【小説】百鬼夜行【曲パロ】
iris様6人、百鬼夜行の曲パロとなっております。
楽曲
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ちなみに長いです。
ー❤︎ー
24時の群青色の空、六つの影が転がり落ちる。
「いいね、懐かしい」
「あはっ」
たたん、と小気味良いリズムの手拍子が静夜に不気味に響く。
「…行こうか」
今宵、彼等の舞が世界を支配する。
「さあ、夜行の続きを」
ー❤︎ー
ざわ、と満月に照らされた黒い夜道に騒めきが蘇る。
全ての視線が集まるそこにあるは五の神。
にぱ、と心底楽しそうに笑い声を上げたのは空色、狐の姿の煙管を吹かせた彼。
幾つにも分かれた尾は地面に付かぬよう器用に揺れている。
「あはっ、やっぱり怖いのかなっ?」
それに答えたのは狼の耳に漆黒の翼をはためかせ真紅の瞳で群衆に目を向ける彼。
手に持つ扇をバサバサと仰ぎ威嚇の姿勢でもとっているよう。
「そうかもね、ってか人多いな。…ほんと目障り」
「こらりうら、そんなこと言わない睨まない遊ばない」
宥めるように苦笑する桜色の羽織を着た犬の耳を持つ彼もしかし口元には笑みを浮かべている。
耳飾りは風に揺れ、腰にぶら下げてある二つの剣が歩く度に金属音を鳴らす。
「別に睨んでないしー」
「どうだか」
彼等の着物がはためく度に群衆は恐れ慄き声を上げる。
「そんな怖がらんでもええのになぁ、癪に触る」
キン、と高い音を鳴らして彼の持つ金棒が地面に叩きつけられた。
鬼や龍を想像させるツノに漆黒の髪、満月のような金色の瞳はよく映える。
大衆はさらに声を上げるも、彼の瞳に捉えられ声も出なくなった様子。
「えぇっ、可愛い子おるやんっ!!」
ぱぁ、と瞳を輝かせた猫の耳を持った彼はあちらこちらに視線を彷徨わせる。
彼の瞳と視線がかち合うと恐怖からか目を背ける者等。
そんな女達に首を傾げる青髪の彼はぐい、と盃の酒を煽り、しゃりんと音を立てて1人の女の目の前に舞い降りると間近でひらひらと手を揺らす。
「…これこれお嬢さん、私が見えるか?」
ひっ、と女が恐怖を瞳に滲ませたのを感じたのか彼は笑って仲間の元へ戻る。
「んは、なんつって」
いたずらっ子みたいに笑った彼の頭で仮面が揺れる。月明かりに照らされたツノはキラリと民衆を狙う。
猫の彼から目を逸らされた女_いや、男はうっすらと口元に笑みを浮かべた。
「…ちょっとまろちゃん、折角おめかししたんに無視なんて酷いなぁ」
「うげ、っ」
「うげってなんやねんうげって_っとぁ、」
「バカ走んな、危ないやろ」
足を引っ掛け転けそうになった彼を支える青。
ごめんごめん、なんて少し照れくさそうに笑うのは薄紫にグラデーションされた純白の布に身を包む兎の彼。
歩くたびにふわりと浮かぶ光は男でさえも見惚れる様。
そんな男達を少し睨みつけ牽制させつつ、狐の彼はたた、と小走りで兎の彼に近寄り抱きつく。
「初兎ちゃぁぁぁん会いたかったよぉぉぉぉっ(泣)」
「えぇ?半年前にも会ったやん」
「それはこっちの感覚ででしょ。僕らは百年くらい会ってないんだから」
「んん、そうやったな」
くすくすと笑い人差し指で抱え込んだ兎の頭を撫でつつ彼は歩を進める。
ぎゅーっと抱きついたまま狐の彼も歩く。
そしてそんな2人を見て ち、と舌打ちをこぼした青の彼は2人の間に割り込んでまた酒を煽る。
「ちょっといふくん邪魔なんだけど」
「るっせぇお前のじゃねぇんだよ」
「はぁ?僕のなんだけど!!」
「あぁ?まろのに決まってんだろばーか」
掴みかからんとばかりの勢いで睨み合う2人の間にさらに赤と桃の2人が割り込んだ。
「はーい喧嘩しなーい」
ぱん、と桃の彼が手を叩く。
「っおわ!?!?」
「ビビらせんのやめろってないこ!!」
「え、ビビったの?笑」
うぐ、と少し大人しくなった2人から兎の彼を奪うように引き寄せた紅の彼。
群衆から隠すように漆黒の翼で純白の彼を囲う。
「おわ、りうちゃん久しぶり」
「んん!久しぶりぃ…ってか相変わらず冷たいねぇ、」
「えーそお?大分人に馴染んだと思ったんやけどなぁ?」
「ん、冷たくて気持ちー」
「くすぐったいからやめてw」
戯れ合う2人を微笑ましそうに眺めた後、鬼の彼が眉を下げ何か危惧するような表情で口を開いた。
「初兎ええんか?」
「ん、何が?」
ひょこりと翼から顔を出した瑠璃色の瞳が彼の姿を捉える。
「ほんまにもう帰ってええんか、って」
「んーまぁ、お友達いっぱい出来たけどなぁ…」
にっと口角を上げる兎の彼。
「みんなとおった方が楽しいしな」
鬼の彼は安心したようにふっと優しい目をして笑みを返した。
「なら良かったわ」
カラカラザリザリ、周りの騒音に掻き消されていたはずの6人の足音が浮きだって夜に響き始める。
「あーほんと、やっぱちょっと邪魔」
バサ、と音を立てて翼をはためかせた真っ赤な瞳の彼は大きく扇を振りかぶった。
「りうちゃんこっちに向けないでね」
「大丈夫大丈夫、多分ね」
「多分って言ったの今っ!?」
バサ、と再び大きな音を立てて扇が振り下ろされて竜巻のような風が巻き起こった。
「頭が高ぇよ、ひれ伏せ」
風によって倒れ込んだ群衆は恐れをなしたのか頭を下げる。
「え、かっこよやば惚れる」
「ほとけっちキモいからひれ伏そうとすんのやめてくれる」
「えー」
「いやーでも、人は多いねぇ」
ほとけっち、と桃の彼が声をかけた。うげ、と顔をしかめた狐の彼は仕方ないなと煙管をしまう。
兎の彼は少し嬉しそうに笑ってさっと手を振った。ぱき、と音を鳴らして真っ白な扇が二面現れる。
「あは、久しぶりだからちゃんと出来るかな?」
「いけるいける、ちゃんと前だけ向いてな」
「初兎ちゃんも転けないでね」
「はいはい」
一面ずつ扇を持ち2人は腕を上げる。
赤の彼が団扇を上に振った事で兎の彼から舞う光がこの不思議な夜に満ちた。
2人は舞を舞う。
群れる人の子を掻き分けるように、彼等に自らの美しさを見せつけるように、この世界は今自分達の手の中にあるんだと見せしめるように。
他4人も口元に笑みを浮かべ光に包まれながら2人の後を追う。
6人の行く手を阻む群衆。桃の彼は腰にかけた剣に手をかけ声を張る。
「そこのけ、そこのけ!!」
「ハッ!」
青の彼が発した声が笑いなのか掛け声なのかは定かではないが、やはり群衆は道を開ける。
くつくつと肩を揺らす鬼の彼。
「酒落くさいなぁ、人の子の癖して」
「生意気とか言うレベルじゃない、てか邪魔」
「今日りうら"邪魔"しか言ってへんな」
「…んなことないし」
日本の一夜に混沌の渦を巻き起こす_いや、混沌に落ちたこの夜を正すための。
「もー、そこ退け、そこのけ!!」
「いむくん声デカぁ…」
「だって退いてくんないんだもん」
兎の彼が手を叩く。それに釣られて群衆も手を叩き始め、町に手拍子が響く。
赤の彼はふわりと宙を舞い町を光に満たす。
水の彼は変わらず笑顔で舞を舞い夜に華を与える。
白の彼は掌から溢れる光で仲間を包む。
桃の彼は神出鬼没に歩き、たたんと下駄でリズムを刻む。
青の彼は盃の酒を次々煽りながら御機嫌な様子で歌を口ずさむ。
黒の彼は楽しそうに嬉しそうに大きく声を上げて歌う。
六の神が揃った時、月が一段と輝きを放った。
6人は歩く。陽が昇るまで。
6人は歌う。夜が明けるまで。
6人は踊る。月ある限り。
6人は帰りゆく。あるべき場所へと。
ー❤︎ー
完。
どうしても描いてみたかった(;ω;)
スクロールとかお疲れ様です( ̄▽ ̄;)
こだわりポイントいっぱいあるので「ここってこの歌詞からですか?」とか「これはこのメンバーがこのキャラだからですか?」とか考察(?)していただけると嬉しいですଘ₍♡̷ᐢ⸝⸝•༝•⸝⸝ᐢ₎੭̸‧˚
むずすぎる(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)文才が欲しい(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
https://uranai.nosv.org/u.php/list/usagi0311/
じつはいっぱい書いてるんだ(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
『毎日がエブリデイ☆☆』の一番最後にこのお話あります_( _U・ω・)_
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