【小説】転生を繰り返しすぎた少女は不死の力を望む
〜◆プロローグ〜
——もう、うんざりだ。
私は今まで何度も死を経験しては、生を吹き込まれた。まるで、何かのロボットの崩壊と修理をされるかのように——。
そんな世界で私は、何十年、いや、数千年生き続けてきた。そろそろ精神的にも何かをするのも嫌になっていた。私が思いつく限りのシチュエーションを繰り返してきた。剣士や魔法師、芸術家や奴隷、神官、巫女……。それら全てをこの数千年に繰り返してきた。
そこに伴うものは、後悔。
愛する人が死んだって私は結局死なない。せいぜいその世界でのみ息を引き取るだけなのだ。根本的な『死』に至ってない。だから、だから。私は次の世界に望みをのせた。
——次の世界は、魔法が発展している世界でありますように——
〜◆第一話 望み叶って
ボソボソと声がかすかに聞こえる。転生し終わったようだ。私はそう確信し、目を開く。
「ここ、は……ど、こ?」
やはり来たことのある世界に行くことはないのだろう。あまり見たことのない世界だ。
ただそれよりも気になるのが——。
「わた、しって……あま、り、うまく話せ、ない?」
そう、声帯がうまく使えないのだ。失声症、というよりは欠声症と言ったらいいのだろうか。合間合間をつなぐことができないから正直話しづらいことありやしないような状況だった。
(今までの『知識』で使えるものは……)
数千年の間において様々な世界を旅したその間に身についた様々な知識を試してみることにした。すると、
(おぉ、魔法使えるじゃん)
魔法は、使えるようだ。つまりこの世界には魔力もしくは大気魔素の概念が存在すると言える。流石に未知のものが魔法を生み出しているとは考えづらい。
試しに光魔法の基本術である《ライトニング》を使ってみる。勿論無詠唱で。
今まで詠唱が基本の世界だったし、変な目で見られたくもなかったから私は詠唱してきたが、この体だ。無詠唱でできるならやろう。
そして、無詠唱での魔法の行使は——、
——成功した。とりあえずは安堵した。使えなければ本当にこの世界に魔法がある意味がなくなる。そして無詠唱で魔法を行使できる、ということは、多重詠唱も可能になる。
徐々に道が広がっていくな……。
そうちょっとだけワクワクしながら実験をしていると、扉が突如ガチャ、っと開けられて——
……どうだったでしょうか。面白かった、という人はコメント欄にて何か書いていただけるとありがたいです。それでは、お読みいただいて、ありがとうございました。