この恋が叶うとは思わなかった #7 知弘の過去

6 2021/10/31 20:02

「おい、そこのガキ!もう逃がさんぞ!」

歩いているとすぐに2人組に見つかった。

出来るだけ雫の辺りを通らないように注意して、逃げる。

角が見つかった、あとは曲がってノックをするだけだ。

後は警察官がいるよう願うのみ。

素早く角を曲がり、流れる作業でノックをする。

コンコン

「はい。」

中から声が聞こえた。

成功だ。

2人組が角を曲がり、立っている知弘の場所へ飛び掛かったその時、交番の戸が開き、警察官が出てきた。

もちろん急には止まれない。

2人はそのまま警察官の体を殴りつけた。

「「あ。」」

2人の口がぱかっと開く。

「公務執行妨害だ!逮捕する!」

「ごめんなさい!わざとじゃないんです!」

「そんな子供みたいな言い訳するな。」

作戦大成功である。

知弘は、すぐ雫の元に戻った。

「おーい、雫。」

「あ、知弘さん。大丈夫でしたか?」

「あぁ、うん。」

「そうですか。」

雫はこちらを向いて言った。

「ありがとうございました。知弘さん、いや、」

「ありがとう。知弘君。」

雫はそう言って知弘に笑いかけた。

その顔を見たとき、知弘の心臓がドクンと大きく鼓動した。

意識しようとしなくても、心臓の鼓動は知弘の耳に鳴り響き続ける。

あぁ、そうか。と知弘は思う。

あの時の感情はこれだったのだ。

恋心だ。

この感情を自分で抱くとは思いもしなかった、遥か前のあの日から。

2章 それぞれの想い

なぜ知弘はしばらく恋愛に興味を持てなかったのか。

知弘は長年それを聞かれてきた。

話してしまえば短い。

だが、知弘は言わなかった。

いくら親友であろうと、家族であろうと、これは自分だけの秘密に留めておきたかったのだ。

知弘が中学生時代の頃。

知弘には初恋の相手がいた。

若林 緩奈という名前で、雫のように学校中の噂にはなっていなかった。

知弘は緩奈の普段の生活の中の誠実さに惹かれ、告白した。

結果は意外にもOK、2人でデートに行ったりし、楽しい日々を過ごした。

プレゼントは互いに買い合い、知弘はとてもお金をかけたこだわり強いものをあげていた。

緩奈はとても喜んでくれた。

だが、そんな幸せな日々から一変。

ある日、知弘が学校へ忘れ物を取りに帰った時の事、

教室の前へ行くと、緩奈が誰かと話している声がした。

友達と喋っているのだろう。そう思い、中に入ろうとした瞬間、ある一言が耳に入った。

「…だからさ、向井はいいよ、物を買って貰う【為】だけにはね。」

知弘は一瞬自分の耳を疑ったが、紛れもなくそれは緩奈の声だった。

「それ以外は驚くほど何にもいいところがないから、ほんとお財布がわりだよ、あいつは。」

「あんな奴のこと、好きなわけないじゃん。」

知弘はしばらくその場から動けなかった。

知弘は未だにその時の事を覚えている、人生初の失恋の涙を流した事を。

人を好きになったとしても、その人も知弘を好きだとは限らない、それを知った知弘は、恋愛にすっかり興味がなくなってしまったのだった。

あまり時間は経っていなかったようで、文化祭には間に合った。

皆、時間などのことより、雫と知弘が共に登校して来たことに疑問を持っていた。

「いいなー、知弘の奴め。」

中には羨ましがる人もいた。

「ほらーお前ら座れー。」

いつの間にか先生がいて、そう言った。

 

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その他2021/10/31 20:02:32 [通報] [非表示] フォローする
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知弘、、、泣


>>1
壮絶ですよ


>>11
wwwww


>>2
ごめん、なんか変なの送ってもたww


>>5
びっくりした。

「か」と「¥」があったから金かな?っておもた


>>6
wwwww

押してしまって、、、泣www


>>7
矛盾してるよ。泣くとwでw


>>8
情緒不安定なの〜ww


>>9
おい大丈夫かw


>>10
なんとかやっていけてます!!✨


# 8は3いいねきてるのに# 7はさっきまでコメント、いいね共にゼロだった


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