【小説】先生!当たり前でもありません。
私の名前は音羽(おとは)。
中学1年生です。
私の担任はいつも「当たり前の事に感謝しなさい。」と言います。
続いてくる言葉は、
「蛇口をひねって水が出るのは当たり前ではありません。
座ってれば食事を出してくれる人がいる事は当たり前ではありません。
スイッチを押したら電気がつくのも当たり前ではありません。」
という言葉。
私の家庭は貧乏です。
別に元々貧乏な訳ではないです。
父が私が低学年の時に交通事故で亡くなってしまったのがきっかけで貧乏になりました。
母は朝から晩まで派遣先で働いているので、
長女の私がちびっ子(小3の弟、小1で双子の妹たち)の面倒をみます。
勉強できる時間は限られていて、中学卒業と共に就職を考えている程です。
そんな私の家は家賃を払うので手一杯、水道代、光熱費、食費、衣類に使うお金なんてほぼ0。
貯金なんて夢のまた夢。
なので私は先生がこの話をするたびに思います。
「そんな夢のような話、当たり前ではたまりません。
蛇口はひねっても水は出ません。
食事は頑張らないと食材すら手に入りません。
スイッチは押しても電気はつきません。
先生、私にとっては当たり前でもありません。
理想、夢、そんなものです。」と。
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