【小説】怖い話・人面犬と俺2
俺は素早く車の扉を開け、バンッ!と音を立てて扉を閉めた。
もちろん鍵も。
家にそのまま帰るのも何となく怖くて進んでいた道を引き返して駅の方に向かう。
一刻も早くこの事を一旦誰かに言ってスッキリしたかった。
その為、俺は駅近の立体駐車場に車を停め、友人FにLINEした。
『なあなあ、F。今、俺、人面犬に出くわしたんだがどうしたらいいと思う?』
送信ボタンを押して一息つく。
アイツが居なかったからだ。
返事は1分も経たない内に来た。
『マジか、それ。マジだとしたら逃げろwこんな時間におふざけはやめてくれよなww』
どうやらFは本気にしていないらしかった。
次の宛、友人Yに連絡する事にした。
LINEだとこいつはいつも返事が遅い。
こんな時間に電話しては迷惑だとはわかっていたが電話をする事にした。
プルル プルル プルル プルル
やがてコール音が途切れYの声が聞こえてくる。
『もしもし。』
「もしもし。こんな時間に悪いんだが今、人面犬に出くわした。どうしたらいいと思う?」
『人面犬!?お前誰の恨み買ったらそうなるの...wお前嘘はよせよw』
こっちもか。
「いや、本当なんだよ。」
『マジ?』
「マジ。」
そんな会話をしているとFからLINEが来た。
一旦保留にしてLINEを開いてみる。
『あのさ、いま気がついたんだけど去年の今日、(友人)Nが4んだ日だったわ。』
え?
俺は今日、Nとランチしたんだけど。
焦ってしまい、電話を切ってしまった。
もう一度電話が来たがYからではなかった。
Nのおかんからだった。
『久しぶりぃ。元気してる?突然悪いんだけど去年の今日は息子が4んで、一昨年の今日は愛犬のワンチが4んだ日なのよ。呪われてるのか知らないけど何となく怖くてねぇ。夜遅くにごめんねぇ?』
「いえいえ。全然起きてましたし、少しでも気が楽になるのであればいくらでもどうぞ。」
嘘だよな、
嘘だよな
嘘でいいんだよな...?