【小説】未完成の形 一話 『研究所』
僕は実験No.101番。この研究所では、僕たち個体の実験が行われるこの研究所。その実験は死ぬほど辛い。そしてこの研究所では様々な実験体がいる。その中でも有能なのが 『正規品』 その逆が 『欠陥品』 だ。このような実験体の名前は 『ミックスアビリティー』 という。主に欠陥品は処分をされるか、死ぬまで労力として使われるかの2択だ。どちらにせよ欠陥品になれば自由はないと考えてもよいだろう。逆に正規品はどうだろうか…?ある程度の自由は手にはいるが、組織の兵器として何かと戦わされる。そんな組織である。
正規品と欠陥品に分けられるのは10歳からだ。能力の詳細が出る年頃。ミックスアビリティーは、欠陥品と正規品に分けられたときに寿命が変わる。欠陥品はそう長くはない。だが極稀に寿命の長い欠陥品がいる。そして、正規品の中にもクラスがある。基本はA、B、Cに分けられる。欠陥品の中にもクラスはある…それがD、E、F である。まぁ、欠陥品から正規品に昇格することも稀にあるらしい。ほぼほぼないけど…。
そして僕は、狐と…なんやかの血が混ざっているらしい。もう一つの種族は研究所の誰も知らない。そう、僕さえも知らない。能力は、心読みと狐になる能力。あまり戦闘には役立たない能力だ。だけど意外と便利だったりする。外の情報などいろいろな知識が手に入るからだ。僕が10歳ながらも知識があるのはその為だ。
「おい実験体101番。出ろ」
「…、はい。」
今日は、正規品か、欠陥品かが決められる日である。だが、結果なんぞ目に見えている。僕は、欠陥品の印を押される。
「君は、狐の子かな…?にしても不思議な子だねぇ……欠陥品かな。」
さすがだ。馬鹿ではない…が、少しためらった様子だったからこいつは少し馬鹿なのか…?偉い人に言う権利はないが…。この人には一体何が見えていたのだろう…?期待されてたか…反抗するかどうかを見極めていた、とでも…?ないか。
そして僕は欠陥品111という新たな番号が手に入った。なんともまぁ嬉しくもない番号なことだ。
結局欠陥品だったし…、あと数ヶ月もすれば僕は処刑かなー…。僕の人生はもう時期終わる。死ぬほど辛い実験も充分たえた。正規品になって兵器になる方がよっぽど嫌だ。これでいい。これで。
そんなときに出会ったのは、正規品だった。
「あなたは、実験No.101…?」
そう話しかけてきた。なんとも不思議な感覚だ。人と真面目に話すのは何年ぶりだろうか。そして、この子は…おそらく正規品だ。
ひと目見れば分かる。この子は強い。そう僕の体が訴えかけていた。そして、抑えきれないほどの恐怖が僕を襲ってくる。…いけないな。恐怖は押し殺せ。
「…うん。今日から欠陥品No.111だけどね。君は…?」
「正規品No.101だよ。」
やはり、正規品…。でもこの子は僕が見た中の正規品よりよっぽど強い。何度か見たことがある。とは言っても無断で折から抜け出して勝手に見ただけだけど…。外の世界も見てみたいなーっとその時は思ってたっけな?
檻は抜け出せても研究所からは抜け出せない。そうゆうものだ。なんせ、僕たち実験体には正規品も欠陥品も関係なく首輪があるからだ。その首輪がある限り僕たちは外の世界にはいけない。
「私はね、別の研究所から転送されたの!だから同い年」
転送か…。でも変だ。ここは、欠陥品が集まる研究所。そこに正規品がいるのはまずおかしい。…いや、考えたところで面倒くさいな。どうせあと数ヶ月で消える人生だ。静かに消えたい…。
正規品と一緒でも害はないか。こいつがうるさくなければ…、だけど。
しかし、こいつは毎日のように僕に話しかけてきた。本当うざいくらいに。無視をしても絶対に話しかけてくるというのはうざったい。どうせもう少しで僕は死ぬ身なのに、ずけずけと、、、嫌味か…!?
嫌嫌ながらも正規品No.101と少しずつ話す機会が増えた。そして、僕はいつしか返事をするようになっていた。そうして、No.101と楽しいなって思う機会が増えてきた。
そんなある日名前の話をした。
「ねぇ111ってさ、名前に興味持ったことはない…?」
「名前…、?」
僕たちはミックスアビリティーだ。名前など存在しない。あるのは欠陥品No.111。本当に何度聞いても憎らしいな。まぁ、正規品になれば名前の代わりはできるそうだが…。僕は欠陥品だ。名前とはほど遠いな…
「私ね、自分の名前考えてみたんだ。ルカって名前何だけどどう思う?」
「…いいんじゃない?」
「そっか、じゃあ111にもつけてあげる!えっと…レイム、とかってどう…!?」
「悪くは、、ない。」
この日名前ができた。
レイムという新しい名前。
こんな日々が続くといいな。少しだけ、そうおもった、
このまま時間が過ぎなければって、けどそんな日々はそう長くは続かない。僕は欠陥品だ。もうそろそろ処刑が行われる身ということを忘れては行けなかった。まだ、あと少しだけ…なんて、思っちゃいなかった。
楽しいということが僕たち個体に感じることができるならば、僕たちミックスアビリティーに感情があるなら、人間と寄り添い合う事ができるのかな。
もしそうなら…。
「おい欠陥品No.111でろ」
「…。さよなら、るかちゃん」
「レイム、、ちゃん、」
そうして僕は檻をでて、廊下へと歩いた。そんなときだ。警報がなった。どうやら何かが侵入したらしい。
「っち、こんなときに限って…。おいお前、そこから、動くんじゃねえぞ!」
そして、僕についていた見張りは走り去っていった。動くなと言われたら動きたくなるものでは…?
「…ふぅ。プログラム11起動」
さてと、どうしてこうなったのか。少しばかり気になるな。この首輪がある限り僕は研究所には出れないわけだし、まぁ動いてもいいだろう。
『ーーーーーーーー。』
…。へぇ…。
その侵入者は、上の人間ともう一つは、僕たちミックスアビリティーが戦う理由の一つの原因が侵入したそう。
これでもう、終わりだ。
「プログラム11解除」
さて、戻ろうかな。
「?」
その時、ある人物は僕の方に近づいてきた。
つづくーっ
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