【小説】1人の兵士(2)
戦いが続く中、俺たちが籠る建物の中から見たのは大きな体を轟音と共にゆっくり動かす戦車であった。
トーマス「俺が考えた作戦はこうだ。まず、敵戦車に向かってグレネードを上手いとこに投げ入れるんだ。例えば、戦車の中とかにな。そしたら敵の戦車の弾薬に誘爆して戦車は壊れるはずさ」
トム「それは無理な話じゃないか?確かにいけそうな気もするが、確率のような物だろ?」
ブライアン「一か八かだ。それに行けたら味方の援護にもなるしな」
トーマス「まぁ賭けだ。グレネードを持て、いくぞ!」
そう言ってまずはブライアンが投げた。グレネードは回転しながら飛んで行く。そして、戦車から頭を出していた奴とハッチの隙間にグレネードが入り、あっという間に爆発音と悲鳴が響いた。
敵戦車兵「あああああ助けてくれぇぇぇ!!」
そんな声が燃えながらから飛び出した兵士から聞こえてくる。ある者は爆発で死に、ある者は炎で苦しみ、またある者は拳銃自殺をした。
ただ、2人はそんな事も気にせず喜んだ。
ブライアン「見たか!一撃だ!」
トム「やったぞ!これでなんとか…」
そう話していると、どこからともなく声が聞こえた。それと同時にグレネードや弾丸が飛び交った。味方の兵士達が前線を押し上げ、俺達のいる場所まで押し返したのである。
ブライアン「よし、好都合だ。急いで味方の元まで退却しよう!」
トム「いや、それは難しいかも知れない。」
そう話していると、また足音が聞こえる。敵兵だった。近づくのを気付けなかった。気付いたのは、一発の銃声がした後だった。そこからは一瞬だった。ブライアンは倒れ、トムは敵と戦っていたが、俺は愕然としていた。ブライアンが撃たれたショックで俺は壁から飛び出し、大声を上げながら敵にナイフを振り翳した。何度も何度も刺した。血がそこら中に飛び散る。トムはそれを一瞬見たが、すぐにブライアンを治療していた。
そんなことにも気づかずナイフで滅多刺しにし、最後は心臓に向かってナイフを振り下ろした。
トム「気は済んだか?」
トーマス「…まぁな」
トム「急いで離れるぞ、銃を持て!」
そう言ってトムと俺はブライアンを引っ張りながらゆっくりと裏口へ回った。俺がゆっくりとドアを開け、敵を確認する。敵兵は見つからず、なんとか味方の最前線に戻って来れた。トムと俺は衛生兵にブライアンを託し、弾やグレネードを装備した。そして俺達はある事を考えた
トム「なぁ、落ち込むなよ。ブライアンは生きてるし、きっと治るはずさ」
トーマス「そうだな…なぁトム」
トム「なんだ?」
トーマス「敵に奇襲をかけよう。裏回りして襲い掛かるんだ。」
トム「…簡単にはいかないぞ?第一、俺らだけじゃ…」
トーマス「なら、集めるぞ。」
3話に続く。