第二話 夏が近づく、君が遠のく
「あ、青野くん」
えっと、この声は確か…そうだ、雲崎優奈…だったか?いや。覚えてない
「どうしたの?雲崎さん」
「霧崎です。」
しまった、第一印象最悪だ。
「あっ…ごめんな」
「ふふ、いいよ。あ。用事は…」
なんだか嫌な予感がする…まあ、気のせいだと思っておこう。
「学校案内をしてほしいんだ。まだ保健室だとか職員室の場所がわからなくって。」
え、学校案内……めんどくさ…じゃなかった。面倒だから河谷に頼もうかと思ったがせっかく声をかけてもらったんだ。これこそ優等生の役割!
「だ、駄目?」
「いや、いいよ。放課後にしよう」
「本当!?」
嬉しそうにこっちを見てくる、可愛い…あ、読者さん。今の撤回です。
そして放課後になった、霧崎さんはまだ来ない。なんだか心配になってきた。
「青野くん!!」
おそらく全力で走ってきたのだろう、靴下が汚れている。
「こ、これ…クッキー。焼いてきたのっ。学校だから駄目ってわかってるけど!食べてほしいの!」
え、女子からお菓子をもらうなんて初めてだ。強いて言うなら隣のおばさんにチョコを1つもらったことくらいしか覚えていない。
「え、いいのか?」
「うんっ!」
「嬉しい、ありがとう」
その瞬間彼女の目から涙が溢れた。
「霧崎さん、大丈夫?」
「だいじょうぶ。なんか、嬉しくって…」
「学校案内行ける?」
「うん、大丈夫」
「よかった。」
その後、俺は霧崎さんにいろんな場所を教えた。
「で、ラストがここの音楽室だ。」
「わあ綺麗っ」
音楽室が綺麗?聞いたことがない。
「見て、あの夕陽!すごく綺麗だよねっ!」
彼女が満面の笑みで言う。
「そうだな」
「人間の終わりってこんな感じなのかな」
「え?」
「誰にも気付かれずに、だんだん沈んでいく。そんなの…悲しいよね」
彼女は今にも壊れてしまいそうな小さな声で言った。
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