余命1日の君を詠う 【小説】
未玲亜さんの小説大会に参加させていただきました
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絶対いや/最悪だ
そんな互いの言葉から始まった今日だった
*
〇〇病院奇病棟
ここには、治療法がなく極めて稀な病気
奇病と言われる患者が入院している
僕、刹那はまぁいわゆる不老不死
痛みはあるのに死ねない
それが嫌で自殺(もちろん未遂)を繰り返し、、、
ここに送られた
*
「刹那君、ちょっといい?」
よく来る看護師の人だ
「この間の話なんだけど」
あぁ、隣の部屋に〜ってやつか
『嫌。よう知らん奴と一緒になんか居られるか』
*
結局おされた、、、
「それじゃ1日、頼んだよ〜」
看護師は僕の言葉を無視って行ってしまった
『あ、あの〜』
部屋に通され女の子と対面する
《はぁ〜最後の日がこんな奴となんて》
『圧におされて来てみればこんな奴とは』
《絶対いや/最悪だ』
*
あれから約十分
僕達はまぁちょっと仲良く、、、なんてなる訳もなく
一言も話さず気まずい雰囲気が漂っている
『えっとぉ〜、、名前、、聞いてもいい?』
空気を変えたくて話しかけてみる
《、、とわ、永遠って書いてとわ》
永遠
《あんたは?》
『僕は刹那、ちょうど永遠さんと逆の意味だね』
皮肉にもね、と永遠が言う
《あたし、今日で死ぬんだ》
看護師がここに僕を連れて来たのは
生きたいって気持ちを持たせるためってだけ聞いてた
なるほどな
《あたし月夜病なんだ》
*
メモ:月夜病
・余命一年以下の人のみが発症する
・自分の余命が分かってしまう
・亡くなる日の夜、光となり消える為遺体が残らない
・前世で月夜病になっていた場合高確率で記憶が残っている
*
『月夜病か』
確か母さんが死んだのもこの病気だっけ
《はぁ。余命が確定して半年、最後の1日に知らない奴とって》
そう永遠は言う、、まってこれ
『僕悪くなくね?』
、、、
また黙ってしまった
気まずい、、、
*
♪〜♪〜
!歌が聞こえる
何だろ、知らない曲
《♪〜♪〜》
永遠が歌っている
綺麗だけでは表せない引き込まれる様な歌声
《やっと起きた。気まずくなって寝るって何》
そう言われて気づく
永遠の最後の1日を任されて
寝ていた⁉︎
『やらかした』
《ww馬鹿じゃん。、、ねぇ刹那》
苦笑され戸惑っていると
急に真面目な顔をして
《外、行きたい》
『は』
あまりの唐突さに思わず声が出る
《だから、外行きたい。許可取ってきて》
『はぁ』
自分でいけよ
なんて考えは一旦置いておいて
*
突然ですがここはどこでしょう
、、、誰に言ってんだろ
まぁあれからいろいろあって病院の敷地内へは出ていいって言われた
永遠はこの半年一度もあの部屋から出ていなかったらしく
《みてみて刹那、花!花!》
なんてはしゃいでる
《じゃーんあたし結構器用じゃない?》
そう言って花かんむりを俺の頭に乗せてくる
永遠の花かんむりは本当に上手だった
よく妹に作ってあげていた俺でも負けるくらい
そうやって僕と永遠は日が暮れるまで遊んでいたが
*
《、、、》
『永遠?ねぇ永遠!』
月夜病の主な死因は衰弱死
永遠だって例外ではない
[お前のせいで、お前が連れ出したからだ]
病院からの連絡を受けた永遠の両親は
さっき来てからずっと僕を批難している
[何で娘が、あんたが任されたんだからちゃんと見てればこんな事には]
看護師の人は何度も説明する
「永遠の余命はもとから分かっていた」と
永遠の両親は全く聞いてない様だが
*
午後11時59分
あと1分で今日は終わる
永遠の体は少しずつ消えている
小さなかけらが崩れていく
『あ』
0時になるとほぼ同時に最後のかけらが消える
両親は少し前に帰って行った
娘の最後を見たくなかったそう
『何だこれ』
永遠のいたベットの上に小さな紙があった
《ありがとう刹那
また来世で会いに行くから
ぜーったい待っててね》
たった1日の出来事
僕にとっては一瞬にも満たないくらいの出来事
だったはずなのに
*
なーんて全部15年も前の事
永遠はきっと生まれ変わって楽しく暮らしてる
そう思ってもやっぱり
『あれから結局毎日来てるんだよな〜』
永遠の両親とたてた永遠のお墓
もちろん遺骨は入ってないけど
さて
帰ろうかな
『えっ、、、永遠⁈』
〈うんあたしはとわ。永遠って書いてとわ、、。久しぶりだね、刹那〉
あの時は2人とも11歳だった
対して今は14歳
『もう僕よりも年上じゃん』
そう言うと
〈あたしより長く生きてる奴が何言ってんの〉
なんて笑われた
ちなみに俺の病気は一年前に治療法が見つかって
晴れて12歳になれました!
、、、やっぱ誰に言ってんだろ
まぁ多分僕達はこれからもなんかいろいろあるんだろうけど
多分また一緒に生きていくんだろう