【小説】開戦日
「今や世界の国々は核兵器を所持している!隣国のミサイルも問題となっている今、日本に必要なものは武力だ!」
「はいはい。」
相変わらず思想の強い友人。社会の授業をした後の休み時間はいつも言う。武力がどうだ、政治がどうだと毎度マシンガントークをかましてくる。周りからは変人だの左翼だのと避けられているが、そこだけ目を瞑ればコイツは普通に良いヤツで面白い。こんな話をしてくるだけあって頭もそこそこ良いらしく、政治や歴史の知識も豊富だ。
「日本は武力を捨てさせられてから弱くなってしまった。戦争を語り継ぐ人々だって、いちばん若くて78歳。そう長くはない。そうすると日本人は平和ボケをしてしまう…今だってもう既に平和ボケをしているだろう。武力を所持し戦争の危機を常に感じていなければ、いざとなったとき日本は簡単に滅ぼされてしまう。」
「お前…戦争支持者か?」
「そんなことは一言も言っていない、むしろ戦争なんて二度としてはいけないと思っている。戦争は残酷で悲惨で、勝っても負けても国民は全く幸せにはなれない。僕はただ武力が必要だと言っただけだ。あるだけでいい、使うなどとは言っていない。もし戦争になっても国を守れるように。」
長々と語る彼は無表情だが、言葉には熱い思いを感じた。
「勿論、これは僕の持論だ。」
「わかってるって。」
コイツの喋り方には妙に説得力があった。抑揚というか、間の開け方というか、はきはきと自信を持って喋る彼はまるで戦時中の軍人であった。戦争など経験をしたこともない中学生が何故ここまで語れるのか、実に不思議である。
今日もまた、いつものようにひとりでに喋るコイツの話を適当に聞き流していると、コイツは珍しく俺に質問を投げかけてきた。
「今は、大戦中だろうか?」
「はっ?」
いつもならひとりで好きなだけペラペラと喋って、俺に質問などしてこないのに。
「今は大戦中か?」
「い、いや、そんなことないだろ…平和だし。」
「そう言えるだろうか?…確かに日本だけを見れば平和かもしれないが、世界に目を向けてみるとどうだ。各地で戦争や紛争が起こっているだろう。日本だって戦ってはいないものの支援はしているのだから無関係とは言えないはずだ。」
聞いておいて否定とは如何なるものか。
「お…おう……、でも、大戦中ではないだろ…。」
「第一次世界大戦は、サラエボ事件という暗殺事件がきっかけで始まったとされている。第二次だとドイツがポーランドに侵攻したことだ。歴史の授業で習っただろう。こう見ると、大戦とは宣戦布告をして始まるものではないのだ。大戦は“きっかけ”で始まる。その“きっかけ”が決まるのは、大戦が始まったその瞬間ではない。始まった後か、もしくは終わったときか。」
「つまり?」
「つまり──、
僕たちはもう既に、第三次世界大戦の最中にいるのかもしれないのだ。」
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こんにちは、どこもです。
今日は太平洋戦争開戦日ですね。思想強めな友人と主人公が戦争について語る…という内容にしたかったのですが、マシンガントーク設定を盛り込んだせいで友人くんの一方的な話になってしまった。
こんなもん書くと僕の思想がこうだと思われそうですが僕は武力持つの反対ですよ、憲法改正反対!
トピック画像はフリー画像です。
読んでいただきありがとうございました!
日本が武器を捨ててもお隣が軍拡してるからねぇ
北海道を守るにはあと5倍の防衛費が必要だと言われてるぐらいだし僕は憲法改正は賛成かなぁ
まあ平和が一番だけど
武力持つのは賛成だなあ
今の情勢から考えてね
別に戦争をする、というわけではないし。今の日本に、ミサイルや他国が攻めてきたら、あなたたちはどうしますか、武力持ちますよねってこと