【小説】アガパンサス #4

4 2022/11/11 22:44

前話↓

https://tohyotalk.com/question/423909

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

翌朝、いつものように目覚まし時計に怒鳴られて目が覚めた。

 大きな欠伸をして、ベッドから立ち上がった所で違和感に気づいた。

あれ?隕石は?

カーテンを開けて確認してみても、外にはいつも通りの住宅街が広がっているだけで、隕石なんかが落ちた跡はどこにも見当たらない。

「夢、見てんのかな」

自分でも驚くほど掠れた声が出てびっくりした。

 そういえば昨日の夜はあまり水分を口にしていなかった。

何度か咳払いをして、いつもの声を取り戻した。

 リビングへ行くと、朝食を食べているお母さんを見つけた。

「お母さん、あの隕石って結局どうなったの?」

「隕石…? あぁ、あれね。あれなら昨日の夜に軌道が逸れたってニュースで言ってたわ」

「そうなんだ」

隕石が落ちなくて、日本は助かった。

 ってことは、義人に手紙の返事をしなければいけないことになる。

どう返事をすればいいのかも分からないし、会うか手紙かどちらで返事するかも決めていない。

 ならもう返事はしなくていいかな。

昨日の手紙が、やり残したことをするためのものであったなら、近いうちに本番の告白をしてくると思うし。

そう思いながら朝食の準備を始めた。

*

学校に着いた。

 義人の席に目をやると、まだ誰も座っていないのが見えた。

席にカバンを置き、授業の準備を始める。

(今日は確か部活動がない日だ。)

カバンから筆箱を取り出して机の上に置いた。

(もし放課後に呼び出されても問題はない。)

教室の入り口にふと目をやると、ちょうど義人が入ってくるのが見えた。

 そそくさと目を逸らす。緊張して心拍数が多くなっている。

手を胸にやると、それがより一層感じられた。

 カバンを机に置く義人の様子は、いつもとなんら変わりがないように感じる。

 暑いのか、着ていた上着を脱ぎ、椅子に掛けた。額に少し汗も見える。

 いつもと同じように筆箱・水筒・教科書類の順番で荷物を取り出す。

「隕石、逸れたらしいね」

再び前を向いて座っていると、義人から声がかかった。

 義人の方を向く。いつの間にか長袖のTシャツ姿になっており、袖も半分くらいまで捲っている。

 義人はこちらの顔を不思議そうに覗き込んだ。

あっ、そうだ、話しかけられてたんだった。そう気付くと同時に声を上げた。

「あ、ふぇっ!? え、あ、ごめん今なんか言った?」

取り乱してしまい、つい頬が熱くなった。

 

「いや、隕石逸れたねって…」

「あ、あれね! ほんとよかった。落ちてたらもう友達とも会えなくなってたし…」

話しながらも、義人はいつも通り遠くを見るようなボーっとした目を続けている。

「…っ……」

『義人とも会えなくなっていたし』という言葉を言いそうになり、慌てて引っ込め、代わりのセリフを言った。

「く、クラスのみんなにも会えなくなってたかもだし…」

すると、義人は怪訝な顔で聞いてきた。

「暑い?」

「え?」

確かに、先程から妙に暑く感じてきて、手で顔を扇ぎだしたばかりだ。

 上着を着ているからというのが理由だろう。

「うん」

「でももう秋の終わりだよな?」

なぜかどんどん暑くなってきて、私は吐き捨てるように言った。

「知らないっ、暑いことは暑いんだもん!」

 言ってしまってから、急に恥ずかしくなった。

(何今の言い方…)

あまりにも恥ずかしくて、つい義人から顔を逸らした。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

次話↓

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その他2022/11/11 22:44:36 [通報] [非表示] フォローする
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いつもより少し短いかもしれませんが、ご了承ください🙇‍♂️


トピ画は何で作ってるんですか?


>>3
ありがとうございます!これからも読ませていただきます。


>>4
いえいえ、これからも是非よろしくお願いします


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