我慢 小説
私は小学四年生のとき、イジメを受けていました。
無視されたり、暴言を浴びせられたり、暴力を振るわれたりしました。
元々は私を含め、三人のグループで仲良く遊んでいました。
しかし日が経つにつれ、二人は私に対しての態度が段々と変化していきました。
最初はイジメではなく、ちょっとした「イジり」でした。
その「イジり」が段々とヒートアップしていき、二人は無意識にイジメをしていました。
顔に傷ができたこともありました。
お腹を思いっ切り殴られたこともありました。
親に心配されました。
だけどこのことを話したら迷惑を掛ける。
何より私は問題を起こさず平穏な毎日を送りたかった。
だから何をされてもヘラヘラと笑っていました。
だから周りの人もただふざけているだけだと思ったのでしょう。
一度耐えきれず泣いたこともありましたが、二人はケラケラと笑っていました。
そしてこの二人は少しずる賢かったのです。
二人の内の片方が欠席になると、もう片方は突然私に優しくなります。
私はその時だけ、学校が楽しかったです。
だから毎日どちらか休んで欲しいと思っていました。
イジメで夜も眠れませんでした。
寝てしまったら朝が来て、学校に行かなければいけなくなる。
そう思うと私は目が冴えたままで、眠るのは何時も二時、三時になっていました。
今もその習慣が染み付いてあまり眠れません。
ある日、いつものようにイジメを受けていた休み時間。
二人は私を窓の方に連れて行きました。
そしてこう言いました。
「二階からだったらワンチャン飛び降りても無傷なんじゃない?」
「飛び降りてみてよ。」
さすがに四年生だったので恐らく冗談でしょう。
しかしその時私は思いました。
ここから本当に飛び降りて頭から落ちて死ねば楽になれるのかな。
そしてこの二人のせいにできるのかな。
窓を開けました。
しかし、死ねる勇気があるはずもなく、
「えぇー怖いよ。」
といつものようにヘラヘラしていました。
誰かに迷惑を掛けることも嫌で、
問題も起こしたくなくて、
死ねる勇気があるはずもなく、
一日が早く終わることをひらすら願っていました。
四年生が終わる頃。
母が異変に気付きました。
日々増える私の顔の傷。
学校にいくときの「いってきます」の声。
母は私に「いじめられているの?」と聞きました。
最初は「違うよ」と笑って否定しましたが、母が「本当に?」と何度も訪ねるので堪らず全てを言いました。
無視されたこと。
暴力を振るわれたこと。
死にたくなったこと。
全てを。
あんなに泣いたのは久し振りでした。
怖かった。怖かった。怖かった。
母はすぐに私を休ませ、学校に言いました。
放課後の学校で話し合いをして、二人から「ごめんなさい」と言われました。
二人が謝っているのを許すかどうかなんてどうでもよかった。
ただもうあの日々を送らなくて良いと安心した。
もう我慢しなくていいんだ。
──終──
これは私の実体験です。
今でも少し人が怖かったりします。
少しでも私のような人がいなくなることを願っています。