【小説】転生したら職場の先輩になっていました
「あ、せ、先輩お疲れ様です!」
「おつかれ〜」
私、稲目唯音はつい3ヶ月ほど前に入社した新人だ。同期とも仲良くやってる。
だけどこの先輩、八崎稔さんだけは少々苦手としている。先輩なだけに仕事は速いがミスはとてつもなく多いのだ。
これには稲目の同期も、八崎の同期たちも参っている。
だけどこの仕事は前から就きたいと思っていたところだった。2回目の面接の末、できるようやく受かったのだ。辞めるわけにはいかない。
人生とは分からないものだ。
稲目は昨日の帰り、運が悪いことにホームに滑ってきた電車に轢かれてしまった。
そして今、親や親戚たちは稲目の葬式の準備を進めている。
なのに今も稲目は生きていた。
いつも通り、朝のルーティンして身支度を整え、会社に出社した。
だけど周りの目線が痛い。なぜだろう、と思った。改めて鏡を見てみる。その鏡に映っていたのは稲目ではなく八崎だった。
「ぇえええ⁉」
思わず大きな声を出してしまい、さらに周囲の痛い視線を浴びることになった。
だが、稲目が矢崎に乗り移ったことで矢崎はどうなったのだろう。
稲目は知らなかった話なのだが、実はその時、矢崎もたまたまいて稲目が落ちる瞬間とっさに矢崎が守ろうとしたらしい。だが、矢崎のカバーも虚しく、二人揃って死んでしまった。
だから稲目は転生することができた。矢崎は今頃違う人に転生しているだろう。
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