【小説】いつも、いつも。第四話「気まずい自己紹介」
私は社交的な方ではない。
一番嫌いな時間は、自己紹介の時間だ。
どんな反応をされるのか、不安になる。
どう思われているのか、不安になる。
不安が積もりに積もって、恐怖に変わる。
でも、中学生になったんだから私は変わるんだ。
このは「あ、先生休みー?初日なのにね!このが全部仕切っていい?ありがとうー!」
このははかなりのぶりっ子だ。
女子だけの時は一人称が〔私〕で、声がとてつもなく低い。
でも、男子がその場にいるときは、一人称が〔この〕で、声がとてつもなく高い。
このは「この、自己紹介したいなぁー。」
このはは私の方を見てにこっと笑った。
やっぱり、顔がいい。
このはは、6歳の頃から、子役なのだ。
さゆ「どうする?自己紹介する?というか、このは。仕切るなら仕切る、仕切らないなら仕切らない。どっちかにしてね」
「さゆ、ナイス」という空気が女子に広がった。
すると、このははさゆの方をギロっと睨んだ。
でも、それは一瞬だった。
このは「うぅ…さゆちゃんひどいよぅ…私なりに頑張ってるのにぃ…いじめないでよぅ…」
このはは少し涙ぐみながら、子猫のような声で言った。
私はこのはを信じている。
これが、演技ではないと。
さゆ「はぁ。ごめんね。とりあえず、自己紹介。出席番号1から、32までね。」
さくら「言うこと決めておいた方がいいんじゃない?」
このは「じゃあ、名前、出席番号、去年のクラスね!」
このははそれを言う間、なぜか上目遣いで私の方を見た。
??「安藤美亜です。出席番号…」
しばらく聞いていた。私は15番。
ついに私の番。
すみれ「え、えっと、河井菫、じゅ、15番、です。去年のクラ…ス…」
どうしよう。去年はこの学校にいない。
それをどう説明しよう。
すみれ「あ、えっと、、去年はこの学校にいませんでした。よ、よろし、くおねがいします」
うまく説明できた…かな?
ふーっと、安心のため息をついた時。
このは「ねーえー。なんでいなかったの?もうちょっと説明してよー」
不満そうにこのはが言った。
さゆ「まあいいじゃん。長くなるでしょ?」
このは「さゆちゃんひどーいぃ!!」
このはも悪気はない…よね?
教室にいずらい…
視線がチクチク刺さっていたい。
このはもそこまで悪気はない。
そう信じる。
私はこのはを信じる。
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