雪はただ静かに【1】@新連載小説
「リクレ。。。」
久しぶりに見たリクレはたくさん降り積もっているどの結晶よりも、静かだった。
リクレから僅かに聞こえる生命の音。
けれどそれさえもかき消してしまうくらい結晶はうるさかった。
「リクレ…リクレ…」
あの時この手から離さなければ。
そう思って自分の手を見るが、リクレは起きるわけではない。
あの時発したあの言葉さえなければ。
リクレと今頃、真冬のストーブよりも暖かい関係になっていたのかもしれない。
あのヒトコトで。
あのボウリョクで。
あのタイドで。
傷つけてしまっていた。
と気付いた。
真っ白な銀世界に1人、、2人で。
誰に気付かれるわけでもない事を分かっておきながら。
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