【小説】いつも、いつも。第四話「気まずい自己紹介」

2 2024/01/01 18:00

私は社交的な方ではない。

一番嫌いな時間は、自己紹介の時間だ。

どんな反応をされるのか、不安になる。

どう思われているのか、不安になる。

不安が積もりに積もって、恐怖に変わる。

でも、中学生になったんだから私は変わるんだ。

このは「あ、先生休みー?初日なのにね!このが全部仕切っていい?ありがとうー!」

このははかなりのぶりっ子だ。

女子だけの時は一人称が〔私〕で、声がとてつもなく低い。

でも、男子がその場にいるときは、一人称が〔この〕で、声がとてつもなく高い。

このは「この、自己紹介したいなぁー。」

このはは私の方を見てにこっと笑った。

やっぱり、顔がいい。

このはは、6歳の頃から、子役なのだ。

さゆ「どうする?自己紹介する?というか、このは。仕切るなら仕切る、仕切らないなら仕切らない。どっちかにしてね」

「さゆ、ナイス」という空気が女子に広がった。

すると、このははさゆの方をギロっと睨んだ。

でも、それは一瞬だった。

このは「うぅ…さゆちゃんひどいよぅ…私なりに頑張ってるのにぃ…いじめないでよぅ…」

このはは少し涙ぐみながら、子猫のような声で言った。

私はこのはを信じている。

これが、演技ではないと。

さゆ「はぁ。ごめんね。とりあえず、自己紹介。出席番号1から、32までね。」

さくら「言うこと決めておいた方がいいんじゃない?」

このは「じゃあ、名前、出席番号、去年のクラスね!」

このははそれを言う間、なぜか上目遣いで私の方を見た。

??「安藤美亜です。出席番号…」

しばらく聞いていた。私は15番。

ついに私の番。

すみれ「え、えっと、河井菫、じゅ、15番、です。去年のクラ…ス…」

どうしよう。去年はこの学校にいない。

それをどう説明しよう。

すみれ「あ、えっと、、去年はこの学校にいませんでした。よ、よろし、くおねがいします」

うまく説明できた…かな?

ふーっと、安心のため息をついた時。

このは「ねーえー。なんでいなかったの?もうちょっと説明してよー」

不満そうにこのはが言った。

さゆ「まあいいじゃん。長くなるでしょ?」

このは「さゆちゃんひどーいぃ!!」

このはも悪気はない…よね?

教室にいずらい…

視線がチクチク刺さっていたい。

このはもそこまで悪気はない。

そう信じる。

私はこのはを信じる。

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タグ: 小説 四話 自己紹介

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