ドジっ子誘拐犯と冷静な被害者 3
女性は俺に見られて居心地の悪さを感じたのか目を逸らして机の方を向いた。
「と、とにかくお水を...ひゃぁ!」
女性は白衣の裾を踏んで後ろに転ぶ。短い悲鳴とともにツルンっと滑って転び腰を打ったのか悶絶している。
「ぶふ、あはははは!」
俺は堪えきれずに大声を上げて笑った。だってこんなギャグ漫画みたいな事...初めて見たんだ。
女性は腰を擦りながら立ち上がった。メガネを掛け直して三つ編みを整える。頭を抑えてふらふらしながら立っている。
「も、もぉ...笑わないでくださいよ...いってて...」
「悪い悪い。ていうか大丈夫か?」
「はい、丈夫なので」
女性は淡々と告げるとテーブルの上の水を俺に差し出してきた。濃い青色で、美味しそうとは思わない。
「...一応聞きますが、貴方は寝たいですか?」
「は?...別に眠くないけど」
「この水には睡眠薬が入っています。水に睡眠薬を入れ溶かすと青色になるんです」
「...へぇ...わざわざ睡眠薬入って教えてくれてご苦労なこった」
青色の水を受け取りコップを揺らす。青色の水がユラユラとコップの中で揺れ綺麗な青色になる。
「...俺を寝かす必要があるの?」
「いえ、特にはありません。寝不足のときに飲んで頂ければ結構です」
「...そう」
女性は透明な水を差し出してきた。青い水をベッドサイドテーブルに置いて透明な水を受け取る。先程同様コップを揺らし水を見る。
「...安心してください。薬など盛る時、私はコーヒーに淹れるので」
「...メルヘンチックなんだな?...」
俺は透明の水を一気に飲んだ。
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