小説_一章
君に出会ったのはいつだろう。
なんて、自分に聞くまでもなくはっきり憶えている。
あなたが見せてくれた景色。
それは、世界が輝いて見えた。私の心の奥にある闇の扉。
火を放っても、鉄のパイプで殴っても、絶対に開かれない。
けど、あなたはそれを一瞬で開いて見せた。
その時に私の目の前に現れた光景はとても世界が輝いて見えた。
”世界は美しい”なんて戯言_
そんな事、私が一番よく知っている。
でも、君に出会うたびに、私の見えてる世界は美しくなっていた。
光の光景_
毎日変わらず同じ光景。
空た高く飛ぶ鳥、主婦達の噂話、黒色の猫。
そして、家に帰るとお父さんとお母さんの喧嘩。
”世界ってなんだっけ”
そう思いながらもいつものように、6時間の授業を受けて普通に家に帰るまでの間に私になにがあったのだろう。
家から学校までのほぼ一本道。
ただその日だけはいつもと違う道を踏んでみたかった。
気がつくと、そこは見た事もないような場所に辿り着いてしまった。
5時の知らせを届けるチャイム。鳥達も一斉に大きく羽を振りながら自分の住処に帰っている。
「あぁ、私もそろそろ帰らなきゃ。」
と思ってもなかなか、足が進まない。
『カシャ』っと何かが光った。
そこには私と同い年くらいの慎重で、日が沈む時の太陽に当たって美しい茶色のような色をしている髪。
『こんにちは。』
突然話しかけられて焦っている私に彼はこう言った。
『君、生きたい?』
は?多分、顔に出てしまっている。
そりゃそうでしょ、初対面なのに急にそんな事言われたら顔に出るに決まってる。
「なんですか、急に?」
彼は私に一枚の写真を見せた。
私の顔だ。
うわ、ひどい顔してるなぁ私。と考えていると彼は、
『君の横顔、後姿を見た時一目でわかったよ、つまらない顔だなぁ』って。
おいおいどうなってんだ?こいつの頭の中。
勝手に許可なく写真を撮ったのは、お前だろ!
そう思いながら私は無視して携帯で位置情報を調べて帰ろうとした。
だが、
『まって』
「なんですか?」と言い返した。
『名前教えて?』
めんどくさいなぁ、、
「そらです。」
「そらちゃんね、分かった。また明日この時間この場所で』
『それじゃ!』
『あ!俺の名前は優!』『じゃね』
、、「絶対関わったらめんどくさい人に出会ってしまった。」
だが、彼がこれから私を救ってくれるとはこのころの私は思いもしなかった。」