一応連載してみます。 題名:この恋が叶うとは思わなかった。#3 頼翔の話
「俺は決めたぞ、絶対彼女をつくってやる。」
頼翔がそんな変なことを言ったのは、あれから1週間ほど経った日の家に帰っている途中である。
「お前ならすぐに出来るだろ、この色男め」
頼翔なら一言呼び掛けるだけで何人か候補が現れそうだ。
「あのな、簡単そうに言うけど俺だって『恋愛対象じゃありませんごめんなさい』とか言われたことあるんだからな。」
「え、そうなの?お前告白とかするタイプじゃないと思ってた。」
「まあな、俺も男子だ。」
「よーし、あの時の無念を晴らしてやる!」
頼翔は復讐の炎に燃えていた。
「で、誰を狙うんだ?」
彼女なんて勝手につくればいいが、お相手は気になる。
「うーんそうだな、美人系でいくと荒牧さん辺り?かな」
「なるほどね。」
雫とはあれからもよく会うので話していた。
「やめとけよ、雫は恋愛に興味が無いって言ってたし。」
知弘は無意識にそんなアドバイスをしていた。
「え、マジで?てかお前そんなにしたしかったっけ?名前呼びだし。」
「下の自販機でよく会うからさ、てかお前と俺も名前呼びし合ってるだろ。」
ここは正直に説明しておこう、と知弘は思った。
「いいな、俺も親しくなろっかなー。」
「お前のルックスなら親しくなれるだろ。」
「あんまりウザ絡みしなきゃな。」
心配なので付け足しておいた。
「でも荒牧さんがいないとなると美人系はこのクラスにはいねえな。」
ここで琴葉の名前が出てこないと言うことは、相当みんな慣れてるんだな、と知弘は思った。
みんな慣れている為気にしてないが、琴葉はノーメイクでモデル並みの顔をしているのだ。
「琴葉とかは?」
「ないな。」
あっさり即答だった。
ここに琴葉がいたらさぞ嘆いただろう。
「琴葉は美人系じゃねーしな。」
「多分あいつは陽キャ系だな。俺と同類の。」
「同類は嫌なのか。」
謎の基準だが、彼なりのこだわりだろう。
そんなことを思いながら、家へと帰った。