お初の小説(?)【2人で蝶を愛でましょう】

5 2022/02/21 16:08

放課後のチャイムが鳴り響き、生物委員の男女は足早にそれぞれ自分たちの教室から抜け出した。

この学校には自然が多い。そのため2人は木や花々に水をやるため花壇へと向かう

「蝶って、美しいよねぇ…」

「なんですか急に」

「別に」

「蝶々、好きですか?」

「好き」

男は頬を染める。自分と勘違いしたのか、自惚れるにも程がある

「可愛いじゃん、ヒラヒラ飛んでるところ綺麗だし」

「で、お堅い委員長さんは蝶のこと好き?」

そう聞けば少し考えたあと、委員長は話し出した

「…好きですよ。副委員長さんと同じ理由です」

「名前で呼べば?」

「そういえば僕の好きな人も、蝶々が好きですね」

「なにそれ、気になるなぁ」

ニヤニヤとしながら委員長に近づく副委員。その表情は、いじり倒そうという気持ちが溢れ出ている。

あと一歩でも寄れば肩がぶつかる。そのくらいの距離まで、副委員は近づいた

「な、なんですか、」

「あっは、ウケる!照れてんの?委員長さんよぉ」

ケラケラと笑い始めた副委員に、委員長はムカついたのか顔を背けた

「ちょ、ごめんって〜」

「許しません」

「ごめんって!こっち向いてよ」

強引に肩を掴み自分の方へと向けさせた。しかし自分に向いた委員長の顔は、いつもの仏頂面からは考えられないほど赤かった

「見ないでくださいよ」

「おおごめんごめん!あ、好きな人教えてくんないの?」

「この状態で察せられないとか相当の馬鹿ですね」

「ひっど!!」

怒っているように腕を組む副委員を横目に、委員長はぽつりと呟いた

「…貴方ですよ」

「え?」

「だから!僕の好きな人は…貴方です、」

「え、ちょ、え?」

副委員が脳に入った言葉を咀嚼していると、遠くから声が聞こえた

「委員長、副委員長ー!遅れてすみません!」

「構いませんよ」

そう会話する後輩と委員長を見て、少し副委員はむくれていた。

それを見兼ねたのか、声をかけられる

「蝶々好きなんですよね。明日の放課後、水やりが終わったら2人で蝶を愛でましょう」

「それって、」

「告白の返事はまた後日、お待ちしてますね」

青春という文字を具現化したようなこの恋は、いつ実るのだろうか

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