戻らぬ記憶に思いを馳せて。第三話「旅の始まり」
第三話 旅の始まり
そう言って白花は後ろの方を指差した。そこには赤く目立つ大きな飛行船があった。
「わぁ……!すごい……!」
私は興奮して言った。
「へへ、それほどでも……。」
白花は少し顔を赤くしながら言った。
「大丈夫?顔赤いよ?」
私は心配になり言った。すると白花はもっと顔を赤くして言った。
「だ、大丈夫だよ。」
ほんとに大丈夫かな。私はやはり心配だった。
「そんなことよりさ!さっそく冒険に行こうよ!」
白花は仕切り直したように言う。こんな飛行船で冒険できるなんて夢みたいだと思った。
「うん!」
「じゃあ早速中に入って!」
そう言って白花は飛行船に近づいて行く。その距離が1メートルほどになった時だった。『ウィーン』と不思議な音が鳴ると、ドアが勝手に開いたのだ。
「え!すごい……。ドアが勝手に開いた…!」
白花は目を見開いて言った。
「え、自動ドアだよ。もしかして覚えてない?」
「じどうドア?そんなのあったかなぁ。」
すごいものがあるんだなぁ。私は関心してしまった。白花が中に入ったので私もそれに続いて飛行船の中に足を踏み入れた。中は狭い部屋だった。正面にハシゴがあるだけの部屋だ。
「狭い……?」
私は思わず言ってしまった。もっと広いのを想像していたからだ。
「あは、そんなわけないよ。この上に部屋があるんだよ。」
白花は笑いをこらえらながら言う。なるほど。私は納得した。
「それじゃあ、僕についてきて。」
そう言って白花はハシゴを登り始める。私は少しためらってしまった。高いところに登るのが怖かったからだ。私が何もできずに棒立ちしていると、白花はそれに気づき言った。
「大丈夫?ほら、僕の手に捕まって。」
私は白花の手を掴んだ。次の瞬間、白花が私の体をひょいっと持ち上げて抱き抱えたのだ。私は頭が真っ白になってしまった。心臓がとてもドキドキしてる。しばらくするとハシゴを登り終わったのか私を床に置いた。
「あ、ありがとう……。」
私は精一杯のお礼をした。冷静になって部屋を見渡してみるとそこは普通のホテルのような部屋だった。
「わぁ…!飛行船の中ってこんな感じなんだ……!」
私は興奮気味に言った。テーブルやベット、キッチンなどほぼ何でも揃ってる、気がする。
「ここは生活スペースだよ。もう一つ寝室があるからデイリーはそっちを使って。」
「うん、わかったわ。」
「そしてこのドアは操縦席へ行けるよ!」
そう言って白花はドアを開けた。そこにはよくわからない機械やらが置いてある。
「白花は操縦できるのね!すごいな!」
「それほどでもないよ……。」
すごいなぁ。私はずっと関心していた。
「それじゃあ、少し一っ飛びしますかね!」
「わぁ!やった〜!」
そうして私たちの旅は始まりを迎えた。
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