ドジっ子誘拐犯と冷静な被害者 1
目を覚ますと目の前が真っ暗だった。手をうまく動かせず、なにか柔らかい...ベッドシーツの上に座っているらしい。先程までバーで飲んでいたのに..誘拐...?目の前が暗いということは目隠しとか...手錠とか...
「お、起きましたか...?」
柔らかい女性の声に思わずビクッとしてしまう。少し冷静になり声の方を向く。
「あ〜...へへへ、見てわからないか?」
「そ、そうですよね...起きてますね...」
女性はビクビクしながら話しかけてくる。するとぴちょんっと言う音がして女性の悲鳴が聞こえた。
「びゃー!み、水!?」
情けない悲鳴声を上げた。途端後ろに柔らかいものが当たった。手を動かして後ろの物を払おうとするが手錠のせいで動かせない。
「す、すすすすすすいません...!」
「...はぁ、で?水がなんだ?」
「せ、背中に...水が...」
天井からは雨漏りがしているのだろうか。手錠をガチャガチャと鳴らすがしっかりしていて壊すことは出来なそうだ。
「あのさ、話したいこと有るし前に来てくれないか?」
「あ、そ、そうですよね...よいしょ...は、話したいことって...」
「なんで俺を誘拐したのかとか...目的とか...」
「も、目的は...その...貴方を一目見たくて...」
「は?」
間抜けな声を出してしまう。一目見たいって...それだけで監禁とか誘拐をするのか?もし見つかったら警察とか...そういうの考えなかったのか?
「...リスクとか考えないわけ?」
「だ、大丈夫です...貴方の記憶は消しますし...」
何が大丈夫なのかさっぱりわからない。俺は、ただ見たいからと言うだけで誘拐されたのに。
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