余命3ヶ月の君『後編 瀀視点』
君は3ヶ月もたたずに帰らぬ人となってしまった。
あの日、夕日がさす教室で話した時がひどく懐かしい。
ついこないだの事なのに。
愛梨彩の両親からは状態が急変したらしい。
病院に着いた時にはもう遅かった。
もう愛梨彩は2度と目を開けない。
もうあの声を聞けない。
もうあのふざけているようでどこか真剣な表情は見れない。
愛梨彩は多分知っていたんだと思う。
自分の状態が良くない事。
3ヶ月ももう生きられない事。
人はよく自分が自分の事を一番わかってないと言うけど愛梨彩はそんな事ない。
誰よりも自分の事を理解していた。
誰よりも冷静に自分を見ていた。
けどあの日のあの泣きそうな愛梨彩はいつもと違った。
あの時言えばよかったんだ。
「大丈夫」
って。
そう思うと体の中から何かがブワッと押し寄せてきた。
ごめん、愛梨彩。
なんにもわかってやれなくて。
一緒にかかえることができなくて。
「あの、瀀くん、これ...」
愛梨彩の両親から渡されたのは一通の手紙だった。
丸っこい、何度も見た愛梨彩の字で「瀀へ」と書いてあった。
「愛梨彩の部屋の引き出しにあったの。...愛梨彩は瀀くんに伝えたい事があったんだと思う。あの子の最後のメッセージを受け止めてあげて。」
愛梨彩の両親は2人とも目が真っ赤だった。
多分俺も負けず劣らず真っ赤に腫れていると思う。
けど今はそんな事どうでもいい。
「...はい。」
そう言って手紙を受け取った。
急いで家に帰り部屋に入った。
手紙をそうっと開ける。
「瀀へ」
君がこの手紙を読んでいる頃にはもう私はこの世に居ないんだと思います。
まず最初に謝らせてください。
ごめん。
私は本当は3ヶ月も生きられない事、わかってたんだ。
お医者さんからも長くて1ヶ月半ぐらいって言われたの。
隠しててごめんね。
けど、そんな事言ったら瀀どんな事しちゃうかわかんなかったんだもん。
ここから本題ね。
私さ、強がってたけど本当は毎日、毎晩の様に泣いてたんだ。
敏感な瀀だから気づいてたかもしれないね。
けど言わないでくれたのは瀀の優しさだと思ってる。
ありがとう。
瀀と一緒にいられて幸せでした。
私の最後のお願いを聞いてください。
私が居なくなっても変わらずにいつも明るくてかっこいい瀀でいてください。
あ、けどかっこよすぎるのはダメだよ?瀀をとられちゃう!
あ、けどもう私居ないのか...
じゃあ瀀の好きにしちゃっていいよ。
けど私が居ないからって貴方の世界を狭めないで。
最後になっちゃったけどやっと言える。
こんな形で本当にごめんなさい。
大好き。
読み終わったら涙が出ていた。
どうしようもないほどに。
「つっ...愛梨彩...」
絶対に守るよ。
裏切ったりしない。
俺も伝えられなくてごめん。
愛梨彩、大好きだよ。
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