ELGAMA #25 アリゴ編 #4 激突
レイスたちは森を抜け、広がった空間に入った。
所々差し込む光に目が眩む。
気がつけば正面に大きな扉があった。
ゲートの入ってある砦の扉だろう。
「よう。」
背後の方から声が聞こえた。
一音一音が首筋を伝う声だ。
背後に置いてある、苔がびっしりくっついた大きな石に、声の主、エリントが座っていた。
「そこのお二人、随分と楽しそうだな、…その顔は、フェルグにコーヒーでも貰ってたな。」
「…っ!……なんでそれを…」
エリントはミアの問いかけを無視して話を続けた。
「なんだ?俺と仲直りでもしに来たか?」
「エリント、君、どうかしてるよ。」
「黙れよ。」
「うわっ!」
冷たい声と共に攻撃が飛んで来た。
光雑法だ。
咄嗟に避けるも、これではその内当たってしまいそうだ。
「平和主義にはもううんざりだ。」
エリントは攻撃を続ける。
レイスは咄嗟にミアを押し、攻撃から守る。
「なんで…、攻撃をやめて!」
ミアの必死の訴えをエリントは踏みにじり、光雑法を打ち続けた。
「争いはやめて、話し合いしようよ。」
「『争いはやめろ』?いいか、俺はな。」
一瞬の間が空き、エリントが再び口を開いた。
エリントの剣先に光が集まる。
「そういうのが、1番嫌いなんだよ。」
そして、集まった光は一気に解き放たれた。
レイスはミアを庇い、剣を取り出し、光を弾こうとした。
辺りが光に覆われ、燃えるような熱さを体に感じた。
剣で損傷を少し防げたが、剣は熱さでふにゃりと曲がり、使えなくなってしまった。
「剣が…」
「レイス…大丈夫?」
ミアは後ろにいたので軽傷だが、レイスはかなりのダメージを負った。
腕が丸ごと火傷してしまい、思うように動かしにくくなってしまった。
「かなりの傷を負ったみたいだな。」
反撃しようにも、レイスたちには武器がない。
「どうしよう、武器がないよ。」
「私、なんか身に付けてたけど、いる?」
「ありがとう、使わせてもらうよ。」
そんな小声のやり取りを終え、レイスは剣を持った。
「まだ武器があったか。まあいい。」
そして、エリントは光雑法を打った。
攻撃の間を潜り抜け、レイスはエリントの方へと向かった。
剣を振るうが、頭を横にずらしただけで避けられる。
「甘いな。」
再びレイスが振り下ろした剣を、エリントが剣で受け止めた。
カン、と音が鳴る。
「終わりだ。」
エリントは剣を下から上に振り上げ、レイスの剣を弾いた。
剣が手から離れるこちはなかったものの、その代わりレイスの体勢は大きく崩れた。
エリントが剣を横に振り、風を起こす。
「ぐぁっ!」
レイスは風に巻き上げられた。
そして勢いよく地面に落ちた。
火傷した腕がズキズキと痛み、それどころか頭も強打した。
頭がフラフラし、立ち上がれなかった。
視界がボヤける。
「エリント!」
ボヤけた視界でも、そよ風に揺れるその薄い黄色のショートヘアは確認できた。
突然聞こえたその声の主は、ミアだった。
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