叶わない恋に奇跡を【最終話】

5 2023/05/20 11:52

ー私の名前は非検体001。

人間の変わりをするためのロボットの開発の被検体だ。 

ロボットだから、黙って指示に従う毎日。

でも、何か大切なことを忘れているような気がする…。

今日は研究所には誰も人はいない。

研究の発表に行くらしい。

まあ、私にはなんの関係もないけど。

ーコンコン

何か物音がする。

ーコンコン!

音のする方を振り返ってみると、男の子がいた。

音の正体は、その子が窓をノックした音だったらしい。

「アリア!」

窓ガラス越しにくぐもった声が聞こえてくる。

…アリア?

「アリアって…誰?」

私が怪訝そうな顔をすると、男の子は困ったような悲しい顔をした。

「…もしかして、覚えて…ないの?」

覚えてない?どういうことだろう…。

「カリムだよ!ほんとに忘れちゃったの…?」」

カリム。

その名前を聞いて瞬間に削除されたはずの記憶が一気に心の中に流れ込んできた。

「カリム!」

私の言葉にカリムがぱっと笑顔になる。

夢じゃない。幻じゃない。二度と会えないと思ったのに。助けに来てくれたんだ…!

「早くここから逃げよう!窓から離れてて!」

言われるがままに窓から距離を取る。

ガシャン!

大きな音を立てて窓ガラスが割れた。

「出られる?」

「うんっ!」

窓から外に出て、久しぶりに外の空気を吸い込む。

でも…

「…いいの…?私…ロボットだよ?」

その言葉にカリムは一瞬驚いた顔をした。

「言ったでしょ、ロボットだって関係ないって!」

そう言って笑う。

「…ありがとう!」

「早く逃げよっ!」

カリムが私の手を取って走り出す。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

二人が着いたのは小さな野原。

「疲れたね…」

息を切らしながらカリムが言う。

「そうだね…」

「ちょっとここで休んでいこうか!」

腰を下ろす2人。

バタンっ!

音がした方を振り向くと、車が止まっており、男が荒々しくドアを開けて出てくるところだった。

嘘…!研究所の人!なんでもう追いつかれたの…! 

「カリムっ!」

私が慌てて名前を呼ぶと、なぜかカリムは落ち着いている。

「いい加減にしろ非検体001!もう実験は失敗だ!今すぐお前を壊す!」

ーすると

ガチャン!

研究所の人に手錠がかけられた。

「容疑者確保!」

…?

警察…?

「警察に連絡しといたんだ。僕の友達が訳のわからない人に連れ去られたってね。」

そう言ってウィンクする。

「そいつはっ!ロボットで…!」

研究所の人が私を指さして叫んでいる。

「何を言っているんだ。そんなことあるわけないだろう。ほら、さっさと来い!」

「やめろぉ!おいこら!」

叫びながら警察に連れ去られていく。

「ちなみにアリアがいた研究所は、違法な実験とかもやってたらしくて、多分全員逮捕されたよ☆」

カリムが言う。

「ありがとう…!そういえば、なんで私の居場所がわかったの?」

「アリアを連れ去った奴が名刺を落としていったんだ。研究所の住所も書いてあった!」

「そうなんだ…!」

「さあ、村に帰ろう!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「アリア!」

「サラ!」

サラに駆け寄って行くと、サラは私に抱きついてきた。

「アリアのバカっ…。カリムからアリアが連れ去られたって聞いて死ぬほど心配したんだからねっ!」

「サラ…!」

マーサさんも駆け寄ってきて私たちを抱きしめる。

「アリア…!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そのあと私とカリムはお花畑の丘へ向かった。

二人で並んで座る。

「好きだよ、アリア。」

「私も!」

ロボットと人間の恋なんて叶うはずがないと思ってた。でも、奇跡が起きた。

この恋は、奇跡なんだ。

〜END〜

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その他2023/05/20 11:52:00 [通報] [非表示] フォローする
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ハッピーエンドだ!私、こういうの好きです!フォローさせていただきました!


>>1
ありがとうございます‼️


>>2
別に、上手ですから言っただけですよ!


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