不思議な生き物。2
前回のあらすじ 不思議な猫(?)を拾ったブラック企業に務める(坂本 瑠那)。今回は病院に行くお話。
ブロロロロロ...車のエンジン音が聞こえる。私は、不思議な猫の入った段ボールとともに車で病院に向かっていた。
「はぁ...会社、クビになったりしないかな。電話ガチャ切りしちゃったもんなぁ」
独り言をつぶやきながら車を運転する。助手席にある段ボール。その中には猫がいる。段ボールの中に入っている猫は仰向けになり寝ている。車の冷房が涼しいのだろうか。昨日拾ってきた不思議な猫。調べてみたけどどれも当てはまるものはなかった。しかも昨日は気づかなかったが尻尾が二又に分かれている。こんな尻尾の猫初めて見た。まるで化け猫のようだ。種類も不明。何を食べるのか、どうやって生きていたのかも不明。こんなんで育てられるのだろうか。
「なんか...心配になってきた」
弱気な声をもらしながら車のハンドルを握る。ガタンッと車が大きく揺れた。少し大きめの石でもあったのだろうか。その衝撃で猫は慌てた様子で飛び起きた。あたりをキョロキョロしたあと私に向かってにゃむにゃむと不満そうな声を上げる。(私じゃないよ...)と思いながら信号で止まり猫のお腹を撫でてあげる。すると猫は安堵した様子でまた眠りについた。はぁ、よかった寝てくれた...ん?あれ?昨日は撫でさせてくれなかったのに、今日は撫でさせてくれたな。信頼してくれてるってことなのかな...それだと嬉しいけど...それから10分後、やっと病院についた。受付に向かうと待合室にはお客さんが一人もいなかった。あれ、今日は休みなのかな。そう思いながら受付に向かってみる。すると奥からパタパタとスリッパの音をさせながらナースさんがやってきた。
「お待たせしました。...ってあら?お久しぶりですね、坂本さん。」
ナースさんはよく相談に乗ってくれていた、(香菜さん)だった。久し振りに合った香菜さんは、前より色気のある女性になっていた。
「お久しぶりです。香菜さん、今日は猫...を見てほしくて」
「あら。動物を連れてくるのは珍しいですね。分かりました。佐奈には、私から伝えておきましたのでどうぞ奥へ」
私は、香菜さんに連れられ奥の部屋へ入っていく。そこには懐かしの顔があった。
「!久し振りだね!さーちゃん!」
「ん?あぁ!久し振りだな!瑠那」
さーちゃんは小学生からの同級生。久し振りとはいえこんなに男前になっていてとは思いもしなかった。
「今日はどうしたんだ?瑠那が来るなんて...」
「今日はね、見てほしい子がいて...」
「ん?どれ、見せてみろ」
私は、猫の入った段ボールを机の上に置く。
「あぁ!〝エーフィ〟か!瑠那が連れて来るなんて思いもしなかったが...」
「?エーフィ?なにそれ、聞いたこともないけど...猫、何でしょ?どんな種類の猫なの?」
「?猫、何を言ってるんだ?...あぁ!お前仕事一筋だったから〝ポケモン〟知らないのか!w」
と佐奈はあっけらかんと笑う。佐奈は何を言ってるんだろうか。ポケモン?エーフィ?なんじゃそりゃ
「はぁ...私これから仕事行かなきゃだからおふざけは...」
「ふざけてないって!実際にエーフィがいるだろ?」
確かに...ポケモンとやらがいなかったらこの猫...じゃない、エーフィは居なかったのか...
「まぁ怪我とかはないから大丈夫だとは思うけど...一応病気とかないか見るから瑠那は会社に電話かけた方がいいんじゃないか?」
「あぁそうだね。ありがとう!じゃあ電話かけてくるね!その...エーフィ?をよろしくね!」
そう言うと私は、病院の外へ出る。外へ出ると茶色の狐のような生き物を連れた男性がやってきた。
「あ...こんにちは」
「ア、コンニチハ」
男性は、短く挨拶をすると急いで病院内へと入っていった。あの茶色の狐みたいな生き物もポケモンなのだろうか。そして次々にリボンをまとった猫、尻尾の先に火が付いているトカゲ、黄色の耳がとんがりほっぺが赤い子、先程の黄色い子に似た尻尾が木のような子...いろいろいる。すべてポケモンというのだろうか。私は上司を罵倒しながらポケモンを連れた人々をチラ見した。
「ごめん!さーちゃん、遅くなっちゃった!」
「いや、別にいいよ。それよりこれ来て。」
「?これ...香菜さんが着てるナース服...だよね?何でこんな物...」
「瑠那お前コンビニとか経験あるだろ?ちょっと手伝ってくれるか?」
「...それ私に拒否権って...」
「あーあ。拒否されたら俺、悲しくてエーフィちゃんのことしっかり見れないかもー(棒)」
「はいはい、手伝えばいいんでしょ...私は受付で立ってるだけでいい?」
「あぁ!もちろんさ、客を捌いてくれるだけでありがたいからな!」
次回 病院のナース

