トピ画関係✗ ふと思いついただけの小説もどき
放課後の屋上で、雲一つない茜色の空を見上げる。
ふと隣に気配を感じて目線をやると、死んだはずの親友が立っていた。
「なんで…」
自分の口から発された言葉は、どうにかなってしまいそうなほど弱々しく、震えている。
『迎えに来たよ』
親友は微笑んだ。今にも泣き出してしまいそうで、思わず抱きしめたくなる。
だが触れることは出来ないようで、自分の手は空を切る。
にわかには信じがたいこの状況を、受け入れてしまっている自分がいる。
無言のままフェンスの外側に立つ。夏の終わりに吹く風は少し冷たくて心地よい。
そんな中左手に温もりを感じる。でも今親友の方を見ることは許されない気がした。
見てしまったら、もう二度と会えないような―
『行こう』
親友の言葉に、静かに頷く。もう戻ることは出来ない。
コンクリの地面からゆっくりと離された両足は、数秒も経たないうちに真っ赤に染まった。
視界までも赤一色になり、全てが終わろうとした瞬間、走馬灯を見た。
親友は、最初で最後に恋をした相手だった。
勿論その恋は実るはずもなく、告白さえもすることはなかった。
親友としてでも一緒にいられるならそれで良かった。
数日前、親友が死んだ。
自殺だった。
何も気づいていなかった。自分が一番傍にいると思っていたのに、助けるどころか気づくことさえも出来なかった。
親友の遺書に『一番大切な親友へ』と、自分宛てのメッセージが書いてあった。今までありがとう、また会おうね。そんなどうでもいいような内容ですら、自分を責めているように感じて仕方がない。でもそれ以上に悲しみが自分を襲った。
虚無感に包まれ、ふと文章を読み返す。『また会おうね』
何を思ったか、気づくと親友が自殺した、学校の屋上へ向かっていた。
楽しかった日々、思い出にはいつも親友がいた。
最期まで一緒にいることが出来たなら、それで十分だ。
脳裏に蘇ってくる大好きな親友の笑顔は、いつまでも離れないでいる。