【小説】第2話 本当の愛
妻がネグレストだと分かってから、妻に対する周りへの態度が嘘のように変わった。
俺は在宅ワークにし、極力家事は俺がやり、妻にはゆっくり休んでもらった。
それでも、妻の怒りはエスカレートしていった。理由を聞いても答えてくれない。
そんなある日、妻が決心したように、あのさ、と口を開いた。
最近ほとんど喋っていなかったから、少し驚いた。そして、嬉しかった。まだ愛してくれているんだと思った。しかし、
「ごめんね、私のせいで在宅になっちゃって。もう在宅はいいよ。本当に。」
「えっ、!でも家事はど」
「私がやるから!」
妻は俺の言葉を抑え、大声でそう言った。そこで俺は気付いた。妻は俺の事を愛していなかった。
余計ストレスになっているのかと思い、俺は
「アヤメ、ごめん。ストレスだった?もう…在宅はやめるよ…」
そう言うと、アヤメはニコッと笑って、ありがとっ!って笑った。久し振りに見たあの笑顔が俺の原動力となった。
(アヤメの好きな通りにさせていれば、きっと愛を取り戻りてくれる。)
俺はまだアヤメを諦めてはいなかった。
「今日、遅くなるから。」
「そう!何時?」
「何時って…わからない。なんでそんな嬉しそうなんだ…」
「う、ううん。全然嬉しく無いわよ。もちろん…」
やはり俺を愛していないのかと、とても落ち込んだ。
「会社を出たら連絡してね!」
「え?なんで?」
「いいから!絶対よ?」
俺は違和感を覚えながら、娘、ナズナにハグをして家を出た。
結局、仕事が終わったのは夜9時。今から帰れば10時にはなるだろうなと思いながらトボトボ駅に向かった。俺は忘れていた。あの約束を。
俺はいつも12時に帰ることが多く、終電を逃したら会社に泊まる。今日は少し早いなと呑気に考えていた。
帰ると、家にはアヤメの靴と…男?物の靴があった。嫌な予感がして、ドアを開けた。すると…
今日はあまりナズナちゃん出てこなかった…!