我慢 小説

2 2021/11/20 02:43

 私は小学四年生のとき、イジメを受けていました。

 無視されたり、暴言を浴びせられたり、暴力を振るわれたりしました。

 

 元々は私を含め、三人のグループで仲良く遊んでいました。

 しかし日が経つにつれ、二人は私に対しての態度が段々と変化していきました。

 最初はイジメではなく、ちょっとした「イジり」でした。

 その「イジり」が段々とヒートアップしていき、二人は無意識にイジメをしていました。

 顔に傷ができたこともありました。

 お腹を思いっ切り殴られたこともありました。

 親に心配されました。

 だけどこのことを話したら迷惑を掛ける。

 何より私は問題を起こさず平穏な毎日を送りたかった。

 だから何をされてもヘラヘラと笑っていました。

 だから周りの人もただふざけているだけだと思ったのでしょう。

 一度耐えきれず泣いたこともありましたが、二人はケラケラと笑っていました。

 そしてこの二人は少しずる賢かったのです。

 二人の内の片方が欠席になると、もう片方は突然私に優しくなります。

 私はその時だけ、学校が楽しかったです。

 だから毎日どちらか休んで欲しいと思っていました。

 イジメで夜も眠れませんでした。

 寝てしまったら朝が来て、学校に行かなければいけなくなる。

 そう思うと私は目が冴えたままで、眠るのは何時も二時、三時になっていました。

 今もその習慣が染み付いてあまり眠れません。

 ある日、いつものようにイジメを受けていた休み時間。

 二人は私を窓の方に連れて行きました。

 そしてこう言いました。

「二階からだったらワンチャン飛び降りても無傷なんじゃない?」

「飛び降りてみてよ。」

 さすがに四年生だったので恐らく冗談でしょう。

 しかしその時私は思いました。

 ここから本当に飛び降りて頭から落ちて死ねば楽になれるのかな。

 そしてこの二人のせいにできるのかな。

 窓を開けました。

 しかし、死ねる勇気があるはずもなく、

「えぇー怖いよ。」

 といつものようにヘラヘラしていました。

 誰かに迷惑を掛けることも嫌で、

 問題も起こしたくなくて、

 死ねる勇気があるはずもなく、

 一日が早く終わることをひらすら願っていました。

 

 四年生が終わる頃。

 母が異変に気付きました。

 日々増える私の顔の傷。

 学校にいくときの「いってきます」の声。

 母は私に「いじめられているの?」と聞きました。

 最初は「違うよ」と笑って否定しましたが、母が「本当に?」と何度も訪ねるので堪らず全てを言いました。

 無視されたこと。

 暴力を振るわれたこと。

 死にたくなったこと。

 全てを。

 あんなに泣いたのは久し振りでした。

 怖かった。怖かった。怖かった。

 母はすぐに私を休ませ、学校に言いました。

 放課後の学校で話し合いをして、二人から「ごめんなさい」と言われました。

 二人が謝っているのを許すかどうかなんてどうでもよかった。

 ただもうあの日々を送らなくて良いと安心した。

 もう我慢しなくていいんだ。

──終──

 これは私の実体験です。

 今でも少し人が怖かったりします。

 少しでも私のような人がいなくなることを願っています。

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その他2021/11/20 02:43:55 [通報] [非表示] フォローする
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1: 崎川アミ @jmpuwmd 2021/11/20 06:31:19 通報 非表示

なんか良い話し


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