この恋が叶うとは思わなかった 最終話 W視点:2人の想い
「*」……雫視点
「*」……知弘視点
眩しい朝日が雫の目蓋をすり抜け、目が覚めた。
目覚めたのは病室。
私はみんなと遊びに行って…
なにがあったか必死に思い出す。
すると、ある光景が目に浮かんだ。
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雫はなかなか目を覚まさない。
だが、見ていると、雫の目が静かに開いた。
よかった、目が覚めたのだ。
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駅のホームの階段を上っていると、誰かにぶつかり、後ろへと大きく仰反る。
階段に体をぶつけ、意識が遠のく。
落ちたのだ。
まだ頭がぼーっとしている。
そして辺りを見回す。
そこに座っていたのはなんと知弘だった。
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雫は体を起こすと、辺りを見回し始めた。
そして、椅子に座っている知弘を見つけた。
「あ、おはよう。」
起き上がった雫に言った。
朝なので眠そうな声が出てしまった。
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「あ、おはよう。」
眠そうな表情で知弘くんは言った。
もう放課後か。
そう思いなんとなく時計を見る。
だが、時計が示す時は9時だった。
明るいので夜のはずはない。
「あれ、ともひろくんがっこうは…」
今日は休みだっけ。
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知弘を見つけた雫は、時計を見た。
どうやら気付いたらしい。
知弘は人生で初めてのことをした。
「あれ、知弘くん学校は…」
ぼーっとしているからか、目を細め、しかも甘い声で言った雫に内心ドキッとする。
「ん?学校?ああ、休んだよ。」
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「ん?がっこう?ああ、やすんだよ。」
知弘くんの口から衝撃の言葉が漏れた。
「や、やすんだの?ここに来るために?」
「あたり前だろ。」
「学校なんかより雫の方が大事なんだよ。」
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雫は知弘の言葉にびっくりしたようだ。
「や、休んだの?ここに来るために?」
「当たり前だろ。」
正直、この後に続く言葉を言おうかどうか迷った。
だが、言うチャンスは今だけだ。
「学校なんかより雫の方が大事なんだよ。」
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知弘くんがそう言った途端に、知弘くんがとてもカッコよく見えた。
私の頬が熱くなるくらいに。
いや、私は何度も経験してきた、男子は信用してはいけない。
ぜったい、に…
でも手遅れだ。
照れ臭そうに笑う知弘くんの顔を見れば湯気が出そうなほど顔が熱くなってしまう。
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こんなカッコ付けたセリフなのに意外にも効果があった。
これを聞いた雫はあっという間に赤面し、布団に顔を埋めた。
雫の赤面は初めて見た。
ドキッとしたが、それも微笑ましかった。
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「あ、ありがと…」
短くそう言って布団に顔を埋める。
知弘くんはそんな私を見て、また笑っていた。
「なぁ、雫。」
ゆっくり顔の熱を冷やしたいのに、知弘くんが話しかけてきた。
嫌ではないので目を瞑りながら応答する。
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「なぁ、雫。」
今切り出さなければいけない。
「なに。」
ドキドキと心臓が鳴る。
今逃せばチャンスはないかも知れない。
「俺さ、雫のことが…」
雫はあちらを向いたままだ。
ベッドを回り込んで、雫の側に行く。
雫は目を閉じている。
雫が目を開けたと同時に言う。
「雫のこと好きだわ。」
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「なに。」
「俺さ、雫のことが…」
しばらく間が空く。
前方に気配を感じ、目を開ける。
そこには、顔を少し赤らめた知弘くんがベッドを回り込んできて、私の顔を覗き込んでいた。
「雫のこと、好きだわ。」
至近距離でそんなことを言われる。
まるで私の顔は火山のようだ。
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あっという間に雫の顔は炎と化した。
「俺と、付き合ってくれ。」
「わ、わわわ、わたし、も…………」
やった、ついにやった。
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「俺と、付き合ってくれ。」
こんなに赤面しておいて、誤魔化すことは出来なかった。
「わ、わわわ、わたし、も…………」
私は初めて、この人の傍に居たい、と思った。
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まさか、誰が予想しただろうか。
この恋が叶うとは思わなかった。
〜End〜
>>6
はい、どうぞ。↓↓↓↓↓↓↓↓