[小説]「好き」を何度でも 第三章③

10 2021/08/30 06:50

前回のお話[第三章②]

https://tohyotalk.com/question/177655

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 「おはよう、勇都くん!」

三村はわざとらしく僕の名前を呼んだ。

「おはよう、えっと…な…渚実…」

「もっと自然に言ってよ!」

「それはお前もだろ?」

今から三村の姉に会うというのに、僕たちはいつもと同様に言い合いをしていた。

「お姉ちゃんにはカフェで待ってもらってるから、行こう!」

 僕は三村に言われるがままカフェに入った。上手くいくだろうか…?

「渚実〜!こっちこっち!」

あの人が三村の姉だろう。よく三村に似ている。

「お姉ちゃん、こちらが彼氏の永島勇都くん。」

「は…初めまして…。永島勇都です…。」

「どうも〜!渚実の姉の三村海香でーす。」

喋り方まで三村そっくりだ。さすが姉妹…!

「勇都くん、渚実の彼氏なんて大変でしょ〜?」

「い、いやぁ…」

否定は出来ない…かも?三村といるといつも思い通りにならないし、いつも変なことに巻き込まれる。

「もうっ!お姉ちゃんにだけは言われたくないですっ!」

「私にだけは、って何よ?」

「はぁ!?そんなんだから彼氏に浮気されるんだよっ!」

「あんたに私の何が分かるっていうのよ!?」

三村と三村の姉は姉妹喧嘩を始めてしまった。僕はただ唖然と話を聞いていることしか出来なかった。

「あ、あの…」

「あっ、ごめんね!勇都くん、困るよね。」

「あらごめんなさい。姉妹喧嘩なんて恥ずかしいわ。」

謝り方までなんだか似ている。少し笑えてくるな…!

「ま、まぁいいわ。ねぇねぇ勇都くんはなんで渚実のことを好きになったの?」

三村のことを好きになった理由…。

「最初は渚実のほうから話しかけてくれて、いつも僕に構うやつなんていなかったから最初は少し驚いたのがきっかけですかね。最初はちょっとウザいなぁって正直思ったんですけど、意外と悪いやつじゃないかもって思い出して。気がついたら、渚実といるのが楽しくなっていったんです。」

嘘は言っていない。三村といるのが楽しくなっていった理由を話しただけだ。

「いやぁ、ウザいっていうのが聞き捨てならないけど勇都くんに褒められると嬉しいなぁ!」

やっぱり三村ってうるせぇ…。

「じゃあ渚実は?何で勇都くんのこと…?」

僕は少し…いやだいぶ、その答えが気になった。

「ん〜私は、なんか勇都くんに初めて会ったような気がしなかったんだよね。なんだろう…言葉では言い表せないような感じなの。なんか本当の自分でいられるっていうか。気を使わなくていいの。」

お前は気を使わなすぎだけどな…。まぁそこがいいところでもある。

「ふぅん。勇都くんがいい子みたいで安心したよ。今日は来てくれてありがとうね。」

よかった…上手くいったみたいだ。僕に三村の彼氏役が務まるなんて思いもしなかった。

いいねを贈ろう
いいね
10
コメントしよう!
画像・吹き出し

タグ: 小説 好き 何度

トピックも作成してみてください!
トピックを投稿する
その他2021/08/30 06:50:49 [通報] [非表示] フォローする
TTツイートしよう!
TTツイートする

拡散用



小説の続きです!学校も始まったので続きの投稿が遅くなるかもしれませんが、次回も楽しみにしててください!


画像・吹き出し
タグ: 小説 好き 何度

トピックも作成してみてください!
トピックを投稿する