悪魔の妹と紅い妹３

フラン「ふーん・・・いまはからだそのものをこわしてみたんだけどな。からだだったらさいせいできるのか。」

妹紅「あぁ、そうだよ。今まで、何回私が死のうとしたか分かるか？首を吊ってみたり崖から飛び降りたり水に顔を浸け続けて息をできなくしたり・・・でも、駄目だったんだよ。何回やっても。現に今私は生きている。」

フラン「がし（餓死）はできなかったのー？」

妹紅「出来ない。ついでに言うと水をとらなくても死ねない。どんなに動こうが腹は減らないし喉も乾かない。」

言いながら悲しくなってきた。そうだ。そうだよ。これまで何回死のうと思ったか。そして行動に移したか。

思い出せないし・・・

思い出したくもない。

フラン「じゃあそもそもさ、なんでもこーはしねなくなったの？」

妹紅「何でだっけな・・・昔過ぎてすぐには思い出せんぞ。」

フラン「いーよ。フラン、まってる。」

---------------数十分後---------------

妹紅「あぁ思い出した。『蓬莱の薬』ってやつを飲んだんだよ。」

フラン「あ！フランね、ほんでよんだことあるよ！のんだらしねなくなってろうか（老化）もしない、ふろうふしになるおくすり。」

妹紅「お、合ってる。」

フラン「なんでふろうふしになるんだっけな・・・そこさえおもいだせればはなしがすすみそうなんだけど・・・。いちおうきくけどもこーはわかるー？」

妹紅「いや知らんな。私はたまたま飲んだだけだし。なんだったらこの竹林の奥の方の永遠亭ってとこにいけば蓬莱の薬を作ったやつがいるｋ・・・」

フラン「あー！おもいだしたー！そのほうらいのくすりはね、のんだひとのなかのけがれをなくしちゃうんだよ！だからのんだひとのからだはつきびと（月人）とひとしくなるの。つきびとはふろうふしでしょ？だからほうらいのくすりはね、すごーくかんたんにいうとからだをつきびととおんなじにするおくすりなのー！」

そうだったのか！？

確かに月人達は「穢れ」がないから不老不死だ。だが月人は不老不死なだけではなく悩み事もないと云う。それも「穢れ」がないからなのだが・・・

成程。蓬莱の薬はあくまで身体の穢れをなくすものであって、精神には影響しないから身体は不老不死、でも人間のように思い悩む事もあるというのか。

ただこれは人間が飲んだ場合であり、元々の月人が飲んだ場合はまた別の効果がありそうなんだが・・・

まぁ、今考える事ではないわな。

にしても。

フラン、こいつは何者なんだ・・・

妹紅「成程。でもどんな本で読んだんだ？そう簡単には載っていないような事だったが・・・」

フラン「しらない。よくパチュリーのしょさいにあるほん（本）でおもしろそうなのをよんでるの。それでしった。まあほうらいのくすりについては ほんには『けがれをなくす』みたいなことしかかいてなかったから、のんだひとのからだがつきびとになるってのはあくまでフランのかんがえたことなんだけど。」

妹紅「え・・・」

いや頭いいなお前。

そう脳内でつっこんでいたらなおもフランは口を開いた。

フラン「あっ！そうだ！からだはふろうふしでこころはにんげんのひとたちのしゅぞく、フランしってる！「蓬莱人」っていうの！」

妹紅「お。それについては他に何か知らないか？」

フラン「ほうらいじんはみためこそにんげんみたいだけど、ほんたいはたましいでねぇ。からだじたいにきずをおってもあっというまにもとどおりになるし、かみのけいっぽんのこしてけしとんでもそのかみのけからさいせいできるらしい。」

・・・心当たりがあり過ぎる。

でも魂が本体というのは初耳だ。

フラン「ここからフランのかんがえなんだけど、たましいをこわせれば、しねるかもしれない。ただたましいはみえないし、どれくらいのおおきさなのかも、いまもこーのたましいがどこにあるのかもわからない。でもこのよのすべてのものには『目』がある。だからもこーのたましいの目をきゅっとつつけば、もこーしねるかも。」

うわ。納得しか出来ねぇ。

確かに私が蓬莱人だとすればフランの話も筋が通る。

だとすると私は、私は・・・

死ねるんだ。

嬉しくて嬉しくてたまらない。いや、こんな事で喜ぶのは私くらいだろうが。

今まで決して解ける事のなかった謎を、フランは解いてくれた。

私は今まで出会った誰かの中で初めて、フランに感謝してやまなかった＿＿＿

（続く）