お初の小説(?)【2人で蝶を愛でましょう】
放課後のチャイムが鳴り響き、生物委員の男女は足早にそれぞれ自分たちの教室から抜け出した。
この学校には自然が多い。そのため2人は木や花々に水をやるため花壇へと向かう
「蝶って、美しいよねぇ…」
「なんですか急に」
「別に」
「蝶々、好きですか?」
「好き」
男は頬を染める。自分と勘違いしたのか、自惚れるにも程がある
「可愛いじゃん、ヒラヒラ飛んでるところ綺麗だし」
「で、お堅い委員長さんは蝶のこと好き?」
そう聞けば少し考えたあと、委員長は話し出した
「…好きですよ。副委員長さんと同じ理由です」
「名前で呼べば?」
「そういえば僕の好きな人も、蝶々が好きですね」
「なにそれ、気になるなぁ」
ニヤニヤとしながら委員長に近づく副委員。その表情は、いじり倒そうという気持ちが溢れ出ている。
あと一歩でも寄れば肩がぶつかる。そのくらいの距離まで、副委員は近づいた
「な、なんですか、」
「あっは、ウケる!照れてんの?委員長さんよぉ」
ケラケラと笑い始めた副委員に、委員長はムカついたのか顔を背けた
「ちょ、ごめんって〜」
「許しません」
「ごめんって!こっち向いてよ」
強引に肩を掴み自分の方へと向けさせた。しかし自分に向いた委員長の顔は、いつもの仏頂面からは考えられないほど赤かった
「見ないでくださいよ」
「おおごめんごめん!あ、好きな人教えてくんないの?」
「この状態で察せられないとか相当の馬鹿ですね」
「ひっど!!」
怒っているように腕を組む副委員を横目に、委員長はぽつりと呟いた
「…貴方ですよ」
「え?」
「だから!僕の好きな人は…貴方です、」
「え、ちょ、え?」
副委員が脳に入った言葉を咀嚼していると、遠くから声が聞こえた
「委員長、副委員長ー!遅れてすみません!」
「構いませんよ」
そう会話する後輩と委員長を見て、少し副委員はむくれていた。
それを見兼ねたのか、声をかけられる
「蝶々好きなんですよね。明日の放課後、水やりが終わったら2人で蝶を愛でましょう」
「それって、」
「告白の返事はまた後日、お待ちしてますね」
青春という文字を具現化したようなこの恋は、いつ実るのだろうか