【小説】アニメのラスボスを拾いました!?第一章①

9 2023/01/07 08:53

アニメの中から逆トリップしてきちゃったラスボスと一般人が恋するお話。

わーにん!!

• ど素人が書いてます。設定ガバガバ、細かいことは気にしない!

• 女性向け、恋愛もの、長編、まあまあファンタジー

• 無理だと思ったらプラウザバック。地雷に配慮してません

• 残酷な描写、R15くらいの描写がこれから出てくるかもしれない

• なんでも許せる人向け

アニメのラスボスを拾いました!? 第一章①

なんの変哲もない日のはずだった。とっくに日が沈んだ、閑静な住宅街。広くて薄暗い帰り道。随分と遅くなっちゃったな、なんて考えながら帰路につく。ひんやりとした空気に冬の気配を感じながら、ずれた鞄の持ち手を肩にかけ直した。参考書に加えて辞書を入れたせいか、ずっしりとしていて肩が痛い。家まであと少し。

公園を抜けた先、ふと目の前に黒い人影が現れた。思わず足を止めて見上げた瞬間、街灯に照らされたその顔を見てヒュ、と喉が鳴る。その顔には見覚えがあった。

「ねえ、そこの君。ちょっといいかな」

聞き覚えがある独特な甘い低音ボイス。190cmはあるだろう長身。固まる私に彼は一歩、また一歩と近づいてくる。

人違いかもしれないと思った。だけれど、さっきよりも近くなった距離で彼を見て確信してしまった。整いすぎた顔立ち。深い青色の瞳。それにかかる長めの黒髪も、これまた青みがかっている。極め付けに片方だけレンズが黒い、特徴的な銀の縁のメガネ。彼とは初対面だ。けれども私はこの人を知っている。いや、「画面を通して」知ってしまっている。答えるな、危険だ、と脳内が警鐘を鳴らしている。逃げようとするけれど、思うように体が動かない。

「道に迷ってしまったみたいなんだ。どういうわけか、携帯も使えなくてね」

「ぁ、え、っと…」

「急に話しかけてすまない。ただ、ここがどこか知りたいだけなんだ」

「ここは東京、ですが…」

申し訳なさそうな彼の表情に少し気が緩む。ここの地名を答えると、まるで言いなれない言葉のように復唱する。それから、そうか、ありがとう。とその男は困ったように目尻を下げて笑った。その顔がどうも迷子になった幼いような子供のように感じて、思わず大丈夫ですか、と声をかける。

「ああ、大丈夫だ。引き止めて申し訳なかったね。」

「いえ、」

「今日は電車で帰ることにするよ。駅の方向だけ教えてくれないかい?」

「駅はこっちの方面ですけど…、電車で帰るんですか?もう日付も変わってますし、駅まで歩いていたら終電に間に合わないと思いますが」

電車で帰るつもりのようだが、流石にそれは放っておけない。この時間じゃ電車では帰れないだろう。携帯の電源をつけて画面を見せると、隣でかすかに息を呑む音が聞こえた。これは参ったなぁ、という彼の呟きを最後にしばらく沈黙が続く。

「あ、あの!良ければ私、話だけでも聞きますよ。」

この沈黙を破りたいと思って、気がつけばそんなことを口走っていた。いつもの私なら、こんなのことは絶対にしない。人助けなんて、ましてや人の話し相手になるなんて苦手な部類だ。でも、どうしても放っておけなかった。何故だか分からない。でも、考えるよりも先に体が動いていて。力になりたいと思った。この男が、アニメのキャラクターだなんてことを除いても。

◆◆◆

ところで、この男は一体何者なのか。一言で言ってしまえばある人気バトルアニメに登場する主人公最大の敵、いわゆるラスボスである。舞台は現代の日本と酷似した異世界。ざっくり説明すれば、ひょんなところからある反社会組織に危険人物として名を知られたしまった主人公が、その組織を潰すために奮闘するお話。よくある話だが、作画の良さや伏線回収、キャラクターの個性が際立つ作品でかなり人気だし知名度もあった。そして、その組織の一番上に立つ男こそが彼、米山架(よねやまかける)なのだ。時に慈悲深く、時に冷酷に振る舞う彼の姿、迫力のありすぎる戦闘シーン、そして作中で明かされる彼の過去は多くの女性の心を捉えた。実を言えば私もその一人であり、最推しはもちろんこのラスボス。だけど、それは二次元だからかっこいいだの尊いだの騒いでいただけで。もちろん周りにはいわゆる「ガチ恋勢」はいたが、私はどちらかというとアイドルに対して騒いでいるような感覚だった。あと言い忘れていたが、彼、顔面が国宝級、振る舞いも死ぬほどイケメンなのである。

◆閑話休題◆

「どうぞ上がってください。汚くて申し訳ないのですが」

あれから…私が話を聞くと口走ってから、彼がぽつりぽつりと話し始めたことはやっぱり予想通りの展開だった。違う世界に来てしまったみたいだ、と言う彼の姿はやっぱり迷子になった子供みたいで。思わず家に来ないかと、提案してしまったのだ。最初は渋っていた彼も、行くあてもない上、携帯もお金も使えないという事実を突きつけられてしまえば外で彷徨うよりはマシだと判断したらしい。しばらく考えたあと、彼はお願いします、とペコリと頭を下げたのだった。その時に目があってしまい、私の頭がキャパオーバーしたのは言うまでもない。最初は恐怖すら感じていたのに、今となっちゃ随分絆されたものだなあと我ながら呆れたが、絆されてしまったものは仕方がない、と開き直る。

そんなこんなで彼はこの家に住むこのになったのだが、内心私の心臓はバックバクで口から飛び出そうだった。なんとか上部だけでも取り繕い、米山さんを案内する。私が住んでいるのは一人暮らし用のアパート。高校生が一人暮らしをするにしては広いがボールペンやらプリントやらが散らばっている。汚い部屋で申し訳ないな思いながらもちらりと横を見るとにっこりと笑いかけられた。少し赤面して顔を背けるとクツクツとした笑い声をあげた。あ、これ己の顔の良さを分かっていながらやってるな?ちょっとドキッとしたが、住んでいる世界が違うのだ、と自分を納得させる。

「お邪魔します」

そんなことを家主が考えているとは知らず、米山さんは礼儀正しく靴を揃えて部屋に入ってくる。ひええ、推しと同じ空間にいるなんて新手の拷問か?いや提案したの私だけど!というか、今敬語だった!?うっわ生で聞けちゃったよヨネさん(ファンの間ではそう呼ばれている)の敬語!原作でも滅多に出てこないのに!

あ、鍵かけるの忘れてたな、と玄関に行こうとすると私がやっておくよといって玄関までいってくれた米山さん。やっぱりこの人ラスボスっぽくないよね、と思ったりする。あ、一人称私だったし、表の顔だからか。

「あ、上着はそこの椅子にでもかけておいてください。お茶入れますね」

「ありがとう。すまないね」

「いえいえ、コーヒーの方がよかったですか?」

「いや、お茶で構わないよ」

二人分のお茶を淹れながら、これからどうするか思案する。元の世界に帰れる手助けをしたい。いや、その前に買い物か?流石に男ものの服や客人用の歯ブラシなどは持っていない。あ、でもまず先に。

「改めまして。私は米山架という。これからどうぞよろしく頼む」

「はい!私は____」

まずは、お互いのことを深め合わなきゃね。なにはともあれようこそ我が家へ、米山さん!

このあと私が高校生ということにびっくりした米山さんが椅子から転げ落ちそうになり、唐突な推しの笑顔で顔を真っ赤にさせられるまであと数秒。

 ーーーーーーーーー

あんなことあればいいな、こんなことやりたいな、っていう妄想を書き殴った産物。良ければ感想教えてください!需要があれば続き書きます〜

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タグ: 小説 アニメ ラスボス

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