【小説】君に愛されたい 第1話
なんでやんなきゃなんだろ。
私は如月百合乃。テニスを習うことになったんだ。
それも、お母さんが「運動は大事」とか言うから、、。
テニスなんてやりたくない。私インドア派だし。
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「こんにちは〜もしかして今日体験の如月さん?」
着いたら、女性の人が迎えてくれた。
どうやら、ここの先生、天乃先生というらしい。
お母さんと別れて、先生がコートに連れて行ってくれた。
「皆さーん!体験の子が来てるので色々教えてあげてくださいね!」
「えっと、、如月百合乃です。よろしくお願いします」
このみんなからの視線が私には無理。
責められてるような感じがするから。
とりあえず先生に貸し借り用のラケットを貸してもらった。
何回かうまい子たちとラリーをした。みんなすごいな、、
ボールを拾う時間になった。
よくわからなくて手で拾ってたら私より少し年下っぽい男の子が、「えっと、、こうやるんだよ」と教えてくれた。
お手本を見せてくれて私もやってみたのに救えなかった。男の子はそれを見て、少しだけ微笑んだ。
まだ難しいかな、、って思ったのかな。
「休憩でーす!!」天乃先生がみんなに声をかけた。
男の子は「ふぅ。」とため息をついて自分の荷物があるところに走っていった。
なぜかはわからないけど、なんとなくついていった。
「あの、どこの小学校か聞いてもいい?」
少し緊張したけど、ちゃんと答えてくれた。
「黄千野小だよ。」
私は一瞬、耳を疑った。「え?」
黄千野小学校。私と同じだ。
じゃあ、やっぱり年下だよね、、?見たことないし。
「3年2組、宮島凛っていうんだ。」
さ、三年!?にしてはすっごくおとなしくていい子だ。
「6年2組、如月百合乃だよ。」
2人で「えへへ」って笑えて楽しかった。
なんだか、ドキドキした。これって、、もしかして。
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「次、トーナメント遊びします。えーまず、第1グループの人、、」
そう言われ、私は第3グループに分けられた。
宮島くん?凛くん?は第1グループで上級者組。
(きっと凛くん、上手いんだろうな。)
そう思いながら自分の番まで凛くんを見ていた。
第1グループはすぐ始まって、凛くん対誰か。名前わからない。
はじまった。
え、、
そこから自分の番が来るまでずっと見てた。
凛くん、、めっちゃ強い!てか、みんな強いけど、凛くんはみんなより圧倒的に強い!
すごい、、尊敬しちゃうな、、
私は、その日、凛くんの姿を見て「テニスを頑張りたい」と思えた。
いつか、凛くんと並べるようになりたい。
そう思って、テニスというものが私の人生を変えた。
(続く)
⦅おまけ⦆_凛視点_
あれ、新しい子、、如月さん?だっけ。
ボール手で拾ってて、大変そう、、
「えっと、、こうやるんだよ。」
怖かったけど、教えてあげてみた。
頑張っても難しそうだったけど楽しそうにしてたからいいのかな。
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休み時間、僕は如月さんに話しかけられた。
「あの、どこ小か聞いてもいい?」
聞かれたから答えたけど、どうやら同じ小学校ならしい。
同じ小学校の小学6年生。すごい先輩だな、、
僕はなぜか、心がドキドキした。
今までは、自分の思いだけを考えて僕に接してくる女の子しかいなかったのに。
そう、僕のクラスはそんな人だらけなんだ。
「僕と仲良くしたい」じゃなくて「僕が人気者だから自分も一緒になって人気になりたい」
そういう人しか、この世にはいないと思ってた。
如月さんは、すごい。
だから、もっと話したい。
僕はその日、初めてそう思えた。 (続く)