 16:29:15 [通報] [非表示] フォローする
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>>1
今度ちゃんと読ませていただくよw


>>2
なんで今度なんだよw


>>3
頭が回らない

起きたばっかりだからw


>>5
おはようw


>>7
昨日は10時とか、今日は昼寝してさっき起きた


>>9
17時とかに起きた


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