“ あの人”「現実」

1 2025/09/10 23:32

現実にあったかもしれないしなかったかもしれない話。

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クラス替えのあの日、私は斜め後ろに座った人を見た。

校則を気にしないかのように目にかかるほど長い前髪からのぞくつり目。

表情は分からずこの人に感情はあるのだろうかと思った。雰囲気は決して明るくは無いが友達は居るようで、少し話しかけにくい普通のクラスメイトくらいに思っていた。

数日後の委員会決めの時間。

学級委員になれなかった私はあまり仕事がなく、経験のある給食委員会に入った。

しかし、委員会は各委員会男女1人ずつ入ることになっていた。仲良い人が来ますように、と祈っていた。

「よし決まったな。」と担任が言った。

同じ委員会になったのは前髪の長い“ あの人”だった。私は不安になった。仲良い人とは話せるが、それ以外の人と話すのは苦手だし、暗い雰囲気の人は特に話しかけたくなかった。でも決まってしまったことなのでどうにもならなかった。しばらく委員会の仕事に不便はなかったが、コミュニケーションがほとんど取れないので相手に仕事を任せっきりのような状態になってしまい少し申し訳なく思うこともあった。

また数日経ち、今度は5月後半に行く高原教室の班を決めることになった。女子は女子、男子は男子でグループを作り、先生や学級委員がそのグループをくっつけるという班の決め方だった。私はその時好きな人がいたので、同じ班になりたい、と思っていた。しかしそんな運良くいかなかった。少し苦手な男子とたまに話す男子、そして“ あの人”だった。私は少し気分が落ちたが、それ以上に高原教室は楽しみだったのですぐに気分は良くなった。そして班長になった私を中心に高原教室についての話し合いをしていくことになった。最初はやっぱりあの人と話すのは難しかった。あの人が女子と話すところはほとんど見ない。どう関わっていいのか分からない。でも、少しずつ話せるようになった。それはおそらく、話さなければいけない環境になったからだろう。それからはいつの間にかそれなりに仲良くなっていた。三学期になる頃には互いをいじり合う程にもなった。そこで私は気づいた。あの人は意外と面白い。感情がないように見えていたが、ちゃんと笑うしちゃんと驚く。まあ、他の人に比べると控えめな気はするけど。前髪からのぞく目も綺麗だったし、髪は毎日手入れをしてるはずの私よりも綺麗だった。3年生になりまたクラス替え。また同じクラスになった。話すことは増え、私はたまにあの人の席を借りて友達と話すこともするようになった。「ここ僕の席なんだけど。」「どけどけ」と言ったり、つっ立っていたりするあの人は面白かったし話してて楽しかった。でも相変わらず女子と話すところはほとんど見ない。不思議だった。見た目も綺麗で、身長も平均位はあって、話したら面白い。こんな人が女子に人気がないのが。私はほかに好きな人がいるからなんとも思わないけれど、女子に好かれてもおかしくないんじゃないか、と思った。でもそんな話は聞いたことがなかった。

ある日、掃除があった。ほうきを使っていた男子が突然「あの人、好きな人いるらしいよ。」と言った。私は一瞬動きを止めた。あの人はどちらかと言うとアニメとかそういうのが好きでリアルな人に興味が無いと思っていたから。それに気づかず男子は続けた。「でもあいつさ、誰?って聞いても2次元とか誤魔化してさー。でも別のクラスらしいよ。」私はそれを聞いて、本当に2次元の人なんじゃないか、とも思った。でも、なぜかそんなことを言うような人だとは思えなかった。私はあの人のことを好きでもないのにその日のご飯は喉を通らなかった。その日からか、は分からないがあの人のことを目で追ってしまうようになった。誰のことが好きなんだろう、嘘かもしれない、もし好きな人がいるなら私が話しかけるのは迷惑だと思ってるかもしれない、色んな考えが頭を巡った。でも私はあの人から離れるということは出来なかった。あの人と話すのが楽しい、面白い、一緒にいたい、安心する。もっと話したい。

あれ、これはなんなんだろう、と。

もっと仲のいい友達になりたいのか、好きなのか、なんなのか。分からなくなった。離れようとも何度も思った。無理だった。寝た。夢に出てきた。たくさん話した。起きた。夢だと気づいた。本当になればいいのにと思った。でも分からなかった。教えて欲しい。自分でも自分の気持ちが分からないから。

好きになったところで苦しいだけなのに。

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その他2025/09/10 23:32:14 [通報] [非表示] フォローする
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