【小説総選挙】おじいちゃん
土砂降りの雨が降っていたある日の帰り道。
私はスマホを片手にぼんやりと正面を眺めながら電車を待っていた。
しばらくして、電車は来た。
ドアが開いて、乗り込むと、右端の席が空いていた。
電車は動き出す。私は、ふと、正面に座っていた家族らしき3人組に目をやった。
そこには小学校低学年くらいの少女と、少女の祖父母らしき人が座っていた。
「おばあちゃん‼︎あとどれくらいで着くの⁇」
少女は笑顔で右隣の祖母に聞いた。
「そうねえ、あと3駅くらいかしら。」
祖母も笑顔で答えた。
でも、左隣の祖父は、無表情で、とても面倒くさそうに、少女を見ていた。
少女と祖母はあんなに楽しそうなのに、どうしてだろう。
あと2駅でこの人たちは降りる。
別に私に関係があるわけではない。でも、なぜかどうしても祖父に笑って欲しかった。
「あ、そうだおじいちゃん‼︎おじいちゃんの買ってくれたお人形さん、大切に持って帰るね‼︎ままにも早く見せたいな‼︎」
人形を片手に笑顔で話しかける少女。しかしやっぱり祖父の表情はかたい。
胸が痛んだ。一度でもいいから、彼女に笑って欲しかった。
あと1駅。
お願い、おじいちゃん、笑ってあげて。
この子はこんなにあなたのことが大好きなんだよ。気づいてあげてよ。
その時のことだった。
少女はハッとしたように持っていたかばんの中から何かを取り出した。
「おじいちゃん、おばあちゃん‼︎これ、あたしが作ったブレスレット‼︎2人でお揃いだよ。」
そういい、少女は彼らの腕にブレスレットをつけた。そして今までにないような表情で笑っていた。それも、とても幸せそうに。
「あらあら、ありがとう。大切にするわね」
祖母は優しい目で笑っていた。
祖父はやっぱり笑わない。
おじいちゃん、お願い。笑って。
どうして私はこんなに他人のことに必死なのだろう。
わからない。わからない、けど。とにかく、この少女に幸せになってほしい。
ドアが開いた。
その時、目に映り込んだのは驚くようなものだった。
私の横を通り降りようとしていた少女の祖父は、確かに笑っていた。
すごい短編だけど
物語の中で伝えたいことがしっかり伝わったし
一つ一つの言葉の使い方が内容にあっててすごい好きです
短編でここまで読みやすいのってあんまないからすごいすぎる😢
>>2
うわああああ尊敬さまからご感想ありがとうございます😭
とーと民はあまり長編好まないらしいので読みやすいように頑張って縮めてみました(?
やばい何回見ても好き
状況ばっかりじゃなくて心情がまっすぐ現れる書き方がめちゃいい、、
私長編になっちゃうタイプだからここまで短く分かりやすく書けるの尊敬する🥹
まってごめんコメ遅れた🙏🏻🙇🏻♀️
えやばすき
高クオリティすぎる!!
小説書くセンス抜群ですね👍🏻✨